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セキュリティ・ブロックチェーン・FoodTechワーキンググループ IoTパートナーコミュニティフォーラム 05


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2018年12月18日に「IoTパートナーコミュニティフォーラム2018」が開催され、セキュリティ・ブロックチェーン・FoodTechワーキンググループ(以下、WG)の発表をレポートします。

セキュリティワーキンググループ
IoTのセキュリティリスクと対策
セキュリティテストベッド構築とIoT保険への取り組み
株式会社セゾン情報システムズ 樋口義久 氏
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 古賀俊輝 氏

セキュリティWGの紹介として、IoTにおけるセキュリティをどのように大事にしていくか、またセキュリティだけでは担保できない領域をどうカバーしていくかという2つの課題に対して、IoTセキュリティテストベッドの構築とIoT保険の開発を目標として活動してきたと述べました。

IoTのセキュリティリスクと対策

IoTセキュリティテストベッド

「IoTではPoCが優先され、セキュリティは後回しになることが多く、そのまま本番運用を開始してしまうといったケースも少なくありません。」と、IoTのセキュリティの現状について語ります。また、活動の主旨については、そのような現状に対して、IoTセキュリティに強い人材を育成するために、セキュリティショーケースのような実物による啓蒙活動が必要と考え、IoTセキュリティテストベッドを構築することとしたと経緯を説明しました。

今期は主に、前期に完成したテストベッドの活用に向けた準備で、ビジネスで活用するためのプロセスの策定や紹介資料の準備を行いました。

テストベッドの紹介資料

IoTへの脅威

その紹介資料には、機器層からサービス層まで、IoTの各レイヤーにおけるデータとそれに対する脅威やリスクが示されており、過去に起きた大規模なサイバー攻撃の事例を紹介し、現在は攻撃の難易度が下がり、セキュリティリスクが高まっていると言います。

株式会社セゾン情報システムズ 樋口義久 氏

またIoTセキュリティテストベッドが、「これからIoTを始めたい」「対策の必要性は理解しているがセキュリティの知見がない」「実際に構築したものがセキュアかどうかを確認したい」といったニーズをお持ちの方が、実体験から脅威と対策を学べる環境であると紹介しました。

今後は、IoTセキュリティテストベッドを用いたセキュリティの啓蒙活動として、地方での啓蒙イベントの開催や他のWGとの連携を進めていくとのことでした。

IoT保険の開発

セキュリティWGの後半は、あいおいニッセイ同和損保の古賀氏より、IoT事業者向けの保険商品の開発に関する発表です。

まず保険について、IoTに限らず、リスクをゼロにすることはできないという前提と、ゼロにすることはできない世の中のリスクに、合理的かつ最小限のコストで立ち向かうことが保険の意義を説明しました。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 古賀俊輝 氏

IoT事業者総合保険の特徴

今回開発したのは、IoTビジネスにおけるセキュリティ対策で回避しきれない残存リスクにより、インシデントが発生してしまった後に役立つ保険であると紹介し、IoTビジネスに特有の「モノとインターネットが融合されたビジネス」を総合的にカバーできるのが特徴と説明しました。

商品コンセプト よりシンプルに、よりワイドな保証をご提供

現在でもモノとコトのそれぞれに対応する保険商品がありますが、それぞれに加入する必要があるため、いずれかに加入していなかった、予算が取れていなかったというようなケースがあるそうで、そのような煩雑な手続きや補償範囲をシンプルにすることを念頭に開発したと述べました。

最後に、今回のIoT事業者総合保険が、パートナー企業の協力を得て、新発売することができたことに感謝を述べ、今後の展望として「今回は、IoTを提供する事業者のための保険として開発したが、IoTを利用する方のための保険や保険を軸としたバリューチェーン構想などでも協業を進めていきたいです。」と締めくくりました。

ブロックチェーンワーキンググループ
ブロックチェーンとIoTで実現するパーソナルデータの安心・安全な利活用
株式会社セゾン情報システムズ 佐々木勝 氏

これまでの活動実績

2016年は、ブロックチェーン技術の特性を生かし、安心・安全な非対面取引を可能にする本人のみ受け取り可能な宅配BOXを発表しました。また、2017年はスマホを鍵とした安心・安全なシェアリングエコノミープラットフォーム「Connected Key」をプロダクト化し、これまでの活動実績を紹介しました。

株式会社セゾン情報システムズ 佐々木勝 氏

パーソナルデータの安心・安全な利活用を実現

今年は、Blockchain Personal Data Store(以下、BCPDS)に着目しました。そもそもパーソナルデータとは、個人に関する情報全般を指します。個人情報はもちろんのこと、単体では個人を特定できない行動・購買履歴なども含まれると言います。これらのパーソナルデータを活用することで、特定の個人向けに最適化された商品やサービスの提供が可能になると非常に期待されているデータであると説明がありました。

個人がデータを管理することによる課題解決(分散PDS)

事業者がデータを管理することによる課題もあると佐々木氏は言います。事業者がデータを管理すると、事業者は大量の顧客データを管理しなければいけません。また、自社の顧客データしか見ることができないため、顧客の真のニーズを引き出しにくいといった課題が生じ、個人側も自身にとって魅力を感じない大量のレコメンドメールを受け取ることになり、相互のメリットを享受しにくい課題があります。しかし、このデータ管理を個人に分散する形「分散PDS」にすることで必要なデータだけを個人から事業者へ渡すことができるのと同時に、事業者側では必要なデータだけ管理可能となり、自社以外の他社データも把握することができます。また、個人側では必要なデータを選んで自分に有益なデータの享受ができると考えたと言います。

