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IoT Partner Community Forum 2019 レポート #01


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2019年12月17日(火)東京ミッドタウン日比谷内のBASE Qにて、「IoT Partner Community Forum 2019」が開催されました。

当日は、IoTパートナーコミュニティの活動成果を発表するとともに、IoTに関する最新のビジネスや事例を共有する場として、コミュニティで活動中の企業はもちろん、IoTのソリューション導入を検討される企業の方々にお越しいただきました。本レポートでは、当日行われた全17セッションを、3回に分けてレポートします。

第1弾のレポートでは、基調講演と協賛講演の概要についてご紹介します。

基調講演 世界、そして日本で進む第 4 次産業革命とは? ~ IoT 、 AI 、 クラウドが駆動するデジタル化 ~

株式会社インプレス 編集主幹 兼 IT Leaders プロデューサー 田口 潤 氏

株式会社インプレス 編集主幹兼IT Leadersプロデューサー 田口潤氏

デジタル技術のひとつであるIoTは、デジタル変革に欠かせない要素でもあります。IoTビジネスをデジタルビジネスと考えることで、見えてくるものもあるのではないでしょうか。メディアの立場から世界と日本を見てきたなかで、「このままだと日本は大きなチャンスを逃してしまうのではと危惧している」と語る田口さん。本講演では、田口さんがデジタル革命の実際、デジタル革命の要因や原動力、日本の実態についての知見を紹介。最後にはIoTパートナーコミュニティへの期待についても語りました。

もの作りを容易にするクラウドファンディング
2017、8年頃からアメリカで急激に増えているD2C企業。ECを介さずに消費者に直接商品を届けるこのビジネスモデルにおいて、有望企業が扱っている商品は日用品です。例として、裏側にセンサーを取りつけ、圧力や寝相といったデータを集めて最適なマットレスを製造する企業が挙げられます。D2C企業群の裏にあるのはクラウドファンディングです。クラウドファンディングは、2018年の172億ドルから、2030年には20倍にも成長すると予測されており、ユニークな新商品を作っていこうという動きが盛んに見られているのです。AmazonやGoogleも、メーカーとしての顔を持ち始めていますが、日本企業からはこうした話が出ていないのが現状です。

危機感を抱いたのは、3Dプリンターで鋳型を作ったStratasysの事例です。極めて精度の高い鋳型が簡単に作成できる技術は、将来日本の鋳物産業を破壊する恐れがあるといえます。製造業に限らず、フード・アグリ―など、ありとあらゆる産業でリニューアルを進めているのが現在の世界の状況です。果たして、日本はこうした世界の動きを掴めているのでしょうか。

デジタル時代への適応が必須に

現在見られるこうした動きを表す言葉が、2011年にNetscape Navigaterの開発者であり著名なベンチャーキャピタリストでもあるマーク・アンドリーセン氏がコラムで指摘した「ソフトウェアが世界を食べている」です。ソフトウェアが世界のあり方を根底から覆し、書き換えようとしているというこの言葉は、8年経った今、現実のものになっています。さらに、今後5~10年この傾向はさらに強まるでしょう。例えば、銀行や書店、レンタルビデオ店などに、この1ヵ月に行った人はどれくらいいるでしょうか。これらが数年以内に消える可能性が高いものだというのは、決して過言ではないでしょう。蒸気機関車が登場した第1次産業革命、電力が発明された第2次産業革命、情報通信技術が登場した第3次産業革命に次ぐ第4次産業革命と呼ぶにふさわしい、大きな変化がデジタル革命なのです。

働き方・考え方において、日本企業の多くは第2次産業革命、第3次産業革命の前半に留まっていると考えられます。例として、未だ残る年功序列制度や、通勤して会社で仕事をするのが当たり前とされていること、仕事での私物端末の利用禁止などが挙げられます。第2次、第3次の頃の考え方、働き方のままでは、第4次産業革命時代を生き延びることはできないでしょう。今求められるのは、デジタル時代に適用した企業への変革です。前例主義ではなく試行錯誤をして新しい挑戦を続けること、売上最優先ではなく、顧客満足度を優先した先に売り上げの向上があるといった変革を、スピード感をもって進めていく必要があります。

