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IoT Partner Community Forum 2019 レポート #03

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2019年12月17日(火)東京ミッドタウン日比谷内のBASE Qにて、「IoT Partner Community Forum 2019」が開催されました。
第3弾となるの今回のレポートでは、協賛講演、ワーキンググループ(以下WG)発表、そして会を締めくくったパネルディスカッションの概要についてご紹介します。

全17セッションを、3回に分けてレポートしております。第1弾第2弾のレポートもあわせて御覧ください。

WG発表 ヘルスケアWG IoTで実現するスマートホスピタル構想

サトーヘルスケア株式会社 新事業開拓・マーケティング担当 友澤 洋史 氏
サトーヘルスケア株式会社 新事業開拓・マーケティング担当 友澤 洋史
従来目視で確認していた点滴等の管理を、患者の手首にIDを出力したネームバンドを巻くことで正確かつ効率的に行えるよう取り組んできたサトーヘルスケア株式会社。
病院のスマート化は、ソフトバンク株式会社と順天大病院によるスマートホスピタルの実現に向けての提携や、倉敷中央病院とGEヘルスケア・ジャパンによるブリリアント・ホスピタル構想の具現化に向けた包括契約の提携など、業界全体で促進傾向にあります。

病院で使われているITとして挙げられる電子カルテは、これまで紙で管理してきたカルテを電子化したものにすぎず、データ入力は手作業で行われます。大型投資を要する割にはスマート化に繋がらない点が課題です。本ワーキンググループでは、情報を簡素に入力できる仕組み作りにIoT活用領域があるのではと考え、取り組みを続けてきました。

IoTでは、センサーを繋ぎ、集めたデータを解析、可視化します。このうち、サトーヘルスケアではヒト・モノを識別する自動認識技術を得意としています。ここに、ヒトやモノの状態を検出する「センサー技術」と位置を管理する「無線技術」を組み合わせることで、医療機関に新たなイノベーションを起こせるのではないかと考えました。

そこで名大病院と行ったのが、RFIDタグを活用した医療器具・機器の見える化です。従来、器具等は看護師が箱に記載されているバーコードを入力して管理されていました。このタグをゴミ箱に仕込んだセンサーで読み取ることで、バーコードの読み取り作業を簡素化、看護師の負担を削減できると考えたのです。


今後は、廃棄作業から請求に回す方法の開発の他、鋼製小物管理への活用を促進し、手術室の効率的な回転を後押しするといった展開を考えています。また、名大病院の要望を受け、看護記録の自動入力に活用領域を広げることも決定しました。看護師が患者と触れ合う「手当て」に費やせる時間を作るため、今後も活動を継続していきます。

WG発表 IoT×AIWG 来場者数カウントの最適解

株式会社セゾン情報システムズ テクノベーションセンター 先端技術部 DX Initiative 梅崎 猛 氏


IoT×AIのワーキンググループには、14社から18名が参加しています。元々テーマとして掲げていたのは、エッジAIを活用しての来場者カウントでした。現在は、このテーマから発展し、エッジAIや人数カウントの可能性や将来性、メリットといったこともテーマとなっています。
エッジコンピューティング"

エッジAIとは、エッジコンピューターとAIとをかけた造語であり、IoT市場が盛り上がりを見せている最近、特に注目されつつある技術です。本ワーキンググループでは、小型AIカメラ(エッジAI)を入口上部につけ、リアルタイムに来場者数をカウントし、表示させる取り組みを考えました。

画像を残さず判断できる点が小型エッジAIカメラの特徴です。そのため、小型エッジAIカメラで人数カウントが可能となれば、送信するデータがカウントした数字のみとなるため、不要となる映像分のデータ量が削減できます。また、映像がカメラから外に出ることがないため、プライバシー保護にも繋がります。人数カウントが安価かつ安心に行えるようになると、混雑する電車のプラットフォームでの人数規制、スーパーや商業施設でのマーケティング等、さまざまな領域での活用が期待できるでしょう。

ただし、今回使用した小型エッジAIカメラM5StickVの場合、画角の関係上、設置高さが4メートル必要であることがわかりました。また、M5StickVではストリーミングの保存に弱いことも判明。動画検証には、静止画を繋ぐ必要がある点も課題です。なお、動画作成は、Pythonによりわずか10秒で行えます。

