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物流・IoTxAI・ヘルスケアワーキンググループ IoTパートナーコミュニティフォーラム 04


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2018年12月18日に「IoTパートナーコミュニティフォーラム2018」が開催され、物流・IoTxAI・ヘルスケアワーキンググループ(以下、WG)の発表をレポートします。

物流ワーキンググループ
荷物や車両の到着通知の活用を突き詰めた結果たどり着いた先は、利用者や利用シーンに合わせて選択できる通知手段の提供だった
株式会社日立物流 桜田崇治 氏

株式会社日立物流 桜田崇治 氏

物流に関わる”人々”の満足度を高めたい

物流WGでは、ドライバーや倉庫の従業員、また荷物を受け取るお客様など物流に関わる人々の満足度向上を活動方針として取り組みを行ってきたと活動を紹介しました。

2017年の活動は、「『ドライバーと受け取る人、ともに満足できる仕組みを作りたい』をテーマとし、配送ノウハウの伝承や配送効率の向上、また、荷物の届け先の消費者に対し、正確な到着時間を伝えたいというニーズの実現を目指しました。」と振り返ります。

具体的には、ドアの開閉や停止時間から滞在時間を推定する仕組みづくりを実施し、動態実績だけでは判断できない部分はタブレットで配送日報を記録することにより、届け先の滞在時間のばらつき要因を分析することが可能になりました。また、ドライバーにより配送ノウハウにばらつきがあることも顕在化することができたと成果を説明します。

ドライバーに配送ノウハウの共有の可能性

「しかし、精度向上や効率化だけでは導入までのハードルをクリアできないことが判明し、目指すべき観点を変える必要がありました。」(桜田氏)

売上げ向上に繋がる取り組み

2019年の活動としては、「到着通知で売上向上できないか」ということに着目し、移動スーパーや移動図書館など、利用者と待ち合わせをするサービスに応用できるのではないかと考えたと言います。

実際に移動販売の現場にいくと、「周辺の住民からスピーカーを使うとクレームがくる」「現状お客様に到着を伝えるために電話をかけているので大変」といった課題があることが判明しました。また、利用者も「到着の時間が一定しないので困る」「電話番号を教えたくない」といった声を聞くことができ、販売に目を向け、売上げ向上にチャレンジしようとした背景を説明します。

予期せぬ検証中止

しかし、専用のスピーカーを作成し、あとは実証実験と思った矢先、諸々の事情があり実証実験先であった移動販売車での実証実験が突如中止になり、このソリューションの価値を再考に迫られました。

IoTのソリューションは通常、どのような情報をどのような手段で取得するかが観点になりますが、物流WGでは通知を受け取る人に着目し、ボタンが押されたら、利用者の希望する方法に応じて様々な通知手段を用いて通知することができることに価値を置きました。

サービス提供イメージ

例えば、配送車が特定のエリアに侵入したら自動で電話連絡が来る仕組みとして、実際に電話が鳴るシーンや荷物を取りに来た業者が専用のボタンを押すとスピーカーから到着を知らせる音声が流れる動画デモを紹介しました。さらに今回のサービスは、テレマティクスや異常検知など、既存のIoTソリューションと連携することで利用者のニーズやシーンに合わせた通知手段の選択肢を増やすことができると述べました。

既存のIoTソリューションに様々な通知手段の選択肢を増やすことが可能

最後に、「今回作成したソリューションについては、オフィスIoTWGと連携して継続して商品化をめざしながら、来シーズンはさらにHACCAPなどの新しいテーマにもチャレンジしていきたいです。」と来期への意気込みを語りました。

IoTxAIワーキンググループ
動画を活用したヒヤリハット可視化ソリューション 〜物流倉庫におけるPoC〜
株式会社オークファン 中村泰之 氏

株式会社オークファン 中村泰之 氏

倉庫内でフォークリフトの位置を特定したい

「IoT×AI WGでは物流WGとコラボレーションし、日立物流倉庫で稼動している三井物産エレクトロニクスが提供するフォークリフトの安全と自動管理サービス『FORKERS(フォーカーズ)』の課題を解決する取り組みを行ってきました。」と活動を振り返ります。

FORKERSは、急ハンドルや急発進など、ヒヤリハットに繋がりやすい動作の前後30秒間の動画を記録することができ、どんな状況でヒヤリハットが起きたのかは分かるものの、広い倉庫内のどこで起きたのかという場所の特定は困難です。FORKERSの動画やセンサー情報から、場所を特定することで、ヒヤリハットの起きやすい倉庫内の死角や荷物の置き方などの改善に繋げられないかと検討しました。

解決のアプローチとして、広い倉庫にセンサーを付けるのはコストが掛かったり、運転の妨げになったりする可能性もあり、できるだけ今あるものを活用して、安価に位置を特定することを考えました。そこで、倉庫内にタグのようなものを設置し、FORKERSの動画に映り込ませることで、位置が検出できるのではないかというアイデアに至ったと言います。

カメレオンコードによるPoCの実施

動画に映すタグには、できるだけ遠くから認識でき、多少の歪みや傾きがあっても読み取れるという理由から、カメレオンコード(カラーバーコード)を利用することにしました。今回のPoCでは倉庫の柱の様々な位置にカメレオンコードを貼りつけてテストを行いました。

結果としては、一定の間隔でカメレオンコードを貼りつければ、動画に映し込みやすいことや、柱の下の方に貼りつけることで、より遠くのカメレオンコードを動画に映し込むことができることなど、現場ならではのノウハウが得られたと説明します。

