マーケティングを科学する:マーケティングは科学なのか?編

船津 浩司
marketing-science

皆さん、こんにちは!船津です!
もうすっかり年の瀬ですね。皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。
こんな時期なので、今回扱う題目も少し特別な内容にしたいと思います。

題して、「マーケティングを科学する:マーケティングは科学なのか?編」です。
自問自答的な題目ですが、この議題は古くから続く大論争の一つです。

マーケティングは「科学なのか、芸術なのか」。
領域を問わずこのような問いは、あらゆるところで成されています。

たとえば、「日本酒」もその一つです。

日本酒における科学と芸術

ご存じでしたか?日本酒は各地にある酒蔵という所で作られていますが、その指揮を執っているのは酒蔵からは独立した組織から派遣される「杜氏」と呼ばれる専門家たちです。
「杜氏」は、日本酒に対して高い専門性を持ち、独自の知見・技術・感覚などを駆使し、おいしい日本酒を製造しています。(きっと、発酵中のお米の色艶や手触りなどで、その時その時に最適な意思決定をしているのでしょう。)
彼らの製造ノウハウというものは、標準化することは難しく、非常に感覚的・芸術的な世界です。
芸術とは、直感的・感覚的で、真似することが難しいということなのです。

一方で、「獺祭」という日本酒をご存じでしょうか。
実は、この「獺祭」は(おそらく)日本で唯一の、製造に「杜氏」が関与していな日本酒です。
「獺祭」は、製造工程にて徹底的にお米の水分量や温度が分析され、そのデータを元に管理されています。
そのため、そのデータと製造マニュアルさえあれば、誰でも同じ品質のものを作ることができます。
そして、そのように作成された「獺祭」のおいしさは、「杜氏」が作るものに勝るとも劣りません。

(参考:最高の酒に杜氏はいらない 「獺祭」支えるITの技

科学とは、論理が明確で、それをなぞれば誰でも真似ができるということなのです。(1+1は誰でもできるけれど、モナリザは描けないですよね。)

マーケティングは科学なのか?芸術なのか?

art or science
そこで、本題のマーケティングです。
マーケティングもずいぶんと芸術的要素が強い領域だと言えます。

たとえば、最近話題の「恋ダンス」。
あのダンスにはきっと、それを通して作品の魅力を広く伝えるという背景があったはずです。
(その証拠に番組公開前から皆で踊って!とTweetしています。)

しかし、ここまで流行った「恋ダンス」は、誰にでも作れるものなのでしょうか。
ダンス制作の背景や工程に論理的な思惑はあれど、出来上がったダンスそのものは芸術的(感覚的・直感的)な領域が大きな割合を占めていたのではないでしょうか。

この「恋ダンス」以外にも、ポスターやキャッチコピーなど、マーケティングには非常に感覚的・直感的に訴える部分が多くあります。
そのため、「マーケティングは芸術である」といった主張が多々されるのです。

しかし、本当にそうなのでしょうか。
結論から言うと、マーケティングは科学でもあり、芸術でもあります。

たしかに、前述のようなポスター制作などは芸術的(感覚的・直感的)な側面が強いかもしれません。しかし、ポスターの掲載場所の選定などは、科学的なアプローチが取られています。
たとえば、掲載場所の通行量や、通行人の属性、ポスターの掲載料…といった要素と、ポスターの意匠や製品の特性を鑑みて、ポスター掲載というマーケティング活動の費用対効果が算出されています。

もっと大局的な視点でも、4Pや3C分析などマーケティングの様々な事象を論理的(科学的)に整理する手法は多くあります。
※4P:http://gms.globis.co.jp/dic/00041.php
※3C分析:http://gms.globis.co.jp/dic/00039.php

そして、科学的なアプローチは前述の通り模倣が可能なので、計画的・安定的に物事を進めることができます。
つまり、マーケティングは科学・芸術のどちらの要素も備えており、それらの性質をよく理解し、場合によって使い分けることで、より効果的な施策を生み出せるのです。

人工知能の台頭

AI
実は最近、この「科学なのか?芸術なのか?」という領域に大きな変化がありました。
統計とITの目まぐるしい進歩により、これまで芸術的領域だったものが、科学的領域になりつつあるのです。

たとえば、Webの領域でよく行われているA/Bテストは、今持っている論理では判断ができないこと、確証が持てないこと、つまり正解を導くには芸術的(感覚的・直感的)要素が必要な領域に対して、実際にデータを取得することで対応しています。
このように、データおよび統計を用いることで、芸術的な領域を科学的に対処しています。

しかし、これまで統計的手法をとる際には仮説が必要でした。
たとえば、ボタンの文字の大きさがユーザーのアクションに影響を与えているのでは、といった具合です。
ただし、この仮説を立てるには、その事象についての深い理解や直感・ひらめき(つまり芸術性)が必要でした。
統計という科学的な世界にも芸術的要素が要求されていたのです。

一方、最近話題のDeep Learningでは、このように仮説を立てる必要がありません。
プログラムがある論理に従って、膨大なデータの中から、結果に影響を与える因子を自動的に抽出してくれるのです。
これがどれほど大きな影響を世界に与えたのか、言い換えれば、人間の仮説がどれだけ未熟だったのかは、「今後10年は機械が人に勝てない」と言われていた囲碁界で、Deep Learningを用いた人工知能に世界チャンピオンが敗北したニュースなどからも窺い知れます。

さらに、この芸術的領域を科学的領域に変化させるという流れを象徴するのが、人工知能が音楽や絵を制作したというニュースです。

(右のリンク:音楽、下の動画:絵) 世界初の人工知能が作ったポップソング「Daddy’s Car」と「Mr Shadow」がYouTubeで公開中

このように、これまでは非常に芸術的とされていた領域が、驚くべき速度で科学的な領域になりつつあるのです。

発展著しいマーケティングの世界

高い芸術性と高度な科学が混在するマーケティングの世界は、恐ろしい速度で進化し続けています。
10年後にマーケティングがどのように変わっているのかは、誰にも予想はつきません。(そして、僕に職はあるのでしょうか?)
これからもマーケティングの世界からは目を離せそうにないですね!

※ちなみに、ウフルは科学的領域も芸術的領域もいけます。

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船津 浩司

船津 浩司

マーケティングコンサルタント。MBA(青山学院大学ビジネスクール)。 ITや新しいことが好き。あと、山も好き。山に行きたくてしようがない。
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