今後も、各社がベネフィットに配慮し、課題解決、実装・実証を進めていきます。画像を残さずに判断するエッジAIは、IoTに絡めた可能性も多数もつソリューションです。

WG発表 地域創生WG IoTを利用した地域課題への取組 & ビジネス化

三井共同建設コンサルタント株式会社 MCC研究所 インフラシステム開発室 弘中 真央 氏


地域創生ワーキンググループは、今期で4期目を迎えました。新設当初は災害対策を目的としていましたが、災害は地域課題のひとつとして取り扱われるケースが多いことから、活動を災害以外にも広げようと2019年期から地域創生ワーキンググループに名称を変更しています。活動は7社1大学で行っています。

本ワーキンググループは、案件受注を目指しているのが特徴です。そのために、実証実験を重ね、成果を上げることを目標としてきました。また、メンバーの全社での取り組みだけではなく、限られたメンバー間での協創も積極的に進めています。

Season7では、徳島県美波町の土砂災害が想定される場所にPoCを実施する取り組みを行いました。想定場所に傾斜計を設置し、アラート通知が届く仕組みを既存の通信網に連動。結果、設置後に雨が降った際、傾斜計が反応したところまで結果を得られました。継続的に改良を施し、予測等の付加価値を上げられないか検討中です。

もうひとつの活動が、公募への参加です。すべて不採択に終わった2018年度を経て、2019年度は応募したIoTデザインハブが書類審査を通過し、秋田県湯沢市、長野県伊那市、高知県四万十市との面談にまで進むことができました。開発をするのではなく、各社のソリューションを持ち寄る形で提案をし、地元側と連携して継続的に自走して使える仕組みを検討中です。

その他、今期のメンバー間の協創として、秋田県仙北市での温泉IoTの取り組みや河川や施工現場などの状況を庁舎・会社から確認できるカメラソリューションの活用等も行われました。

協賛講演 企業に変革をもたらすIoT / AR

PTCジャパン株式会社 製品技術事業部 IoT/Manufacturing技術本部 プリンシパル テクニカルスペシャリスト 豊福 泰斗 氏


PTCジャパン株式会社は、アメリカに本社を持ち、製品開発・サービスのグローバル化やビジネスの変革を支援するテクノロジーソリューション企業です。IoT製品やARはここ約5年で取り扱われるようになりました。産業IoTの目指す姿には、監視(見える化)・制御・最適化・自立化の4ステップが必要とされており、PTCは基礎となる監視・制御に関する相談に多く応じています。本講演では、監視・制御のポイントについて紹介されました。

まず、監視についてです。目的意識を明確にすることが監視のポイントです。「ダウンタイム削減のため」や「設備のパフォーマンス向上のため」と要件を挙げた上で、その目的に合った画面やアプリケーションを作る必要があります。次に制御です。現在は、監視のステップで見える化をした結果、その後は人力で何とかしているケースが多く見られます。人の手で行うことも有効な業務改善手段ですが、その後の最適化・自立化のためには、データを基に機械に作業を任せられるよう、どのような制御をするのかについて考える必要があるでしょう。

講演の終わりには、産業用イノベーションプラットフォームThingWorx、ARコンテンツが容易に作成できるARオーサリングツールVuforia Studioが紹介されました。イノベーションは天才だけが出来得るものではなく、誰もが行えるものです。デジタル情報を社員全員が有効活用するためにも、IoTやARに今すぐ着手することを推奨します。

新しいビジネス、物事を起こすための勘所 〜IoTを基本にあれやこれやを話します〜

ファシリテーターは、株式会社ウフルの八子知礼
パネリストとして株式会社アットマークテクノ 實吉智裕氏、株式会社Enhanlabo 座安剛史氏、株式会社セゾン情報システムズ 梅崎猛氏、ユービーアール株式会社 目黒孝太朗氏の4名が登壇。パートナーコミュニティのワーキンググループをリードする4名が、IoTに関する5つの疑問をテーマにディスカッションを行いました。

1. PoCで苦労した点は?

概念検証(PoC)を行う際に苦労した点について、物流における加速度にフォーカスした取り組みを行った目黒氏は、「高価な加速度センサーを購入するのではなく、秋葉原で購入できるセンサーで手作りすることで予算を抑えた。WGメンバーのオフィスを利用し、場所の問題もクリアした」と語ります。

一方で、座安氏は「自社ではPoCを始めるには時間がかかる上、予算も取れないことがある。そのため、始めること自体が難しい」と語りました。

梅崎氏は、「PoCは効果検証ではないため、失敗して当たり前の感覚でやりたいものだが、現実は成功が前提とされている」と語ります。そこでROIを取ることが目的の場合はPoCではなく、”パイロット”と区別していると紹介しました。

2. なぜ、パートナーコミュニティに参画しようと思ったのか?

