枯れた技術の水平思考

タナカさん
lateral thinking

突然だが、横井軍平というクリエイターをご存じだろうか?
「枯れた技術の水平思考」という独自の哲学を持ち、様々なヒット作を作った御方だ。
今回はその哲学について触れてみたい。

枯れた技術の水平思考とは?

この「枯れた技術の水平思考」というフレーズには、二つの要素がある。
先ず、「枯れた技術」というのは決してダメになった技術という意味ではなく、「既に広く使われており、メリット・デメリットが明らかになっている技術」という意味だ。技術的なノウハウという意味合いや、コスト意識という意味でも、一定の汎用性を持っているということを指す。

次に「水平思考」。これは、1967年に医師/発明家/コンサルタントであったエドワード・デノボが提唱した思考法であり、「問題解決のために既成の理論や概念に捉われずアイデアを生み出す思考法」である。異なる事象への転用を考える概念拡散発想法や、自明なことに対する反証から考える反証的発想法がこれに含まれる。尚、デノボはこれと対となる思考法として、論理的思考や分析的思考を意味する「垂直思考」を挙げている。

これらを組み合わせた「枯れた技術の水平思考」とは、既存の技術を応用し、これまで用いられていなかった使い方をすることで、比較的安価に新たな価値を創造する考え方だ。

代表例となった「ゲーム&ウォッチ」

液晶画面に左右にキャラクターを動かすなどしてお手玉をしたり、宝物を取りに行ったり、様々なゲームでヒットした任天堂の「ゲーム&ウォッチ」は横井氏の枯れた技術の水平思考が生み出した最たる事例だ。

当時、新幹線にて電卓で暇つぶしをしていた人を見て「暇つぶしのできる小さなゲーム機」というアイデアに辿りついたという。電卓で既に広く普及していた液晶を使うことで、非常に安価なゲーム機を提供できたわけだ。
これが5年早ければ1台10万円かかっていたであろうという。

Web技術でも多い、枯れた技術の再活用

Web表現において一つの革命的な存在として、Ajaxの登場があった。これ自体、古くからあるJavascriptを再活用した存在だったりする。
近年ではAjaxの筆頭株であったjQueryが過去の存在となりつつある。AngularやReactといった新しい技術の台頭があり、流れに乗りつつあるものの、その一方で環境構築や技術習得にかかるコストがあるほか、まだまだjQueryで簡単にできたことができない状況などもあり、派手なスライダー表現を行うには別フレームワークの上でjQueryを動かす…といった状況もよく見る光景だ。
こういった状況故に、枯れた技術であるjQueryのプラグインをモジュール化してwebpackと併用するといった、水平思考とまで言えるかはわからないが、最新技術の本来の志向とは少し異なる動きで、コストダウンを行う考えが動いているという事実がある。

ソリューションでもIoTでも

ところで弊社では様々なソリューションを、カスタマイズして提供するということを行わせていただいているわけだが、考え方としてはこの枯れた技術の水平思考に通ずるものが非常に多い。
捉え方の粒度として、枯れた技術と言えるかは人によるかもしれないが、様々なビッグデータやソーシャルデータ、機関データ、更にはビーコンなどデバイスから取られるIoT要素の強いデータ。これらは、単体での活用としては随分と普及してきている。一方で、それ単体では十分な価値を生めていないケースも多分に感じられる。

今月から新たに、ソリューションプランニングを主務とする部隊を立ち上げさせていただいたわけだが、以前よりは取り扱いやすい価格帯になったものの、まだまだ十分な価値を見出せていない製品やデータを組み合わせることで、新たな価値を生み出していこうと動いている。大小含め様々な動きが既にあるのだが、正式な発表はもう少し形が見えてからになると思うので、興味のある方は是非弊社の動向をウォッチしていただきたい。

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兵庫県出身。2003年東京外国語大学大学院修了(学術修士)。ウフル・マーケティングインテリジェンス本部(旧マーケティングクラウド本部)のたぶんちょっとエライ人(弊社CSOの田中正道とは別人)。 データドリブンなマーケティングに関して、その仕組みの設計からクリエイティブまで経験。趣味はバルトやデュルーズといった現代思想の研究から草の根音楽活動までと多岐に渡る。要するにオタク。
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