Amazon ConnectとSalesforceの連携活用で
受注センターの受注業務を効率化、的確な電話
対応・受注が可能なシステム環境を整備
株式会社遠藤製作所 専務取締役 石原睦氏
株式会社遠藤製作所 経営戦略本部 IT推進室 係長 渡邉佳子氏
エポンゴルフ株式会社 営業戦略部 部長 落合健ニ氏
エポンゴルフ株式会社 営業戦略部 小売販売課 課長 三星良氏
営業担当者の負荷軽減を目指して受注業務の見直しを推進、CTIシステムの導入を決定
株式会社遠藤製作所は、日本有数の金属加工集積地・新潟県燕市に本社を置き、鍛造部品やメタルスリーブ製品などを製造・販売する企業です。同社は、業界トップクラスの品質と評されるゴルフヘッドの製造技術で特に名高く、国内外のゴルフブランドへの鍛造ゴルフヘッドOEM生産で業界最大級の規模を誇ります。さらに、自社ブランドとして、子会社のエポンゴルフ株式会社を通じて「EPON GOLF」を展開し、プロ・アマを問わず多くのゴルファーから支持されています。
1977年に誕生し、半世紀にわたって同社の成長を支えてきた「EPON GOLF」は、ゴルファーのパフォーマンスを最大限に引き出すため、個々の要望に合わせてゴルフクラブをカスタムして販売することを特徴としています。そのため販売チャネルは、国内外の直営店やプロショップ、大型チェーンの旗艦店など、フィッティングの設備と専門のスタッフを擁する実店舗に限られています。また、販売店を通じて顧客から寄せられるカスタムの要望は、ヘッドのライ角やロフト角の調整、重量調整、ネーム入れなど、詳細で多岐にわたります。
専務取締役の石原睦氏は、さらなる企業成長に向け、そうした「EPON GOLF」の営業・マーケティングの変革を考えるようになった、と語ります。
「今までは“いいモノを作れば売れる”というプロダクトアウトの考え方が根強いと感じていました。しかし、これからの私たちの価値創造は、“売れるモノを作る”から“求められるモノを届ける”へ。市場の声に耳を傾け、顧客の課題を起点に、製品・サービスを考え営業する必要があると感じています」(石原氏)
エポンゴルフ株式会社 営業戦略部 部長の落合健ニ氏は、“受注業務”を起点とする受動的な営業活動から、お客様の課題を深く理解し、最適なソリューションを提案する能動的な“価値創造型営業”へと進化する必要性を感じ、そのためには、業務のデジタル化・自動化を通じて、より本質的な顧客対応に集中できる体制を整えたい、と話します。
「営業担当者が電話・FAXによる受注への対応や基幹システムへの情報入力に時間を取られ、本来の営業活動になかなか集中できませんでした。また、電話の聞き間違いや情報の誤入力などがしばしば発生していました」(落合氏)
そこで同社は2023年以降、「EPON GOLF」の受注業務の見直しを段階的に進めていきます。
まず、Salesforceを導入し、大型チェーンの旗艦店を対象としてWeb受注を開始。次に、国内正規取扱店を対象にクラウドFAXを活用し、FAX受注を外部の受注センターへ移管しました。そして同社は、残る電話受注についてもアウトソーシング化を実現するため、CTIシステムの導入を検討し始めたのです。
SalesforceおよびAmazon Connectの開発経験と実績でウフルを選定
経営戦略本部 IT推進室 係長の渡邉佳子氏は、CTIシステムとしてAmazon Connectを、開発パートナーとしてウフルを選定した理由についてこう説明します。
「すでに導入していたSalesforceとの親和性の高さという点で、CTIシステムの選択肢はAmazon Connect以外にありませんでした。その上で、Amazon Web Services社から紹介されたウフル様の担当者様と話したところ、当社の要望をとてもよく理解してくれました。また、Salesforceとの連携に関する開発経験が非常に豊富ということで、パートナーに選びました」
(渡邉氏)
