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IoT Partner Community Forum 2019 レポート #02


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2019年12月17日(火)東京ミッドタウン日比谷内のBASE Qにて、「IoT Partner Community Forum 2019」が開催されました。

第2弾となる今回のレポートでは、ワーキンググループ(以下WG)発表と協賛講演の概要についてご紹介します。
全17セッションを、3回に分けてレポートしております。

第1弾のレポートもあわせて御覧ください。

WG発表 物流WG 荷主さんが求めるトレーサビリティ×IoT

ユーピーアール株式会社 ICT事業部 目黒 孝太朗 氏

物流には「輸配送」「荷役」「保管」「包装」「流通加工」「情報管理」の6大機能があります。連日報道にも取り上げられているように、物流業界は人手不足が大きな課題です。作業者への負荷が増している背景があるなか、HACCP(食品衛生管理手法の制度化)やGDP(医薬品流通のガイドライン)など、物流がかかわるガイドラインや法律などの制度化が促進。トレーサビリティが求められています。

物流に求められるIoTは、位置情報・温度情報・加速度情報の3大要素です。まず、位置情報についてです。一般的な位置情報の取得方法はGPSを使用する方法ですが、物流では目的となるものが箱に入れられ、さらにトラックに入れられるため、衛星から情報を取得しづらく、常に目的を追うことで電池の消耗にも直結します。そこで物流では、携帯回線・LPWA回線の基地局を用いた基地局測位による位置情報取得が適していると判断。実証実験の結果、移動経路を取得するには十分であるとわかりました。

次に、温度管理についてです。GDPで求められるのは温度校正です。温度計が正しいことを示す必要があり、3種類の書類の提出が義務付けられています。温度管理には温度センサーを使う他なく、実証実験の結果、変化が起きるのは荷積みや荷下ろしなど、人が介在する場面に限られることがわかりました。

最後に、加速度についてです。こちらも加速度センサーを使用する他ありません。実証実験では、センサーを仕込んだ白い箱を籠車に乗せ、出入りを行いました。結果、大した衝撃を加えていないにも関わらず、13Gを示しました。実験の動きで製品が破損した場合、原因は輸送時の動きではなく製品不良と思われるレベルの動きでの結果だったため、数値はあまり意味をなさないと結論づけられました。

これらの実験を踏まえ、物流に適した理想のIoTデバイスを作成。位置情報・温度・加速度を5分に1度確認し、数値だけを見ても意味のなかった加速度では、荷崩れに繋がる荷物の向きや天地無用のチェックをポイントとしました。

荷主・ドライバーに優しいトレーサビリティとして、IoTの導入は最適です。実用には使い捨てにする必要があるなど、今後も物流に適した開発を進めていきます。

WG発表 ウェアラブル活用WG ウェアラブル×サバゲーハッカソンを通じた用途創出の取組

株式会社Enhanlabo 代表取締役社長 座安 剛史 氏

Enhanlaboでは、デジタル情報をハンズフリーで見られるデバイス「b.g.」の開発・製造を行っています。B向けに展開する際、どの情報を映し出すのか、どう活用するのかを考える必要があるため、オープンイノベーションでの活動が必須です。

ウェアラブル活用WGでは、ウェアラブル×IoTのエコシステムを作ることを目的としています。ウェアラブルは現状ではまだあまり価値や認知が広がっておらず、キラーアプリケーションコンテンツが求められています。そのため、Season7ではエンターテイメント要素のあるサバゲ―を用いハッカソンを実施。9月7日、8日の土日にASOBIBA池袋フィールドでサバゲ―を体験し、ウフルでハッカソンを行いました。本ハッカソンには、多数の企業から技術の提供を受けています。

ハッカソンでは、株式会社アカツキライブエンターテイメントの古川氏より課題が提示され、その後20名の参加者を4チームに分けてプレゼンを行いました。優勝チーム、準優勝チームともに、課題として着目したのは戦況が不透明でわかりづらい点でした。自分や仲間の居場所がわからず、味方の誰が生き残っているのかもわからない。また、早期退場者がその後ゲームに貢献できない点も課題として挙げられました。