撮影した動画を解析した結果、動画内のカメレオンコードのID、輪郭、向き、大きさを取得する事ができ、そのデータから柱の位置、コードの傾きなどが取得することができました。さらに、簡単なモデルを作成し、カメレオンコードの情報からフォークリフトの位置をある程度推定できることがわかったと、実際の撮影動画から推定位置を表示するデモ画面を披露しました。

予期せぬトラブル

途中、FORKERSのカメラの仕様が変更になったことで、トラブルもあったようです。カメラの変更は、撮影範囲の広角化で、当初はより広い範囲のカメレオンコードが映ると思っていたのですが、実際には歪みなどの影響で、認識率が極端に下がってしまったそうです。これにより、単に広く映れば良いというわけではなく、カメレオンコードが認識できるカメラを選ぶ必要があることを分かり、カメラも含めたソリューション提供へアプローチを変更したとのことです。

サービス提供イメージ

WGメンバーの交通情報サービスの福知氏から、サービス構成や提供価格のイメージについて説明がありました。価格は概算のようでしたが、サービス構成は具体的に紹介され、これをもとに、今後、ユーザーヒアリングなどマーケティングをしていくと説明しました。

「現在はフォークリフトに搭載されたカメラに限定したものだが、カメラもセットで提供することで、様々な用途に展開できると考えています。また、今はバッチで撮りためた動画を処理する形だが、将来的にはリアルタイムで処理できるようにすることで、さらなる活用が考えられます。」と、ソリューションの利活用シーンの拡大についても語りました。

システムイメージ(将来)

今回のPoCで分かったこと

PoCの結果から重要なポイントとして、次のことを挙げました。

  • 大量にセンサーを使うという位置測位の前提について、カメラと紙のコードを貼るだけで、ある程度の精度で位置を特定できることが分かった。
  • カメレオンコードの数を増やすことで、精度の向上が期待できる。
  • (一定の検証はいるものの)汎用的なカメラでも利用できる。
  • GPSが使えない屋内の位置情報取得に活用できる。
  • カメラを固定してコードが動くというパターンや引き出しの開閉を検出するなどの応用もできる。
  • 測定データを蓄積することで、移動軌跡の作成や移動予測など、様々なことにデータを活用できる。

最後に、来期はサービスのブラッシュアップとユースケースの探索に取り組んでいきたいと締めくくりました。

ヘルスケアワーキンググループ
病院とメーカーをつなぐモノのプラットフォーム 〜リファレンスモデルの構築を目指して〜
サトーヘルスケア株式会社 友澤 洋史 氏

サトーヘルスケア株式会社 友澤洋史 氏

身近になったRFID

近年、交通系カードや車のキーレスエントリーなどRFIDはすっかり身近になっており、重要な社会インフラになってきています。また、最近では経済産業省が2025年までにコンビニに電子タグを1,000億枚普及させるという宣言により、今後RFIDの価格が低減していくと期待されています。

このようなRFIDの価格低減化の期待もあり、今年の4月に今までは各医療機器メーカーが各社独自で利用していたRFIDを来年の4月までに業界標準化していこうというガイドライン化も進んでいると言います。

RFIDの有効活用 〜IoTゴミ箱〜

病院でのRFIDの有効活用の例として、IoTゴミ箱を紹介しました。使用済み医療機器の空き箱を、RFIDを読み取るアンテナを内蔵したBOXに投入することで使用数を自動でカウントできるといった仕組みをつくり、実際に名大病院での実証実験を企画しました。

IoTごみ箱 メーカーが貼付したRFIDの有効活用

現在、病院では「手術室周りの効率化」が非常に重要な課題となっており、ヘルスケアWGでは、手術室の周りの医師や看護師、医療機器などの情報を収集し、最適化できるプラットフォームを構想しました。

このプラットフォームにより手術に関わる各プレイヤーそれぞれにメリットがあると友澤氏は語ります。看護師は、手術中、多様な業務が発生するなか、使用した薬剤や医療機器について記憶しておくことが困難です。そこで、使用済みの空き箱を該当のゴミ箱に捨てるだけで自動的に使用したものを正しく集計できることがメリットだと言います。

また、手術機器を納品する卸業者については、メーカーから配送された医療機器と病院に在庫としてある医療機器を把握し、1回の手術で使用する必要機材を取りそろえる業務が非常に大変で、さらにメーカー側では、病院でどの機器が使用されたかが分からないという課題もありました。

そこでRFIDを利用することでデータをクラウドに収集し、メーカー・卸業者は、病院での機器の使用状況が把握でき、製造・流通の最適化を実現することができました。また、病院側でも日々1回の手術用として200アイテムほどの機器などが納品され、病院の担当者がメーカーと読み合わせで行って納品管理にRFIDを利用することにより、大幅な稼働削減が見込めます。

名大病院スマートホスピタル構想

このように手術室周りのデータを収集することで、平均の手術件数や手術の回転率の可視化も実現しています。また、現状は名古屋大学病院でのみ実証実験を行っていますが、ほかの5~6施設の病院も同様の取り組みを実施したいと手を挙げています。複数の病院でのデータも収集することで、他病院とのベンチマークや比較ができると言います。

今後の展開

2019年4月には、名古屋で開催される日本医学会総会の場で現状取り組んでいる実証実験の結果発表するとともに、実証実験のその先として、可能性の一つとしてはコンソーシアムの立ち上げなどを実施したいと語りました。

最後に、「ヘルスケアWGのパートナー企業のメンバーの知識やスキルを集めることによって、ここまでこれたと思っています。よくIoTは1社ではできないと聞くが、まさに身をもって体験・実感しました。」と締めくくりました。

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