拠点が札幌である實吉氏は「参加が面倒に感じることも確かにある。しかし、活きた情報を交換できる点が大きな魅力であり、情報共有から行動を起こせるケースもあった」とも語りました。事例として、法令改正の情報を得たことをきっかけに総務省担当者を招いた講演の開催に繋がったことを紹介。また、アイディアが盗られるのではとの懸念には、情報共有と同様「お互い様だ」としました。

元々面倒臭がりという梅崎氏も、参加は面倒だと語ります。しかし、新しいビジネスを創出するために必要な時間を捻出できる点が大きなメリットであるとしました。自社で新ビジネスを立ち上げるには、通常業務に追われる合間に「きちんと時間を割く」ハードルを乗り越えなければならないためです。

同じく「自社では厳しい」と語ったのは目黒氏。社内ではマーケットや売上予測について明確にしなければならず、着手すら難しいのが現実だと語ります。また、アイディアに関しては、「盗られてなんぼ」と言い切りました。「盗られたことで、社内に『うちがやらなかった間に盗られた』と言いたい」と語りました。

WGでサバゲ―ハッカソンを行った座安氏は、「本業外に時間を割く困難さはあるが、社内では始めるための手続きだけでも時間がかかるようなことを実証できる場になっている」と、こちらもパートナーコミュニティの価値について語りました。

3. IoTは儲かる?

ビジネスで気になる収益問題。立ち上げから日が浅い座安氏は、「先行投資費用が高いハードウェアの開発・販売を、継続できている企業の多くは大型調達が可能な海外企業。日本では続けられなくなることが多く、弊社もまだ収益が満足には出ていない」としながら、「将来的には儲かると信じているが、続けていくことが最重要であり、半分は気合と根性というのが実際のところ」だとしました。

セゾン情報システムズでは、梅崎氏に代わり、IoT部門の売上に詳しい樋口氏が、「機器への組み込みビジネスが、2年経ってようやく儲かり始めた」と説明しました。

ユービーアール株式会社の目黒氏は、「位置情報と温度監視を5,000回線程度持ってサービス提供しているが、GPSが民間向けに解放される以前のPHSの時代からサービス提供していることが、現時点のアドバンテージだ」としました。同じくゲートウェイを出して5年になるアットマークテクノの實吉氏は、「フィールドに多数設置し、運用が始まる段階になり、ようやく収益が上がってきた」と言います。しかし、両名は「常に新しいトレンドや技術に追従しなければ売れなくなる可能性がある」と口を揃え、慢心はできないと語りました。

4. デジタルトランスフォーメーションはIoTと繋がっていく?

デジタルトランスフォーメーション(DX)とIoTの繋がりについては、4名全員から繋がっていくという明確な言葉は出ませんでした。「IoT化にかかるセンサーの初期費用が高額であるため、まずはタブレットに手入力するといった提案が受け入れられている」と話した目黒氏や、「変化させていく情熱や推進力、失敗をいとわずチャレンジするガッツが社内プロジェクト成功の秘訣だ」と語った梅崎氏。社内外ともに「すぐには難しく、段階が必要だ」と結論付けられました。

5. IoTやAIを活かすため、着目すべき点とは?

目黒氏が「何かに特化することで差別化できていれば売れるのでは」と述べた一方で、實吉氏は「要素技術だけではなく、細いものでも上から下まで1本通すことで具体的な使い方を作り、拡げていく方がやりやすいのではないか」との見解を述べました。この違いについて、目黒氏は「アットマークテクノさんが1本通せるのは、ハードウェア開発をされている会社だからだと思う」と語り、業種業態により答えが異なることを共有しました。

座安氏は、ヘッドマウントディスプレイやウェアラブルを扱うなかで見えてきた課題がアフターメンテナンスに携わる人材育成・雇用であることから、「製造の効率化よりも、アフターメンテナンスに芽があると考えている」と語ります。

梅崎氏は、失敗体験を持ち寄ることで進むべき道を見つけられるとし、「パートナーコミュニティに参加することこそがポイント。我々が取り組むエッジAIを一緒にやりたい方は、ぜひ参加してほしい」と語りました。

IoTやAIビジネスは数年をかけて立ち上がってくるものだと実績が物語っていること、短期間で効果がないと判断してやめるべきものではない。また、環境や技術の変化に柔軟に対応しながら、素早くトライアンドエラーによる仮説検証を回すことが重要だということが、このパネルディスカッションで示されたと思います。

「パートナーコミュニティには、興味があれば自社内以外の場所でも柔軟にトライできる環境がある」と締めくくられたパネルディスカッション。大いに盛り上がった1時間でした。

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