同社は、国内正規取扱店用・海外正規取扱店用の電話番号を新規で取得してAmazon Connectを導入。直営店用の電話番号とあわせて3系統の受電フローを構築するプロジェクトを推進しました。ウフルとの緊密な連携のもと、スムーズにプロジェクトを進められた、と石原氏は評価します。
「ウフルさんが最初にプロトタイプを作ってくれたので、当社では完成形をイメージしながら進捗を確認し、細かな要望をSlackなどで連絡。アジャイルで直してもらうだけ、という感じでした。結果、構築期間は想定より短く、1回目のローンチまで約1か月、すべて完了まで約2か月という早さでした」(石原氏)
SalesforceとAmazon Connectの連携活用で、専門知識なしでも注文電話に効率よく正確に対応
Amazon ConnectとSalesforceを連携活用した新たなシステムによって、「EPON GOLF」の受注業務は進化を遂げました。今回構築した3系統の受電フローのうち、直営店への電話は従来のシステムで直営店が、海外正規取扱店からの電話はAmazon Connectを通じて海外担当が直接受けます。一方、国内正規取扱店からの電話はAmazon Connectによるダイヤル分岐で、商品発注・在庫状況・配送状況の確認を希望の場合には外部の受注センターへ、その他の問い合わせを希望の場合にはエポンゴルフの営業担当者へ振り分けられます。

注文関連の電話を受けた外部の受注センターでは、SalesforceとAmazon Connectの連携により、電話番号と紐づけられた顧客の情報や注文履歴のほか、在庫状況やトークスクリプトなどの情報も画面で確認しながら応答することができます。そのメリットは大きい、と渡邉氏は話します。
「ゴルフクラブのカスタマイズ注文は、専門用語が多く、非常に難しい業務ですが、Salesforce内のデータを活用することで、専門知識のないオペレーターでもスムーズに対応できるようになっています。また、会話内容は自動録音され、あとから聞き直せるため、注文内容の聞き間違いやシステムへの誤入力を防止することができます」(渡邉氏)
受注業務効率化で営業時間が増加、営業・マーケティング改革の実現に向けて前進
2025年7月に新システムが稼働開始したばかりですが、成果は早くも現れています。
「以前は受注業務に時間を取られすぎ、営業活動で直接出向いてお客様の生の声を聞く機会はなかなか取れなかったのが現実でした。現在では、新システムを導入したことにより、より本質的な顧客対応に集中できるようになったため、顧客の課題を起点にマーケティングできる体制が整いつつあります。お客様1社1社の生の声を聞いて、市場調査の情報としてSalesforceに蓄積したり、Tableauで店舗ごとの売上を分析したりするなど、営業本来の業務に時間を集中できるようになりました」(落合氏)
そうした成果を踏まえて石原氏は、将来的にはすべての顧客が電話・FAXではなく受注サイト経由で注文する環境を整えたい、と今後の展望を語ります。
「受注業務の効率化により、営業がお客様としっかりコミュニケーションを取る時間を確保する。営業・マーケティング改革の順序としてはまずこれが最初の一歩です。今後は、お客様の生の要望をデータとしてSalesforceに一元化してブランディングや販売戦略に活かし、他社との差別化を図っていく。受注の効率化を一足飛びに進めるのではなく、そういう必要なステップを着実に踏み、最終的なゴールとしてWeb受注に一本化できればいいと考えています」(石原氏)
会社概要
株式会社遠藤製作所
〒959-1289 新潟県燕市東太田987番地
1951年の設立以降、鍛造と金属塑性加工をベースとして事業領域を拡大し、現在ではゴルフ分野・鍛造分野・医療機器 航空機部品分野・メタルスリーブ分野へと展開。中でも高性能・高品質な鍛造ゴルフヘッドのメーカーとして世界的な知名度を誇り、顧客ブランドのOEM生産を行うほか、自社ブランド「EPON GOLF」を展開する。
【事業内容】
ゴルフヘッド、メタルスリーブ製品、鍛造部品、医療機器の製造・販売
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