Marketing Tips:「制約」をうまく活用しよう

フルタ
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この記事のアイキャッチのドーナツなんかは特に心的制約に訴えてきます。

Amazon US Store でストリーミング動画を $3 でレンタルできる状態なのに、アメリカで発行されたクレジットカードでないと決済できず、結局日本の Amazon.co.jp でDVDを7800円で買うという経験がありました。

「なんでインターネットなのに日本にいてアメリカのモノが買えないんだ!」とフラストレーションを感じつつ Amazon.co.jp で注文を完了させたあと、「あれ、この感覚懐かしいな」と思ったのでした。その感覚の正体は、「制約」です。

たとえばウェビナー(Webセミナー)を例に採ると、技術的には制約がないにも関わらずリアルタイム配信のみに制限していることが多いです。これは、リアルタイム配信に制限することで視聴者に「リアルタイムで見ないと見逃してしまう!」と思わせて、視聴数を稼ぐという作戦ですね。(実際には後日 Youtube にアップしてくれたりするのですが)

実はこの「制約」、マーケティングと密接な関係があります。それはどんな関係でしょうか。

制約について考える。制約が人間心理を動かす。

ウェビナーの例にもあるように、消費者行動に影響があるため、マーケティングの世界では巧みに「制約」が使われています。例えば以下の通り。

・物理的制約:

エモジマさんの投稿にもあるようにレコード、フィルムカメラの人気が再燃していると聞きます。レコードであればその「モノ」を所有しないと聞けないという制約が、フィルムカメラであればネガを現像しないと写真が確認できないという制約が、新鮮になってきた結果と言えます。また、店頭でよく見る「おひとりさま1個限定!」「メロンパン1日20個限定!」といった入手可能な個数自体を制限する、というのも物理的制約に該当します。

・時間的制約:

キャンペーン期間といった期間を区切ったクーポン配布などは、終わりを設けることでその時間を越えると買えなくなるという制約を作っています。「今日だけ!」とか「あと何時間!」と言われると買う気がなくてもそわそわしちゃいますよね。

・地理的制約:

ご当地限定などの、その場所でしか買えない状況を作るのは地理的制約です。チェーン店ではない飲食店も、広く言えばこの制約に該当します。

・認知的制約(情報制約):

あえて情報を最低限にして人の好奇心をあおる「ティーザー広告」のようなものもあります。「○月○日新製品リリース!」という情報だけ伝えて、製品のほんの一部だけ見せる、などは情報制約を活用している例ですね。

・心的制約:

「買ってはいけない」と思うとむしろ買いたくなるという人間心理を応用した例。まるでロミオとジュリエットのようです。たとえば「すごく贅沢」であることを強調されたり、「カロリーが高い」「すごく甘い」ことを強調されたりすると、いけないと思いつつ買ってしまったり。 この記事のアイキャッチのドーナツなんかは特に心的制約に訴えてきます。

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こう読んでみると、自身の経験として「実際に制約によって買っていたなあ」と思い当たる節はありませんか?

認知的制約をデジタルマーケティングに応用する

続いてこれはMCラボですので、メインテーマであるデジタルマーケティングに話を移してみようと思います。

SNSやモバイルアプリなどが全盛の時代にはなりましたが、依然としてメールマーケティングは強いです。

画像が表示でき、情報量の多い「HTMLメール」のほうが、クリック率およびコンバージョン率(CVR:Conversion Rate)が高そうと思いきや、実際には「テキストメール」のほうがCVRが高いことがあります。

それはなぜなのか?

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「HTMLメール」では画像や動画も表示できるので情報の見せ方や情報量を複雑に組み合わせることも可能です。ただし、情報量が多いことで受け取ったユーザーが行動しにくい場合もあります。

その点「テキストメール」は、クリックして欲しいリンクが「リンクであることが一目瞭然」で、また、その上にそのリンクの説明も記載されているため、リンクをクリックする目的が限定されます。つまり、情報量が少ないがゆえに、シンプルに相手になにをしてほしいかが伝わりやすい相手が行動を起こしやすい、という側面があるのです。

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【上図HTMLメールの課題点】

  • タイトルがないためトップのリンク先が不明
  • トップのボタンが背景に邪魔されて目立たない
  • ボタンの位置がバラバラ
  • ボタンの色・文言が統一されていない
  • 複数カテゴリの商品がひとつの領域に羅列されている

実は狭義のコミュニケーションの定義は、「相手に何をして欲しいかを伝え、実際に行動してもらうための手段」です。そう、行動を起こしてもらわないとコミュニケーションが成立したとは言えないのです。メールでのコミュニケーションで言えば、商品を購入してもらわないとコミュニケーションが成立したとは言えないということになります。

とはいえ、商品画像など直感に訴えやすい要素はうまく使えばやはり強いです。「HTMLメール」の情報の見せ方をしっかりデザインし、顧客行動を意識しながらレイアウトを考えれば、ボタンの配置ひとつ変えるだけでもCVRが向上することがあります。これについてはグロースハックの話としてまた別の機会にでも。

まとめ

映画「マトリックス」のなかでも、「人間は完全に幸せな状態だとこれが夢だとすぐに気付いてしまうので、ある程度の制約とか不便・不幸をまぜて夢を見せている」というような言葉があります。人間にとって制約は本能レベルで必要とされているのかもしれませんね。そうなると消費者心理を動かすマーケターとしては制約について考えなきゃいけない!そんな気がしてきませんか?

購買行動がこれまでよりもさらに自由になっていくにつれて、反対に「制約」をますますうまくコントロールすることが重要になってくるのではないでしょうか。ではまた!

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フルタ

フルタ

2005年早稲田大学商学部卒。プログラマ出身のデジタルマーケティングコンサルタント。 ウフルではマーケティングプランニング部に所属しており主にマーケティングオートメーションの導入PMを担当。お客様のマーケティングを日夜支援しています。
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