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Salesforceをベースに資格管理の基幹システムを刷新 約1か月かかっていた業務が数秒、問い合わせ数も1/10に

特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 事務局長 太田 愛仁 様(写真右)、基幹業務部 田口 千鶴 様(写真左)

経営視点にたったIT

経済産業省推進資格として2001年に創設された「ITコーディネータ」。特に中小企業では、ITに精通したシステムの専門スタッフを抱えるのが難しい状況にある。企業が必要とした時に「経営視点にたったIT」の提案を依頼できるプロフェッショナル・ITコーディネータへの注目は年々高まっている。

ウフルは2016年4月にITコーディネータ協会の基幹システムである「ITC+(アイティーシープラス)」をセールスフォース・ドットコムの提供する「Community Cloud」を中心に全面リニューアルを行い、システム構築・運用を支援している。クラウドサービスを活用し、従来から大幅に業務を改善、コスト削減を達成されている同協会での、Salesforceの導入経緯や効果について太田様、田口様にお伺いした。

毎年更新が必要な生きた資格である「ITコーディネータ」、しかし・・・

「そもそもの背景としては、協会発足依頼15年に亘り稼働してきたシステムの老朽化に伴うリプレイスです。スクラッチと市販ソフトウェアを組み合わせて複数のシステムを稼働させている状態でしたが、維持管理コストや利便性の面で、このまま使い続ける事は限界に来ていたのです」と語る太田様。また同時に、同協会「ならでは」の作業が、業務を圧迫していたと語る。

太田様「ご存知のように日進月歩で技術が進むITの世界では、それを支援するITコーディネータといえども資格を一度取って終わり、という訳にはいきません。ITコーディネータの皆様は毎年資格の更新に伴う研修などのスキルアップや実務活動を行っています。それもあり、企業から信頼されるプロフェッショナルであるともいえるのですが、それを支えるコーディネータ協会側としては、毎年更新に伴う業務がひっ迫しており、事務処理が負担となっていました」と語る。実際の更新業務はどのようなものだったのだろうか。

田口様「例えば、更新の受付業務一つとっても、Webからエントリーを頂いてから請求書の郵送を行い、そこから入金確認を待って領収書の対応、資格更新日の設定、更新証の発行送付と間に人手が入る事で一連の業務を行うのに約1か月程度かかっていました。また、その合間に電話やメールで問い合わせが差し込まれた場合は処理中の方との照合を行ったり……。非常に大変な状況でした」また、システムが分断されている事による、利用者側にも複数のIDを使い分けたり決済手段が異なっていたりと利便性の面でも課題があったとのこと。

Salesforceを採用した理由「信頼性」「拡張性」「可用性」

このような背景の中、太田様が中心となり会員管理システムの刷新と統合のプロジェクトが2015年春にスタートした。当初は他のクラウドサービスやソフトウェアも検討していたが最終的にSalesforceを中心としたシステム構築に決断をした理由についてお伺いした。

太田様「新基幹システムについては、今後10年を見据えた事業基盤として必要な発展性・拡張性を持った業務システムであることを前提に、いくつかのサービスを比較していきました。最終的な決定要因としては、数多くの導入実績があり、会員IDの利用に応じて柔軟な課金形態であること、他システムとのつなぎ込みなど拡張性に優れる事などからSalesforceを採用することに決定しました」

またシステム構築の面ではウフル社をパートナーに採用し、システム構築の範囲を (1) 100以上ある顧客DBの再構築、(2) ECサイト拡張、(3) 資格更新管理システム更改、(4) eラーニングシステムとの連携、(5)マイページ機能のリニューアルと、基幹システムのほぼ全面刷新を行う事を決定した。

プロジェクトについてはセールスフォース・ドットコム、ウフルを中心に、決済代行、Web改修、メール配信、eラーニングなど様々なベンダーからなる混成チームで40名近い体制で臨んだ。

約1か月かかっていた業務が数秒に。問い合わせ数も1/10に

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プロジェクト運営には事務局、ワーキンググループなどの体制を設け、緊密に連携を取る事で各分掌業務の状況、問題点など進捗管理を行った。2016年2月に当初2回に分けて分割してリリースを予定していたものを前倒しする形で、ほとんどの基本機能のリリースとデータの一括移行を行い、システムはカットオーバーされた。

太田様「稼働範囲の前倒しにより開発スケジュールはタイトになりましたが、まとめてリリースしたことで、4月の資格更新ピーク前の検証が充実でき、結果としてベストなスケジュールでした」
実際の導入効果はどのようなものだったのだろうか。

田口様「先ほどの更新業務の例でいうと、間に事務局のスタッフが介在する業務がゼロになった事で、1か月かかっていた業務が数秒で終わるようになりました。処理としては数秒ですが、我々の業務としてはほぼゼロになったといって間違いありません。更新月に殺到していた問い合わせ数も繁忙期に2000件近くあったものが、リニューアル後は200件まで減らすことができました。問い合わせの内容も、ほとんどが新システムの利用方法に関するものだったので、次年度はもっと減ると思います」

また、複数のIDを「ITC+」に統一したことで、利用者の利便性の向上にもつながっているという。「処理の迅速化に加え、これまで最大7種類のIDを使い分けたり、システムにより異なる決済会社などもこの機会に統一できた事で、コーディネータの方々にも利用しやすいシステムになったのではないでしょうか」と太田氏も語る。

今後は会員のコミュニケーションの活性化と本システムの汎用化へ

ITコーディネータ協会では、事務処理に追われていた業務から解放される事で、今後は本システムをベースとした活用に活動の重点を置く事ができるようになったという。

太田様「従来システムでは可視化できなかった会員の更新状況なども、日次でレポーティングできるようになりました。今後はコンテンツの拡充やメールなどのコミュニケーションをきめ細かく行う事で、ITコーディネータがさらに活躍できるようにしていきたいと思っています」さらに、太田様は今回のシステムやノウハウを広げていきたい、という構想も持っているという。

太田様「本協会のように資格更新が発生するNPOなどは同じように事務作業に追われているのではないかと思います。ウフルさん、セールスフォースさんと一緒に、更新制度を有する資格管理システムの統合的なパッケージを展開していくような構想も持っています」と語った。

会社概要

事業内容: 教育研修・資格認定

ITコーディネータ協会は、2001年に設立され、資格の認定等を通じてITコーディネータの育成・普及を図り、企業や団体への戦略的なIT投資の浸透を通した経済の活性化、国際競争力の強化など、広く社会の公益に寄与することを目的として活動している。既に資格認定者が約6千名に達し、全国各地において金融機関や商工団体、自治体などと連携し、中小企業の経営改革や、自治体、各種団体の改革が行われている。

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