しかし、一朝一夕に第2次、第3次時代の企業がデジタル時代仕様に変われるわけではありません。経営者が50代、60代といった企業では尚更です。そこで、現場レベルで変えられるものが、ソフトウェアです。しかし、統計学や数学知識に長けたエキスパートが日本には多くいません。特にエンジニア領域に、本気で統計学や数学を極めた人がどれだけいるでしょうか。真剣に考えてみるべき問題です。
cognitenおアーキテクチャ
ノルウェーで北海油田のオペレーションをしているAkerが、フルIoT化のためにCognite ASを設立した事例があります。Cogniteは、あらゆるデータソースを引っ張り、関連付けて可視化するソリューションを作成しました。このCogniteをパイロット導入したのが、日本の横河電機甲府工場です。Google Earthのような使い勝手で、何のための機械なのか、部品は何で、どこに在庫があるのか、メンテナンスがいつ行われたのかといったことが可視化されます。設備の監視や予防保全、修理が可能なのです。

第4次産業革命は2005年頃に本格化し、クラウドの登場、スマートフォンの登場、ビッグデータ、AI、IoTと今後も急ピッチにカーブが右肩上がりになり、伸びていくことでしょう。

クラウドファンディングをバックにアメリカ企業が次々に斬新な発想の商品、サービスを生み出している一方で、日本はまだまだと言わざるを得ません。IoTプラットフォームを定義提唱している企業は数あれど、分散しているがゆえにどこにも求心力がないのが現状です。普及のためには、どこかが思い切って馬力をかけ、突出させなければなりません。突出したものには、協業ニーズが生まれます。その先に、日本初IoTプラットフォームが普及し、利便性が向上し、アジアとの連携の可能性が出てくるのではないでしょうか。国内企業で競ってばかりいる間は、有力なIoTプラットフォームは生まれないでしょう。

政府と民間の産業界が一体となり、国際社会と連携することで、産業のリデザインが実現します。ドイツのIndustry4.0にはアーキテクチャが存在していますが、日本では自動走行分野、モノ作りロボティクス分野、バイオ・素材分野、プラント・インフラ保安分野、スマートライフ分野の5分野がバラバラに議論し、連携については一切話されていないのが現状なのです。
低すぎる日本のIT技術者の年収
また、日本が抱える問題には、IoT人材の育成も挙げられます。IPAが日米エンジニアの報酬比較調査を行ったところ、全従業員では1割も差がなかったにもかかわらず、エンジニアに絞ると倍の差があるという結果が出ました。こうした状況では、デジタル時代を牽引するエンジニアが日本で増えるのは非常に困難だといえます。アメリカでは、終業後に大学の教室を利用してスキルアップのためのエクステンションズと呼ばれる授業が行われており、自発的にスキルアップを目指す人が多くいます。日本では、果たしてどうでしょうか。

ただし、個人の問題に立ち返るのではなく、変えるべきは社会の仕組み制度、企業の人事制度です。まず、IoTエンジニアを弁護士や会計士など、時間チャージで報酬をもらうプロフェッショナルな仕事にすべきでしょう。エンジニアは、本来自分の時間をコントロールし、アウトプットとインプットを行うのが仕事です。日本には、サービスをコストと捉え、モノやソフトの規模によりバリュー化させようとする傾向がありますが、サービスこそがバリューであり、価値の源泉です。このことを顧客・企業、社内の技術者が意識していかなければなりません。

IoT時代の価値を高め、時代を牽引する人の処遇を高める方向に進めることを、本フォーラムに期待しています。

協賛講演 Azure Sphereで実現!セキュアで簡単な「後付けIoT」

株式会社アットマークテクノ 代表取締役 實吉 智裕 氏
株式会社アットマークテクノ 實吉 智裕氏

株式会社アットマークテクノは、「Armadillo(アルマジロ)」というコンピューターを18年間製作し、そこから派生した「Armadillo-IoTゲートウェイ」を2014年から提供し続けています。その一方、ゲートウェイだけではIoTを形にできないため、新たなセンサーのプラットフォーム「Degu(デグー)」を2019年からオープンソースで提供しています。講演では、日本初のAzure Sphereに対応したIoTアダプタ「Cactusphere(カクタスフィア)」が紹介されました。