そこで、優勝チームはスマートグラスにランキングや死亡者情報を可視化することを提案。また、スマートグラス上でLINEを使えるようにし、退場者が情報提供側としてゲームに参加し続けられる仕組みを提案しました。一方、準優勝チームはゲームの支配率という概念を導入。マップで残り時間や位置情報、支配率を出すことで、これまでとは違う体験ができるのではないかと提案しました。

今回のハッカソンは、比較的高い満足度であったことが事後アンケートによりわかりました。屋内位置測位など新しいアイディアも寄せられたため、継続を検討中です。サバゲ―をチームビルディングに使うなど、マネタイズモデルを作っていくことも検討しています。

協賛講演 AI活用事例と活用のポイント

富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 データデザイン部 部長 西尾 敬広 氏

富士通クラウドテクノロジーズは、2017年4月にNiftyが分社して生まれた会社です。データを価値に変えるため、AIを中心に周辺のデータの利活用、プラットフォームの活用を行っています。データアナリティクスを主に提供しており、IoTと親和性が高い店舗を持っているところへ開発支援をしています。2019年7月には、人工衛星画像データ加工&提供サービス「Starflake」の提供を開始しました。

AIを適用できるシーンは広く、成熟期に向かっているマーケットだといえます。例えば、自社・他社を問わず、最近の事例では以下のものが挙げられます。

・飲食チェーン店:POSのデータを活用した来店予測AI
・タクシー:経路の最適化
・不動産:価格査定
・ベーカリーショップ:画像認識によるレジスタの自動化

これまで、AIは大企業が自前で作るソフトウェアだと認識されてきましたが、ベーカリーショップのようにロングテールの事業体でも活用され始めています。また、ベテランや職人が行っていた頭脳をAIに代替させていく事例も今後増えていくことが予想されます。

AIを導入する際、必要となるものがデータです。ビッグデータが大量にあるため、精度の高い結果が出ると考えている会社も見られますが、やみくもに集めたデータは使えないことが多いため、データ量ではなく欠損の少ないきちんとしたデータがあるかどうかが重要となります。なお、利用開始までに1年、費用は1,000万からと時間と費用がそれなりにかかることも認識しておきましょう。

とある大学教授の言葉に、「万能なデータサイエンティストなど存在しない。ドメイン知識に基づく統計であり機械学習である」というものがあります。AI活用のポイントは、ベンダーに丸投げをしないこと、自社内にデータサイエンティストを育成するマインドを持つことです。ドメイン知識は必須だといえるでしょう。

協賛講演 選ばれるユカイなIoTデザインと、ラズベリーパイを用いた音声IoTとその事例について

ユカイ工学株式会社 シニアセールスマネージャー 山中 享 氏

ユカイ工学株式会社は、デザインと技術力を掛け合わせ、エモーショナルな体験ができる自社プロダクトの開発や受託開発を行っています。受託開発では、簡単なスケッチ1枚から製品化を支援できるのが強みです。これまでにも、運転サポートデバイスやスマート宅配BOX、不正駐車防止IoTデバイスなど、多くの開発事例があります。

開発手法にはロジカルシンキングやデザインシンキングがありますが、ユカイ工学株式会社では「意味のイノベーション」を推奨しています。メリットは、市場におけるモノの再定義ができること。新しいプロダクトを生み続けるため、月に1回設けている「妄想会」や、ハッカソンやワーキングショップも行っています。

今回は、簡単に音声開発ができるIoT「codama」と、製品事例について紹介します。「codama」は、ラズベリーパイを使って音声対話開発ができるキットです。ノイズに強いマイクで、簡単にウェイクアップ・ワードの作成が可能。一般的に数百万円程度要するものが、数万円で可能となる圧倒的低価格が魅力です。

こうした音声技術を使った製品が、ロボットの「BOCCO emo」です。「BOCCO emo」は、感情表現をする会話中継インターフェースで、家族間でのやり取りの他、他サービスとの連携で認知機能のチェックや熱中症リスクの伝達ができるロボットです。高齢者だけではなく、オフィスや教育、接客など、さまざまなシーンで活用可能。日経トレンディの「2020年ヒット予測ランキング100」にも掲載されている注目製品です。

