意外と知らない未来型都市「スマートシティ会津若松市」の発展

Nihei
会津若松市鶴ケ城

みなさんは「スマートシティ」という言葉をご存知でしょうか。

スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)などICT(Information and Communications Technology:情報通信技術)を用い、都市の生活インフラ機能など人々の生活に直接関わる機能からビジネスにおける効率性に至るまで、幅広い分野での継続的な発展を目指す都市を示す言葉です。世界ではオランダのアムステルダムやスペインのバルセロナなどが有名です。

以前の記事でもこのスマートシティについて触れたものがあるので参考にしてみてください。

日本でもいくつかの都市で先行して取り組まれています。千葉県柏市、神奈川県横浜市、福島県会津若松市などがその例として挙げられます。
他にも数都市でプロジェクトとして立ち上がっていますが、傾向として大都市圏近郊で立ち上がることが比較的多いです。これはそういった地域ではインフラが整い、連携する企業などもある程度周辺にあるので多少なりとも参入しやすいからです。

そういった中で東北の地方都市として、スマートシティ実現に向けて大きく前進しているのが会津若松市です。この地方の一都市がなぜスマートシティとしての歩みを始めたのでしょうか。

スマートシティとしての再スタート

会津若松市のスマートシティとしてのスタートは2011年に起きた東日本大震災からの復興に取り掛かっている時期でした。

当時の会津若松市の課題として、製造業に代表される工場誘致などに過度に依存していたこと、地元の県立大学である会津大学の入学者数の約6割が県外からの流入であるにも関わらず、卒業生の約8割が県外で就職していたことも含めた人口流出の2つがありました。

しかしこれは会津若松市に限ったことではありません。日本中の多くの自治体で同じような事態が起きているのです。そういった状況で会津若松市がスマートシティの実証実験の地に選ばれた理由にはその特色と強みがあります。

同市は製造業を中心として工場建設によって多くの企業が進出し、ICTを専門とする会津大学が市内にありました。特にこのICT専門大学が市内にあったことは強みです。学生も巻き込んでいくことで、人材不足と言われるIT分野での人材育成を平行して行い、持続できるスマートシティを実現していけます。

PDCAそして、2011年7月に会津若松市と会津大学、コンサルティング企業であるアクセンチュアの3者が共同で活動を開始することを発表し、スマートシティ会津若松市が始動しました。ここで重要となるのは、アクセンチュアが同市に「福島イノベーションセンター」という拠点を設立し、派遣ではなくスタッフが常駐であったことです。そういった点で、地域に根ざした施策をよりスピーディにPDCAを回しながら行っていけました。

2013年9月にはスマートシティとして当時から知られていたオランダの都市アムステルダムとの提携が発表されました。これは両市がそれぞれ取り組んでいる実証実験で得られたデータを共有することにより、スマートシティとして先行する二つの都市の技術を国際標準としていくことを目的としています。
こういった国をまたいだ自治体同士の連携は難しいですが、国境を越えたビジネスができる一般企業の協力により、その関係構築を成し得ています。また、それらの企業と連携することが、具体的な施策への落とし込みにも繋がっています。

企業と自治体の連携から生まれる新たな価値

ここでいくつかその具体的な施策をご紹介します。

官民学連携まず、会津若松市は地域情報ポータルを作成しました。これは個人が提供する属性情報をもとに必要な情報を企業の分析ツールによりカスタマイズして提供するとともに、その情報を匿名で他の地元企業等に提供することで企業側は地域のニーズを知ることができます。またこれを応用して観光客向けのウェブサイトも運営しています。

市内の約500世帯(2016年6月時点)には電力データを可視化するHEMS(Home Energy Management System:ホーム エネルギー マネジメント システム)を設置しました。

IoTヘルスケアプラットフォーム事業としては、IoTデバイスやセンサーによるユーザーデータ管理とアプリ開発による健康促進のためのサービス向上にむけて、そういったことにナレッジがあるレシピ掲載サイト運営会社、保険会社などが参画しています。

その他にもバスなどの公共交通機関の走行情報収集による最適化、除雪車位置情報システム、バイオマス発電をはじめとした電力供給管理、養液土耕システムを使ったスマートアグリ*などIoTを利用した施策をいくつも行いました。

* : スマートアグリカルチャーの略で、最新のIT(ICT)等の先進技術を利用して農業の生産性や品質を向上させる取り組み。

日本をスマートカントリーへ

スマートシティ

昨年12月、経済産業省は公共のビッグデータを民間企業へ開放するよう自治体に努力義務を課しました。これは自治体のデータを企業にも開示することで新たなビジネスを生み出し、地域経済全体の活性化につなげることを目的としています。
このデータ開示による地域経済発展の施策は、まさに会津若松市が取り組んできた分野に重なり、経済産業省もそのモデルケースとして会津若松市を挙げています。

このように政府が主体となって国全体にスマートシティの考え方が広がるよう働きかけていけば、スマートシティからスマートカントリーへと発展していけるだろうと思います。それには何よりもまずオープンイノベーションにより自治体や企業同士の枠を越え連携して実証実験を行い、事例を積み上げていくことが重要になります。

ウフルもそういった地方の問題解決と発展のためにIoTを活用していこうと考えており、そのお手伝いをさせていただいています。

こうしたスマートシティとしての成功は、人口流出を防ぐことによる人口の安定や、データに基づいた観光産業の活性化など、自治体や企業に様々な分野で恩恵をもたらすでしょう。

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参考資料:「会津若松市のデータを活⽤した 取組について 〜データバレーへ向けた取組〜」

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Nihei

Nihei

ウフルのインターン生。普段はウフルのマーケティングを担当。アイルランドに行った際にその文化に魅せられてしまった。コーヒーとビールが大好き。そして新しいモノ好きで、気になったものはすぐに衝動買いしてしまう。旬のトピックが好きなので、最新の情報を随時お伝えしていきます。
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