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コールセンターの応答品質を向上-スモールスタートを切り、複数部門へスピーディーに横展開

株式会社ミスミグループ本社


IT基盤展開室 ICTソリューションチーム 管野 麟 氏


自動化装置・設備の部品や金型部品の製造や流通をとおして、製造業のお客様に対し、『時間戦略』という名のもと設計者の手間削減を追求したサービスを提供しているミスミグループ。顧客や仕入れ先からの問い合わせ窓口を複数有しています。出社が当たり前だったコールセンターをハイブリッド化するために、Amazon Connectを導入。2020年から現在に至るまで、導入から保守運用をウフルが担っています。

■ リモート対応を迫られ、Amazon Connectの導入を決定

日々、メールやチャット、電話での問い合わせを受ける機会が多いという同社。元々、オンプレミスのコンタクトセンターサービスを利用していましたが、2020年のコロナ禍で課題に直面しました。

「オンプレのサービスですから、出社して電話機を取らなければ対応ができない。リモートでも対応できる環境を整える必要に迫られていました」(管野氏)

また、組織によってはそもそもいわゆる『コンタクトセンターサービス』が導入されておらず、ISDN回線をひいたデスクフォンを使っており、通話データを活かし切れていない点も課題でした。

「コンタクトセンターの品質を担保でき、かつロケーションフリーで使えるものへの移行を検討しました。そこで候補に上ったのがAmazon Connectです。他のクラウド型サービスも検討したのですが、既に弊社ではAWSをクラウド基盤としていたためすぐに環境を整えられるものであること、実績のある企業の安心できるサービスであること、外部サービスとの連携が容易であること、ある程度は自分たちで理解して改修できるものであることなどを鑑みて、総合的に判断しました」(管野氏)

ベンダー選びの際には、実績だけではなく、次の点を重視したといいます。

「こちらの要望を単に受けるのではなく、理想としているものを汲み取った上で、メリット・デメリットを説明し、必要に応じて代替案を提示してもらえるベンダーが良いと思い、比較検討。結果、ウフルへの依頼を決めました」(管野氏)

■ 準備・導入・フィードバックのサイクルを繰り返し実行。スモールスタートからの横展開でスピーディーに拡大

Amazon Connectの導入は、全体ではなく組織を分けて小規模に進められました。最初に導入したのは、当時20席弱と最も席数の少なかった「meviy(メビー)」というサービスの顧客サポートと仕入れ先窓口です。最初の導入が大きな組織だと要件が複雑でなかなか進まない懸念があったこと、従業員の安全確保と事業継続のため一刻も早くリモート環境を整える必要があったことから、スモールスタートでスピードを担保。1ヵ月で準備をして展開、落ち着いたら次の組織の準備に入るというプロセスで進めました。導入前には、現場社員に対して1~2週間のトレーニングも行いました。

「次に導入したのは、2D図面の特注を扱う30~40席の組織です。この段階でAmazon Connectの理解が進んでいたため、ウフルさんと話しながら不便に感じる点を次々に改善していきました。その後、今も大きなウェイトを占めた窓口となっている技術問い合わせ窓口に横展開し、合計100席を突破。2020年夏前の「meviy」サポートへの導入から半年程度である程度落ち着き、良いサイクルが回り始めました」(管野氏)

導入後は、当初の目的だったリモート対応が可能となったことで、ハイブリッド環境を実現。また通話録音や応対履歴によるパフォーマンス分析で、在宅ながらもオペレーターの評価を行えるようになりました。またSalesforceとのCTI連携により応対効率・品質が大幅に改善され、安定稼働後の応答率は目標値の97%を超えるようになり、オペレーターの中に数値を維持しようとする目標意識が高まったといいます。

「当時のデフォルト機能では物足りなかったところも、ウフルさんに改善してもらいました。例えば、電話をかけてきた人がお客様なのか仕入れ先なのかがわかるよう、どの番号を経由してきたものなのか画面へ表示されるようにしたり、ヘッドセットを外している間でも着信に気付けるよう、パソコン本体からも音を出力できるようにしてもらったりといった改善です。これにより、より応対品質が向上しましたし、オペレーターからの評価も高かったです。」(管野氏)

21年以降は、Amazon Connectの評判を聞いた他組織から導入要望が寄せられるようになったといいます。40~50席ある仕入先窓口に導入し、最近では基幹システム刷新に関する臨時問い合わせ窓口用にAmazon Connectを活用。マーケティングや架電組織にも導入が進んでおり、今では350席に達します。

■ 生成AIの業務活用への取り組みも実施

2022年から23年にかけては、導入前より使用していた大手キャリア契約のフリーダイヤルをAmazon Connectに移管。コストや障害ポイントの削減に繋げました。また、同年にはAIを用いて通話音声の文字起こしや感情分析を行うAmazon Connect Contact Lensが日本語対応を始めたことを受け、認識精度を検証するPoCを実施。早々にテストに取り組めたのはAmazon Connectが安定稼働できていて、AIアルゴリズムのトレーニングに必要なデータ準備や体制ができていたからだといいます。この時点では品質・精度や費用対効果の観点から本導入は見送りとなりましたが、現在は性能も改善され、Contact Lensを用いた音声テキスト化と他の大規模言語モデル(LLM)による通話内容の要約の実装に至っています。

「現在、国内ではAmazon Connectを複数の組織に導入してきましたが、未だオンプレミスのコールセンターサービスを使っている組織も一部残っている状態です。今後は海外現地法人のコールセンターも含め、グローバル全社でコンタクトセンターの次世代化を目指します。

また、生成AIの活用も推進し、リアルタイムでの文字起こし、通話内容の要約などでオペレーターを支援できるようにしていきたいです。最終的には、ある程度AI技術によって電話をさばけるようになることが理想。そうして人的リソースを大幅に減らせれば、別のところに工数を割けるようになります。また電話の待ち時間がなくなり解決までの時間が短縮できれば、顧客や仕入れ先の時間価値創出にも貢献できるでしょう。

ウフルさんには、他社への導入実績で得られたナレッジも活用して対応いただきました。生成AIの取り組みに関しても、引き続き一緒に挑戦していきたいと思っています。今後はオペレーターのAI化(無人化)や基幹システムとの連動という未知の領域に入っていきます。我々のほうでも試しながら取り組んでまいりますが、ウフルさんにナレッジがあれば、ぜひ活かしていただきたいです」(管野氏)

※本事例内容は2024年5月取材時点の内容です。

会社概要

オートメーションの現場で必要とされる機械部品や、工具・消耗品などをグローバル31.8万社(2024年3月時点)に販売。製造機能を持つメーカーと他社ブランド品を販売する商社としての顔を併せ持つ、ユニークな事業モデルとそれを支える事業基盤により、「グローバル確実短納期」を実現し、お客さまの利便性向上に貢献。

【事業内容】FA事業、金型部品事業によるメーカー事業、他社商品も含めた販売を行うVONA事業による流通事業

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