健康経営に取り組む大手食品メーカーでの実証実験

社員の経営維持・増進を経営戦略の一環として取り組む大手食品メーカーと共同で実証実験を実施しました。成功させるためにクリアすべき課題としては下記3点を重視したと言います。

  • 会社がデータを収集管理しない → データは個人管理、提供同意したデータだけを利用
  • 必要十分なセキュリティの確保 → アクセスコントロール、公正さの可視化
  • 社員が自発的に参加してくれる魅力 → 活動量に応じたポイント制度

実証実験の第1弾としては、BCPDSの基本機能の実用性の検証を目的に実施しました。実証実験に参加した社員に、ウェアラブルデバイス「Fitbit(フィットビット)」とBCPDS実験用アプリを配布し、日々のFitbitの活動量データを会社のアカウントに対して提供するという流れです。約1カ月の検証期間で、延べ216人の社員が提供したデータが暗号化保存され、また会社アカウントはブロックチェーンで取得した暗号化キーを用いて復元し、データを参照ができること、および会社以外のアカウントは鍵を入手できないためデータを参照できないことを確認しました。これによりBCPDSの実用性を確認できたため、実証実験の第2弾として実利用に向けた検証項目の洗い出しや準備を進めていくと説明しました。

パーソナルデータの活用事例 保険契約

「実証実験は引き続き継続していくとともに、BCPDSは健康維持だけではないパーソナルデータ全般を汎用的に取り扱えるため、ほかの企業との協業を進めていきたいです。」と今後の活動について述べました。

FoodTechワーキンググループ
飲食店の経営を起点とした「食」の課題解決
株式会社セカンドファクトリー 千葉隆一 氏

セカンドファクトリーとFoodTech WG

セカンドファクトリーはIT企業でありながら、フードテック領域でのソリューションの検証・構築のために、自らフードエンターテインメント事業を新規事業として立ち上げ、実店舗を営業しています。

株式会社セカンドファクトリー 千葉隆一 氏

FoodTechは、生産から消費までのサプライチェーン全体が対象ですが、その中でも「サービステック」と表現される飲食店と消費者をつなぐ部分で、いかに経営改善ができるかと言うことをテーマに取り組んでいます。

世界に比べて、日本の飲食を含むサービス産業の伸長率が低く、これは現場でITが活用されていないのではないかという仮説のもと、様々なITおよびIoTの活用を検討しています。

飲食店でのPoC

1.リアル「いいね!」ボタン

お客様が、4つのボタン「食事いいね!」「雰囲気いいね!」「店員いいね!」「もっとがんばれ」で、それぞれ投票することができる仕組みです。実店舗で実施してみたところスタッフが行動を改善する機会になるなど、モチベーションアップに繋がるケースもあったと言います。

2.TRIENT

IoT化していない、通電していないテーブルなどにQRコードやNFCタグを貼りつけることで、お客様自身のスマートフォンから注文や店員呼び出しができるようになるサービスで、すでにセカンドファクトリーが商用サービスとして提供しています。さらに、注文システムと連携することで注文内容のログも取得でき、分析の幅を拡げることができます。

3.スタッフの動きを可視化

スタッフが持つビーコンにより、スタッフの行動ログを取得し、接客回数や接客時間、またスタッフ同士の関係性を可視化することができます。さらにPOSデータと合わせて分析することで、接客内容と売上げとの相関を可視化するなども可能になります。

4.行動を促す店舗内ダッシュボード

取得したデータを可視化するだけでなく、そこから店員がとるべきアクションを提案するダッシュボードで、これにより、スタッフが目標客単価に足りないテーブルに追加のレコメンドをするなど具体的なアクションがとることが可能です。

飲食店におけるデータサイエンス

PDCAサイクルの精度と速度を上げ「利益を最大化」

実は、飲食店が実現したいことは、シンプルに「従業員満足度と顧客満足度の向上」とそれによってもたらされる「利益の最大化」だといいます。ただ、それに起因する要素は非常に多岐に渉り、把握、コントロールすることは容易ではないそうです。そのため、「データを収集し、エビデンスベースで意思決定をするというサイクルをまわす必要があり、このPDCAサイクルの速度と精度を上げることが利益の最大化に繋がると考えています。」と千葉氏は話しました。

ビジネスモデルどうする問題

しかし、データを取得し、可視化ができるようになると「ビジネスモデルどうする問題」に直面すると言います。これは飲食店業界の構造に大きく関係しています。飲食店業界は、メガチェーン、スモールチェーン、個店に大きく分類され、メガチェーンとそのほかでは、本部やフランチャイズ制度の有無など、ビジネスモデルが大きく異なります。

PoCではなく商用化に向け解決すべき課題

「立地や店舗の規模・設計、業態、理念などによって、F:材料費、L:人件費、R:地代家賃のバランスは100店100様のため、業界全体を一律に最適化するソリューション提供は難しく、”個”のそれぞれのニーズに合わせたビジネスモデル提供の方が優先度は高いと考えています。」と述べました。また「PoCでソリューション検証はできたので、これからは、商用化に向け解決すべき課題を整理し、その課題解決に向けたアクションをとるというフェーズになります。」と今後の展望について述べました。

「食」の課題解決

最後に千葉氏は、「飲食店や消費者の行動などを、FoodTechにより生産サイドにフィードバックしていくことが、食のバリューチェーン全体の最適化に繋がり、食に関するSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献できると考えています。」と締めくくりました。なお、FoodTech WGは、ビジネスフェーズ以降のためWGの活動は一旦収束しますが、飲食店を起点に業界全体の最適化を目指す意欲を見せました。

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