「スポーツ×マーケティング」の未来をDAZNとJリーグの関係から考える

Nihei
Jリーグstadium

先日Jリーグフジゼロックス・スーパーカップが行われ、この試合は今シーズンからJリーグの放映権を事実上独占することになったDAZNでライブ配信されました。皆さんはこの「DAZN」というスポーツ専門のインターネット動画配信サービスをご存知でしょうか。昨年日本におけるサービスをスタートさせ、2017年から始まるJリーグとの10年間の大型放映権契約により、その放映権を事実上独占することが大きなニュースとなったのを知っている方も多いかもしれません。


出典:Google Trendsより過去一年間(2016/02/21 – 2017/02/18)の検索ワード「DAZN」の検索数(※最も検索数が多い時を100とした場合)

今回はこのニュースから今後のJリーグ、そしてプロスポーツのマーケティングを考えて行きたいと思います。以前『【最新のサッカー×マーケティング】JリーグからFIFAクラブワールドカップに挑戦』と題して、サッカーにおけるマーケティングを考えました。今回はDAZNが日本に上陸し、Jリーグの放映権を獲得したことをトピックの中心として、「スポーツ×マーケティング」の今後を異なる視点から考えていきたいと思います。

DAZNとともに新たな市場へ切りこむJリーグ

DAZNとJリーグの大型契約の重要なメリットの一つは、日本サッカー市場の拡大と開拓です。

DAZNはスポーツ専門の有料動画配信サービスです。こういったインターネットなどを経由した映像コンテンツ配信サービスはVOD(ビデオオンデマンド)と呼ばれ、NetflixやAmazonプライムビデオ、dTVなどもこれに当たります。
このVOD市場はDAZNを含め欧米で始まったサービスの地域拡大や事業者増加により順調に伸びており、野村総研の調査においても今後のさらなる市場拡大が見込まれています。

動画配信市場規模(予測)グラフ

出典:野村総合研究所ICT・メディア産業コンサルティング部(2016)『ITナビゲーター2017年版』東洋経済新報社

VOD市場ではDAZNの他にもスポナビライブなどスポーツを専門としているサービスがあり、スポーツ界全体への貢献として”ついで見”と”海外進出”があります。
ついで見は、視聴者が自分の好きなスポーツを探している際に他のスポーツも試しに見る、という流れをつくります。ついで買いの動画版です。
これは動画配信サービスの多くが定額制で見放題であるため、視聴者の「損をしたくない」「もとを取りたい」という心理が働くためだと思われます。これによりそれぞれのスポーツにおいてファン層の拡大が見込めるのではないでしょうか。

実際、下記データからもわかるようにそれぞれのスポーツの市場は頭打ちになっており、新たなファン層の開拓が必要になっています。

Jリーグの開幕当時の盛り上がりを知らないデジタル・ネイティブ世代であるZ世代(ポスト・ミレニアル世代、センタニアル世代(1995年から2008年生まれの世代))にも、このインターネット上の動画コンテンツの配信を通じてこれまで以上に接点をつくることができます。

またこのDAZNとの契約により、Jリーグの情報をこれまでと比べものにならないほど海外に発信することができ、巨大な海外マーケットへ範囲を広げていけるでしょう。
実際DAZNによって、日本人が多く在籍するドイツのサッカーリーグを日本でも手軽に見ることができ、ドイツサッカーがその恩恵を受けています。

マーケティングの可能性を広げる協力体制

以前のブログ記事でもNTTがICTを活用したスマートスタジアム実現に取り組んでいることを紹介しましたが、DAZNの存在によりその実現へ向けてさらに加速していきそうです。
というのも、DAZNとJリーグとNTTは、DAZNとJリーグが交わした放映権の契約期間と同じ2017年からの10年間、「スマートスタジアム事業」協業契約を結んだのです。

この協業契約の締結によって、スタジアムでのWi-Fi環境整備と関連情報サービス提供などのICT化が推進されます。また、Jリーグ側は接点を増やすことによる新たなファン層の開拓とロイヤリティ向上、DAZN側はNTTの技術による試合データのリアルタイム取得や配信サービス向上などによる顧客満足度アップ、NTT側はDAZNからの設備投資によるスマートスタジアム化のさらなる促進など、それぞれにメリットがある内容と言えるのではないでしょうか。

実際に互いの協力により、スタジアムに設置されるカメラ数は昨年までの6台から9台(試合によっては最大16台)に増設されることが決定し、DAZNの配信サービスの品質向上が見込まれています。
さらにDAZNの配信サービスやNTTのスマートスタジアムの活用により、地域の飲食店や観光に関する情報を提供することで、Jリーグチームと地元地域全体とのつながりを強化しながらの活性化にもつながるはずです。
つまりこの提携によりデジタルの世界だけでなく、リアルの位置情報など様々なマーケティングの可能性がさらに広がることが期待されます。

スポーツ×マーケティングは個人プレーでは実現できない

6461  引用元:【公式】Jリーグ

現在スポーツ界では競技の多様化に加え、エンターテインメント全体の多様化により、競技者とファンの獲得が難しくなっています。

同じように様々な業界でのIT化・再編化により時代のニーズの移り変わりが加速している中で、一つのコンテンツやサービスだけで戦っていくことは困難です。リアルとデジタル両方の世界に様々な導線をつくることで、各世代へのターゲティングを拡大していくことが重要となってきているのではないでしょうか。

今回のような協力体制を構築していくことが、今後のスポーツ界のマーケティングにおいてますます必要となってくることでしょう。
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Top image :Photo by Norio NAKAYAMA – ナビスコカップ決勝 清水エスパルス(2012)

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Nihei

Nihei

ウフルのインターン生。普段はウフルのマーケティングを担当。アイルランドに行った際にその文化に魅せられてしまった。コーヒーとビールが大好き。そして新しいモノ好きで、気になったものはすぐに衝動買いしてしまう。旬のトピックが好きなので、最新の情報を随時お伝えしていきます。
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