CRMのその先へ;米ハーバード大学が注目するVRM

Nihei
VRM acronym Vendor relationship management on blackboard

年末が近づき、様々なキャンペーンやセールがウェブ上でも、リアルの世界でも増えてくる時期となりました。
日々多く送られてくるメルマガや、オススメ商品などを提案してくれるレコメンド機能が正直なところ面倒になりつつあったときに、VRMという新たな概念の存在を知り、皆さんにもぜひ共有したいと思いました。

顧客が主役となるVRM(ベンダー関係管理)

それではVRM[Vendor Relationship Management](ベンダー関係管理)とはどういった考え方なのか...

といったお話をする前に、従来の”企業側が顧客の情報を管理する”という考え方について簡単にご説明します。

この概念は一般に、CRM[Customer Relationship Management](顧客情報管理)と呼ばれます。これは、日々の購入履歴やウェブページへの訪問履歴といったあらゆるデータが企業に蓄積され、それを元に各顧客へ最適化したマーケティングとしてキャンペーンなど様々な施策を行っていく考え方です。

CRM/VRM一方ここから詳しく説明するVRM(ベンダー関係管理)は、企業側が管理していた個人情報などを顧客自身が管理・活用するという概念です。つまり、自分の個人的な情報や関心について、どの企業・団体に、どの範囲までの情報を提供し、どのようにその情報が使われるかを顧客自身が決定できるということなのです。

例えば、友人関係でも、信頼度によってSNSや電話番号、住所などといった連絡先をどこまで教えるかは変わってくるのではないでしょうか。VRMの考え方の中ではその意識が対企業にも及び、連絡先はもちろんのこと趣味や最近の関心事など、よりパーソナルな部分をどの企業に対してどこまで教えるかを個人が決定することになります。

そしてその判断基準は、企業の知名度や実績などから噂話に至るまでが参考となるのです。
今でも契約や個人情報提供の際は、利用規約などへの同意を求められますが、その内容をすべて読む人はほとんどいないのではないでしょうか。そういった、企業との契約関係を顧客側がカスタマイズできるようにするのがVRMなのです。

ハーバード大学もVRMに関するプロジェクトを開始

Project VRMImage :引用元|【公式】Project VRM

ハーバード大学とVRMにはどのような関係性があるのでしょうか。その答えは至ってシンプルで、ハーバード大学のインターネット関連の研究所であるバークマン・センター(Berkman Center)にProjectVRMを立ち上げた人物こそが、2006年にVRMという概念を提唱し始めたDoc Searlsなのです。

そしてこのプロジェクトは、ユーザーが自らのデータを効果的に活用できるようにするためのツールやサービスの開発促進を目的としています。というのも、これまで企業が苦労して行ってきたデータ管理を個人単位で行うことは、それほど簡単ではないからです。
それには、企業や行政機関との関係性を管理するための個人向けツールの提供や、個人データを集積管理するためのセキュアなデータベース、個人がデータ提供先の決定を行うための能力など、様々な要素が必要となってきます。そういった問題の解決なしにVRMの実現は難しいのです。

しかしこれは事業者からしてみれば、ビジネスチャンスにもなり得るのです。まだまだ見えていない問題が潜んでいるからこそ、興味深い分野かもしれません。

ソーシャルメディアとクラウドはこれからもマーケティングの主役

social media

もしVRMが実現すれば、企業側も受け身ではなく、一般の消費者が自ら進んで発信しているFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを通じたマーケティング活動が非常に重要になってくると考えられます。

これまでは、自社サービスへの登録や購入履歴などにより顧客データをある程度獲得できていましたが、VRMが広がっていった場合、これまでと同じように顧客データを得ることは難しくなるでしょう。そういった状況で、ソーシャルメディアを通じた消費者行動分析や、レビューなどから消費者の情報を得る必要性が増すと思われます。

また、個人のデータ蓄積におけるクラウドの必要性がさらに増してくる中で、情報管理の信頼性が今より重要となるからこそ、よりセキュアなクラウドが不可欠となっていきます。

VRMは言い換えれば、個人データを自らで管理しなければならないことを意味します。これまでB向けに行ってきたレベルでのクラウドのセキュリティが、個人単位で必要となってくる可能性が高いということです。今後、顧客がどの企業・組織に個人のデータを提供するか選択できるようになったら、選ばれた側は情報流出などによってその信用を失墜させないよう、これまで以上に注意が必要となると思われます。

ここまでのお話は、あくまでVRMが実現したら、という仮のお話です。数年でCRMが完全になくなるとも言いにくいでしょう。しかし今後、企業にとっても、個人にとっても、先を読んで行動に移すことで、様々なベネフィットをより獲得できるのではないでしょうか。

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Nihei

Nihei

ウフルのインターン生。普段はウフルのマーケティングを担当。アイルランドに行った際にその文化に魅せられてしまった。コーヒーとビールが大好き。そして新しいモノ好きで、気になったものはすぐに衝動買いしてしまう。旬のトピックが好きなので、最新の情報を随時お伝えしていきます。
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