uhuru

Live

ALL

REPORTS

IoT時代に成功するためのデータ活用 開催レポート


  • Share

ウフルは「IoT時代に成功するためのデータ活用」と題したセミナーを開催しました。多くの来場者が集まった、このセミナーの模様をレポートします。

第1部

データ流通ビジネスのいま
-データの自由な流通を確保することによるイノベーション創出-

株式会社ウフル IoTイノベーションセンター ディレクター/一般社団法人データ流通推進協議会 理事
杉山恒司

株式会社ウフル IoTイノベーションセンター ディレクター/一般社団法人データ流通推進協議会 理事 杉山恒司

1月23日に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、安倍晋三首相はデータ流通のルールを作るために、世界貿易機構(WTO)加盟国による交渉の枠組みを提案しました。安倍首相は「成長のエンジンはもはやガソリンではなくデジタルデータで回っている」と指摘した上で、データの自由な流通が経済成長や貧富の格差解消につながると語っています。

このデータを活用し、大きく成長した企業として挙げられるのがGAFA(Google/Apple/Facebook/Amazon)と呼ばれる大手IT企業です。ただ、これから日本企業がGAFAを目指すのは違うのではないかと杉山は語ります。

「データの独り占めや個人情報の流出といった不安を払拭した、日本流の戦い方をすべきではないでしょうか。特定の国、特定の企業にデータを集中させず、競争環境を整える。そのために、産学官、業界、企業すべてが連携し、日本発の国際標準化を目指す。今はそういった動きになっています」

経済産業省:Connected Industries

続けて杉山は、日本政府の考え方として内閣府、総務省、経済産業省のそれぞれの取り組みを紹介しました。内閣府は「Society 5.0」という超スマート社会を提唱しており、総務省は「データ主導経済と社会改革」を、経済産業省は「Connected Industries」を提唱しています。Society 5.0を実現する手段がConnected Industriesであり、それは、すべてのモノゴトがつながることによって新たな付加価値の創出や生産性の向上、社会課題の解決がなされ、ゆくゆくは産業競争力や国民生活の向上、経済の健全な発展に通じると説明しました。

この取り組みについて杉山は、「ただし段階的に進めなければ計画倒れに終わりかねません。そこで経済産業省は『自動走行・モビリティサービス』や『ものづくり・ロボティクス』など5つの重点分野を定めています。そうした取り組みを進める上で必要となる、基準作りを進めているのが一般社団法人データ流通推進協議会です」と話しました。

データ取引市場を構成する3つの機能

こうしたデータ流通について、従来は相対・個別取引が一般的だったと杉山は指摘します。その上で「データ流通において、現状存在していないのがデータの取引市場です。データ提供先とデータ提供者、そしてデータ取引市場運営事業者の3つのプレイヤーがデータ取引市場を構成し、データ流通は進んでいくと言われています」と話しました。

データ流通がもたらす変化として、自社では入手しづらかったデータが取得可能になること、自社保有のデータを二次利用として販売できるようになること、自社・他社含め様々なデータを組み合わせることでより競争力のあるサービスや製品の開発につながることを期待されます。

ただ実際にデータ取引を行うための市場を運営する上では、個人データの厳密な管理やデータの品質の担保といった面で課題があります。また、多様なデータの円滑なマッチングも課題となります。それらの課題を解決するためにデータ流通推進協議会が設立されました。

この団体は2017年6月より有志企業で立ち上げ作業が開始され、2017年11月1日に一般社団法人として設立されました。2019年1月7日時点での会員数は129に達し、多くの著名企業が参画しています。活動実績も数多く、情報銀行検討会にオブザーバーとして参加、意見提出を行ったほか、データ取引市場運営時業者認定基準の策定なども進められています。

このようにデータ流通推進協議会の取り組みについて説明した杉山は、最後に「子どもの頃にSF小説で夢見たあの未来を実現するためには、国や業界、企業をまたいでデータ流通させなければ不可能です。地球全部が一緒になってデータを共有し、よりよい社会を作りましょう。データ流通推進協議会は、そのために必要となる標準化の作業を進めていきます」とまとめました。