「Cactusphere」開発の背景には、IoTが未だ十分に普及しているとはいえない現状があります。期待感がありながらも今一つ盛り上がりに欠ける理由を、實吉氏はデータを集める難しさにあると語ります。本来、IoTは集めたデータから価値やサービスを見出すためのものであるにも関わらず、ひとつのIoTセンサーにするには莫大なコストがかかるため、普及しないのは当然の状況なのです。
Azure SphereベースのIoTアダプタ
「Cactusphere」は、既存の設備・機器を繋ぐことでMicrosoft Azureにセンサーや接点の情報をアップロードできるボックス型IoTアダプタです。中にはAzure Sphere の認定チップ(MCU)が組み込まれており、Microsoftが独自に開発しているセキュリティサブシステムが最初から入っているのが大きな特徴です。なお、Microsoftが10年間メンテナンスを行うとしているため、安全が担保されている点も利点です。インターネットへの接続を避けたい工場・医療・金融機関といった分野でも、Azure Sphereベースであれば安心して導入できます。アナログ入力、デジタル入力、デジタル出力、シリアル接続の最低4パターンを想定。少ないコストかつ簡単なステップでIoT化を実現できる社会を目指し、2020年3月のリリースに向けて現在開発が進められています。

協賛講演 DX実現に向けた”協創”によるイノベーションの創出

株式会社ウフル X United IoTイノベーションセンター ゼネラルマネージャー 米田 隆幸
株式会社ウフル米田
ベンダーフリーな協創を実現するため、IoTパートナーコミュニティの事務局を務める株式会社ウフル。本講演では、X United IoTイノベーションセンターゼネラルマネージャーの米田が、ウフルがどのようにクライアントチームと協創してDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現していこうとしているのかについてスポンサー企業の立場で語りました。

ウフルは、世界の隅々までIoTのテクノロジーを普及させていくことを目標としています。IoTが普及した世界では、ヒト・データ・プロセス・モノといったプロセスにおけるデータが蓄積されることで、社内外、上司と部下、ハードとソフトといったさまざまな項目がデジタルで繋がり、DXが実現可能となります。

DXが実現すると、デジタルシミュレーションにより、従来予測し得なかったミスや不良品の発生を予測可能にできます。そのため、これからは現場を持っていることよりも、シミュレートできる技術を持っている企業が強みを握るようになるでしょう。これまで強者であった現場を持つ企業は、デジタル革命を意識して対応方法を考える必要があります。
ウフルはテクノロジーをベースとした協創により様々なモノゴトをつなぎます
ウフルでは、DX実現に向けた顧客との協創、スマートシティ実現に向けた地域・市民との協創、パートナー企業との協創を実現するエコシステムの形成など、テクノロジーでさまざまな物事を繋いでいます。特にアセットのトラッキングと、ファシリティのマネジメントに注目しBaaSを構築しています。これまでは量の最大化がビジネスであり、差別化要因は機能、品質、コストでした。しかし、今後は機会の最大化こそがビジネスであり、マイクロ、速さ、共有が差別化要因になるでしょう。これからも、ウフルはさまざまな企業と協創し、IoTを活用した新たな価値、新たなビジネスを作っていきます。

協賛講演 AI/IoT/ビッグデータ時代の業務につながるデータ活用とは

株式会社ジール 営業第二部 アカウントセールス 中村 健 氏
株式会社ジール 中村健氏
株式会社ジールは、業務データ分析システムの開発を行っている会社です。データに関してよく寄せられる質問や悩みには、「データ活用に取り組みたいが進め方がわからない」「他社のデータ活用の進捗状況を知りたい」「蓄積されたデータはあるが、分析に活用できていない」などが挙げられます。これらについて、データ分析関連専門の提案営業を手掛ける中村健さんが語りました。

ビッグデータの時代と言われる現代。量、種類ともに、データは急激なスピードで増えています。そのなかでニーズが高まっているのが、「今」のデータです。これまでは過去のデータを可視化することで何が起こったのかを分析していましたが、昨今では「今何をすべきか」の判断が求められているのです。

では、企業ではどこまでデータを活用できているのでしょうか。私が担当していた大企業では数百を超えるシステムがあり、それらは別々に開発されています。そのため、データの共有ができず、横断的な活用が非常に困難であるのが現状です。DWHがあった場合でも、ビッグデータは別で管理されているケースが大半な印象があります。
課題はどこにあるのか

データを活用するためのサイクルは、収集・統合・可視化・分析・アクションの5つに分けられます。このうち、課題となる「データの統合」を進めるには、5W1Hによるアプローチが有効です。最近では、クラウドを活用することでスモールスタートが切れる環境が整っていますが、目的・役割分担・利用するテクノロジーといった点を押さえておかなければ、どこかで躓いてしまうでしょう。

テクノロジーは刻一刻と変化しています。そのため、できることもどんどん進化しているのです。ユーザー部門やIT部門が一緒になり、業務課題の解決方法を考えることが今必要だといえます。今後も、ジールはデータ活用のスペシャリストとして、顧客に寄り添える集団であり続けます。

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