ロボット市場は、2035年までに6倍以上に拡大するとされています。ユカイ工学株式会社は、音声技術を用いたRaaS&プラットフォーム事業を展開し、今後もデザインと技術で世界に驚きを提供していきます。

WG発表 オフィスIoTWG IoTの導入効果を可視化する

株式会社シブタニ 技術開発部 企画広報グループ グループリーダー 小笠 貴博 氏

オフィスIoTのワーキンググループには、14社から26名が参加しています。働き方改革をテーマに議論を重ね、IoT+AI導入事例ともたらされた効果について取り扱っているグループです。

現在、オフィスにIoTを導入している企業は、まだわずか12.1%しか存在していません。そのうち、効果があったとする企業は73.3%に上るにもかかわらず、なぜ導入が進まないのか。導入していない企業の37.7%が答えたのが、「導入後の効果が予測できない」でした。IoTソリューションの導入効果をあやしいと感じている企業が多いのです。

しかし、多くの企業では、現状の把握すらできていないことが多く、効果の前に導入して初めて現状がわかるケースが大半です。また、データを見ても自社に該当しないと感じる企業が多く、これをIoTソリューションのジレンマだと考えています。

そこで、WGが考えたのは、試食・試着のようにIoTソリューションを試せる仕組み作りです。トイレ・会議室の使用状況、ストレスを可視化するソリューションの計3種類を2ヵ月間安価に試せる仕組みを用意。2ヵ月間のデータを可視化分析し、レポートとして提供することで、現状を把握し、本格導入するかどうかを判断してもらうのです。いずれのソリューションも高価格ですが、2ヵ月間限定で6~10万円で試せます。レポートでは平均データと自社データの比較が可能。トイレの長時間利用者の割合や会議室の適正利用や適性室数、健康経営への見直しへと繋げられます。

Season8では、オフィスIoTトライアルソリューションのパッケージをテーマに活動予定です。本テーマに賛同できる企業、ソリューションの販売代理店、エッジ端末センサーを有する企業、また2ヵ月間の実証実験を希望する企業からのお声掛けをお待ちしております。

WG発表 セキュリティWG FA向けセキュアIoTパッケージの開発

株式会社アットマークテクノ 代表取締役 實吉 智裕 氏

2019年2月1日、日経新聞の1面にIoT関連のサイバーセキュリティ法令を強化するという記事が出、記事化前から話があったことを知らなかった人の間で騒ぎが起こりました。当該記事には不正確な情報が含まれており、それがさらに混乱をもたらしたともいえます。

2020年の東京オリンピック開催に向けて、総務省には「NOTICE」の実施、電気通信事業法、端末整備等規則の一部改正のふたつの動きがあります。記事化されたのは、このうち後者です。

今期のセキュリティWGでは、上期はセキュリティの啓蒙活動を、下期にはFA向けセキュアIoTパッケージの開発を指針とし、活動してきました。上期には、IoTセキュリティセミナーを4月24日に実施。総務省にも登壇してもらい、「NOTICE」と「IoTデバイスに関する省令」について解説してもらいました。来場者は54名。具体的な内容は以下資料の通りです。

2020年4月からは、パスワード認証など、最低限のセキュリティ要件を満たさなければ出荷ができなくなります。ただし、PCやスマートフォンは除外されるなど、定義が設けられているため、詳細はガイドラインを見て確認する必要があります。

WGでは、啓蒙活動だけで十分であるとは思っていません。特に工場、FA系はデータを外部に出したくない文化であることが多いため、下期ではFA向けセキュアIoTパッケージの開発に着手しました。WGメンバーは、IoT保険やIoTゲートウェイ、セキュアな通信エージェントやセキュリティソフトパッケージなど、カバーする領域が幅広く、製品開発を可能としました。

データを上げる部位にはアットマークテクノのDeguゲートウェイやDeguセンサーを使用。エッジ処理部分にはセゾン情報システムズのHULFT IoTを、セキュリティにはトレンドマイクロのTMISを使用しました。さらに、万一の補償として、あいおい損保のIoT保険を付与。セキュリティを意識したFA向けのパッケージの提供が可能となります。