第2部

ヒトとモノのデータからビジネス成果を創出するプラットフォーム

アーム株式会社 IoTサービスグループ シニア・プロダクトマーケティング・マネジャー 薩川格広 氏
トレジャーデータ株式会社 アカウントマネージャー 鳥居央 氏

アーム株式会社 IoTサービスグループ シニア・プロダクトマーケティング・マネジャー 薩川格広 氏

アームという社名を聞いたとき、多くの人がまず思い浮かべるのはスマートフォンで標準的に使われているプロセッサではないでしょうか。しかし現在アームは、そうしたプロセッサの設計だけでなく、2018年に買収した米トレジャーデータ、そして英ストリームのそれぞれのソリューションを組み合わせた「Arm Pelion」というIoT統合プラットフォームを提供するなど、IoT領域においても存在感を高めています。

こうしたプラットフォームを提供した背景として、次世代のデジタルトランスフォーメーションを実現するための下支えとなるためだと説明するのはアームの薩川格広氏です。では、次世代のデジタルトランスフォーメーションとはどういったことでしょうか。薩川氏は次のように説明しました。

ヒトとモノのデータを掛け合わせることによるビジネスイノベーション

「これまでのデジタル化は、人に紐付くデータを使って何かをする、そして別の側面でデバイスのデータを集約して何かしらの活動に結びつけるといった形で、それぞれは必ずしも有機的に結合していませんでした。しかし、この2つが融合するところに新しいビジネスやイノベーションがあるのではないか。我々はそうした取り組みを次世代のデジタルトランスフォーメーションであると考えています」

続けて、トレジャーデータの鳥居氏が企業におけるデータ活用の現状について「カスタマーデータプラットフォームの領域とIoTの領域を組み合わせ、それぞれのデータを重ね合わせて活用する、そういったニーズが高まっている」と説明し、「データが散在していてうまく活用し切れていない。データを使って何かをしているが思うような成果が得られていない。そういったご相談をいただくことが少なくありません」と続けました。

トレジャーデータ株式会社 アカウントマネージャー 鳥居央 氏

このデータ活用の目指すべき姿として鳥居氏が説明したのは、自由にデータを取り出し編集することができて、なおかつ自社で保有していないデータもつなげて活用する世界です。そして、それを実現できるのがPelionのコアの一つであるデータ管理機能(Pelion Data Management)であるとしました。このデータ管理機能は、トレジャーデータが従来「Treasure CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」として提供してきたデータ処理基盤をPelion向けに拡張したものです。

「Treasure CDPは顧客を理解するためのプラットフォームとして展開しています。大量のデータを一元的に集約して分析・活用するためのクラウドサービスであり、すでに120兆ものデータを管理しています」

Treasure CDPが求められる背景として鳥居氏が話すのは、データのサイロ化です。さまざまな場所、さまざまなツールごとにデータが存在している現状を改め、トレジャーデータのプラットフォームに集約することで、各部門や施策が個別にデータを使うのではなく、全社的な枠組みの中でデータを活用できるとしました。

トレジャーデータのソリューションが選ばれる理由としては、数百を超えるコネクタを自社のエンジニアが開発していることが挙げられます。たとえばCRMからデータを取得し、One to Oneで顧客にメッセージを送信したい。そうした場合、トレジャーデータであればCRMとMAツールを容易に接続し、施策を実施することが可能です。またBIツールとのコネクタも用意されているため、経営指標を可視化する際のデータソースとしてトレジャーデータを活用できると説明しました。

最後に鳥居氏が語ったのは、データ活用のマイルストーンです。

データ活用のマイルストーン

「最終的にはデータを活用したビジネス変革、デジタルトランスフォーメーションに至ることになりますが、その前段で自社内のデータ統合、そして必要があれば外部のデータを活用する、それが重要なファクターではないかと考えています」

鳥居氏の後、ふたたび薩川氏が登壇し、Pelionのデバイスデータプラットフォーム部分、IoTデバイスと企業のエンタープライズデータを掛け合わせた事例として、パイオニア社の「事故リスク予測プラットフォーム」を紹介しました。