現在準備中のため、提供価格も調整中です。来年にはトータルでIoTに踏み出せるパッケージとして提供できるのではないかと考えています。

協賛講演 コニカミノルタの状態監視ソリューション事業

コニカミノルタ株式会社 産業光学システム事業本部 状態監視ソリューション事業部 
MX事業推進部 部長 中村 明彦 氏

2003年にコニカとミノルタの経営統合により発足したコニカミノルタは、2006年には当時の主力事業であったカメラ・写真事業から撤退し、デジタルトランスフォーメーションを進めてきました。現在は、オフィス事業、プロフェッショナルプリント事業を中核として、産業用材料・機器事業・ヘルスケア事業などの事業を展開しています。

中期経営計画SHINKA2019では、課題提起型デジタルカンパニーを目指し、コア技術である画像処理技術とデジタル技術を駆使して、情報機器やヘルスケア、バーティカル領域のお客様企業の課題解決を図り、ビジネス社会・人間社会の進化のために新たな価値の創出に取り組んでいます。

コニカミノルタの新規事業の一つが、状態監視ソリューション事業です。ガス漏れなどを監視するプラント保全、ドローンを活用した農地のリモートセンシング、人の行動を監視する行動・状態監視支援ソリューションが例として挙げられます。360度超広角監視を実現するカメラや、ふたつのセンサーやレンズを搭載しているデュアルセンサーカメラなど、独MOBOTIX社のIPネットワークカメラシステムの活用も推進し、より正確な監視・センシングを可能にしていきます。

協賛講演 IT企業が工場向けに製品を出してみた。 ~3年間の経験と失敗、そこからの新たな取り組み~

株式会社セゾン情報システムズ HULFT事業部 セールスエンジニアリング部 HULFT IoT エバンジェリスト 樋口 義久 氏

株式会社セゾン情報システムズでは、ITの領域にてシステム間の安全・安心・確実なデータ連携を実現する国内トップシェアのファイル転送ソフトウェア「HULFT」、顧客満足度1位のデータ連携ミドルウェア「DataSpider Servista」を提供してきました。

工場向けへ新たに製品の開発するきっかけはCTOが飲み会でニーズを耳にしたことでした。IoTのデータ収集でいわゆるPoCまでは上手く進められたが、本番を考慮して運用をしたら頻繁にデータ欠落が発生した。データ欠落の課題に対してHULFTで何とかならないかと言われたのです。社内検討の結果、IoTの世界でもHULFTの価値でご支援をできるのではと判断をして、製品企画をスタート。ターゲットは、他業種よりもIoTへの投資額が多い、HULFTユーザであるIT部門から関連部門を紹介してもらえる、転送データ量が多くHULFTの確実な転送にニーズが有るという仮説から製造業を選定しました。
そして2016年9月に「HULFT IoT」をリリースしました。

リリース後、仮説を元に活動しましたが思うようには行きませんでした。工場ではエンジニアリングによる手組が主流であり、データ連携ツールの利用に投資するという考え自体が広まっていない、HULFTを元々利用しているIT部門と今回ターゲットとした工場・生産技術部門とは接点が薄いことが多く、紹介いただけない、そもそもログ収集が行われておらずデータ収集の失敗体験が無いためHULFTの確実な転送の価値を中々ご理解頂けないなど……

これらの経験と失敗から、お客様へのアプローチ方法を変更していきました。

また、活動していく中でIoTの取り組みを継続的に行う場合、外注でつくるにはコストが掛かりすぎる、社内でやるには人材育成/確保が難しいというお客様の課題が見えてきました。

そこで、今度はIoT領域にも「DataSpider Servista」の価値を提供できるとして「HULFT IoT EdgeStreaming」をリリースしました。今回は製品企画の段階から製造業のお客様にご協力を頂き、実際にご利用いただく事で利便性、機能性を確認しながら製品開発を行うことができました。
私達はこれからも経験と失敗を積み重ねながら、お客様の内製化による継続的なファクトリーIoTの実現を支援していきます。

レポートの第1弾はこちら
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