「このプラットフォームを利用した保険商品を契約すると、契約者に車載器が送られてきます。これは常時通信型のIoTデバイスになっていて、運転中のテレマティクスデータをクラウド上に送信します。こうして集約したデータをもとに機械学習を行い、事故の多発地点や、事故がまだ発生していなくてもリスクが高い地点を特定、その情報をもとにドライバーに注意を促し、事故の回避を促すという仕組みです」

このシステムに使われているのがPelionです。当然ながら、こうしたプラットフォームをゼロから構築するのは容易ではなく、現実的には難しいでしょう。またIoTデバイスを管理する必要があるほか、安全な形で通信するための仕組みも必要です。場合によっては、構造やフォーマットが異なるデータを、一元化することも考えなければなりません。Pelionはこれらの機能を一元的に提供しています。

さらにPelionを利用するメリットとして挙げられたのがセキュリティで、薩川氏は「商用ベースの大規模なIoT環境を構築し、そこでセキュリティインシデントが発生すると損失が大きくなる。そういったアプリケーションでは、デバイスを管理する概念がセキュリティに直結します。Pelionは、そのために必要になる仕組みをプラットフォームで提供しています」と述べました。

そして最後に「データとデバイス、コネクティビティの3要素をワンストップでセキュアに管理・運用できるテクノロジープラットフォームが、コマーシャルグレードの大規模IoTには不可欠。ただ、そのテクノロジープラットフォームはあくまで基盤で、アプリケーションやソリューションを提供するエコシステムとして構築されていなければ、実利へのアクセスは困難でしょう」とのメッセージを来場者に送りました。

第3部

ウフルのソリューションのご紹介

株式会社ウフル IoT×enebularビジネス開発 副本部長 竹之下航洋

株式会社ウフル IoT×enebularビジネス開発 副本部長 竹之下航洋

最後に登壇した竹之下は、ウフルのIoT関連事業の内容やこれまでの事例などについて解説しました。

ウフルがIoT基盤システムとして提供しているのが「enebular」であり、IoT製品やサービスの開発や運用を包括的に支援する、IoTオーケストレーションサービスです。ただ、ウフルではこうしたサービスを提供するだけに留まらず、企画の段階からディスカッションを行い、ハンズオンで作業を始め、マーケティングやクリエイティブ、ITマネジメント、さらには知財化といった領域までパートナーとしてサポートしていると竹之下は説明しました。その後いくつかのユースケースを紹介しました。

IoTデータ活用のステップ

さらにIoTにおけるデータ活用についても言及しました。竹之下はマイケル・E・ポーターらが提示した「『接続機能を持つスマート製品』が変えるIoT時代の競争戦略」(ハーバードビジネスレビュー 2015年4月号掲載)を引き合いに出し、データ活用は「モニタリング」、「コントロール」、「オプティマイゼーション」、「オートノミー」の順番で進化すると説明しました。あるシステムの中だけでデータを使うのは一次利用でしかありません。サプライチェーン全体、あるいは流通過程において流通業者や小売店とデータをやり取りする。こうしたデータの二次利用によって世界が広がります」

IoTデータの活用の発展:データ流通

さらに、こうしたデータの流通においてポイントとなるのはデータを取引するための市場であるとしつつ、そのデータの信頼性や出自を担保する必要があると指摘しました。
「そこでトラステッドデバイスという考え方があります。デバイスが改ざんされていない、ファームウェアが嘘をついていない、通信経路の途中で改ざんされていない、そういったことを保証するデバイスです。こういったトラステッドデバイスを作ることが第一歩になるでしょう」

また、こうした取引履歴を管理する必要性についても触れ、大企業が管理するのではなく、多くのプレイヤーが公平に取引を把握できる仕組みが必要と話しました。その上で竹之下は「それを実現するのが分散台帳技術です。ブロックチェーンに限らず、IoTに適した分散台帳技術を使って取引を管理する、そういった世界が来るのではないでしょうか」と話し、IoT時代が到来することでデータ流通が本格化するとの見通しを語り、講演を締めくくりました。

Contact

ご依頼・ご相談など、お問い合わせは、
下記フォームからお願いいたします。