Service CloudとAmazon Connectの連携活用で
問い合わせチャネルを統合し顧客との関係を強化

株式会社Mizkan J plus Holdings 管理本部 情報システム部 システム2課 専任課長 竹嶌敏雄氏
株式会社Mizkan J plus Holdings 管理本部 情報システム部 システム2課 加地那奈香氏
株式会社Mizkan J plus Holdings 管理本部 情報システム部 システム2課 主任 中村奈央子氏
株式会社Mizkan コミュニケーション本部 カスタマーリレーション部 お客様相談センター センター長 大辻美里氏
株式会社Mizkan コミュニケーション本部 カスタマーリレーション部 お客様相談センター 主任 笠井陽子氏
生活者とのコミュニケーション強化を目指し、お客様相談センターのシステム刷新を決断
ミツカングループは、2018年に策定した「未来ビジョン宣言」において、生活者とのつながりを強化し、ともに価値を創造していくことを宣言。それを実現する取り組みの1つとして、同社は2021年、CRM本部を立ち上げました。同社コミュニケーション本部 カスタマーリレーション部 お客様相談センター センター長の大辻美里氏は、前後の変化についてこう話します。
「お客様相談センターはそれまで、品質保証部門の管轄下にあって、苦情をいかに減らすか、という視点で活動していました。CRM本部への移管により、お客様相談センターはお客様との大切な接点と位置づけられ、そこで得られた情報をどう活用してファンの獲得や売上の向上につなげるかに重点を置くようになったのです」(大辻氏)
折しも同社では、既存のCRM/CTIシステムの保守期限が間近に迫っていました。そうした状況を受けて2023年、生活者とのコミュニケーションの強化を目的とするシステム刷新を決断したのです。
Service CloudとAmazon Connectの連携活用でメール承認業務を月間約58時間削減、働き方改革も前進
同社は、誰にでも操作しやすく、グローバル展開に適したCRM基盤としてSalesforce(Service Cloud)を、またクラウド型で保守性・拡張性に優れたCTIとしてAmazon Connectを選定しました。その上で、開発パートナーにウフルを選んだ理由について、株式会社Mizkan J plus Holdings 管理本部 情報システム部 システム2課 専任課長の竹嶌敏雄氏はこう説明します。
「決め手となったのは、それら2つのソリューションの連携に関する知見・実績の豊富さと、サポートの手厚さです。実際に導入プロジェクトでは、Salesforce全般に詳しいウフルの2名の担当の方が、常に私たちと向き合ってワンチームで課題の解決に取り組み、期限までに確実に仕上げていってくれました」(竹嶌氏)
同社がウフルとともに構築したのは、Service Cloudを中心にシステムを統合した、お客様相談センターの新たなプラットフォームです。顧客情報・通話履歴の一元管理や、各種業務のシステム化によって、オペレーターの業務の効率と正確性が格段に向上しました。
たとえば、メール承認フローについては、ファイル共有ツールに手動で情報をアップするなどの煩雑な作業が不要となり、同時に進捗状況が可視化されたことで、メール承認の所要時間は1件当たり約10分、全体で月間約58時間削減されました。また、同内容のクレームが複数発生した際の工場へのエスカレーションが自動化されたことで、オペレーターの負担が軽減され代品の誤配送などのミスが激減しました。
さらに、システムのクラウド統合によってテレワーク環境が整備され、女性や子育て世代の多いオペレーターの働き方も変化しました。お客様相談センター 主任の笠井陽子氏は言います。
「従来は家庭や学校のちょっとした用事でも半休を取らなければなりませんでしたが、今は用事を終えたらすぐにオフィス外で受電業務を再開できます。とても柔軟に働けるようになり、週2~3日はテレワークをするようになりました」(笠井氏)
すべての問い合わせチャネルをService Cloudに統合する、開発の第2フェーズへ移行
当初の目標を達成した同社は、開発の第2フェーズへ進んでいきます。次なる目標は、グループ会社の運営するECブランド「ZENB」などにおいて個別に運用していた問い合わせチャネルを新システムへ統合することです。
当時ミツカングループでは、前述のお客様相談センターを株式会社Mizkanで運営する以外に、外部委託によって、土日のみの緊急窓口としてのコールセンター、および「ZENB」のコールセンターを運用していました。事業の拡大により、そのように各センターで顧客情報が個別管理され統合されていないことのデメリットや、重複する業務の無駄が目につき始めたのです。
「チャネルごとに別のシステムを使っていると、お客様情報が重複していても気づけませんし、グループ全体でお客様対応の履歴やノウハウが共有・蓄積されません。それで2025年、システムの統合に乗り出しました」(大辻氏)
ただ、関連各社がそれぞれに運用してきた問い合わせチャネルのシステム統合だけに、外部からは詳細のわからない点が多く、プロジェクトでは何度も課題や予想外の事態に直面しました。情報システム部 システム2課の加地那奈香氏は言います。
「当初は私たち自身が、システムの全容を把握できていませんでした。プロジェクト開始から相当の時間が経過した時点で、ECプラットフォームであるShopifyの環境がミツカン公式のECサイトと『ZENB』とで別個に存在することに気づいたほどです。普通の開発パートナーなら、『そこはうちの領域ではないので』と突き放されても仕方ない状況だったわけですが、ウフルは柔軟な対応で課題を1つずつ一緒にクリアしてくれました」(加地氏)
問い合わせチャネルの顧客・注文データ統合で、より深い顧客コミュニケーションが可能に
当初の予定通りのスケジュールで、すべての問い合わせチャネルをService Cloudに統合し、Shopifyのデータを連携させた同社。結果、コールセンター間における円滑な情報共有・依頼など、問い合わせ対応の業務をより効率的に行えるようになりました。
「たとえば、外部委託先のコールセンターで製品に関するクレームを受けた場合、その情報を受け取った私たちお客様相談センターが工場に調査を依頼し、結果を報告書にまとめる業務が発生します。今はService Cloudの1つのケースの中で情報を共有・確認できるので、以前のようにおのおののシステムに情報を入力してメールでやり取りすることなく、効率よく業務を進められます」(笠井氏)

顧客・注文データ連携のメリットは、そうした業務効率化だけに留まりません。顧客情報や過去の注文履歴をワンクリックで表示し、より迅速・的確に問い合わせに対応できるようになるなど、「生活者とのコミュニケーション強化」という大目標に向けて前進することができたのです。
「過去にどのような商品を購入し、どのようなお問い合わせをしているかなど、お客様をより立体的に把握できるようになりました。その結果、過去のお問い合わせや購入履歴を踏まえた、より丁寧で深いコミュニケーションが可能になりました」(大辻氏)
さらに、クレームの件数や対応の回数・速度など、これまでバラバラだった各種指標が統一されたことで、データ分析やレポートの精度が向上し、より的確な業務改善策などにつなげられるようになっています。
短期間で大きな成果を挙げた同社。それでも竹嶌氏は、やるべきことはまだまだある、と今後の展望を語ります。
「お客様相談センターでは現状、業務を成り立たせるために、驚くほど多くのシステムの力を借りています。それだけに、ワンプラットフォームを志向して業務を効率化し、会社に貢献できる余地がたくさんあります。また、社内では多くの部門がCRM業務に関係しており、各取り組みの状況を一元的に把握できることも求められると思います。
ウフルとは今後も長くおつき合いし、そうした取り組みを支えてもらいたいと考えています」(竹嶌氏)
Service CloudとAmazon Connectを連携し新システムを構築。
顧客・注文・問い合せデータの統合により、お客様の状況をより立体的に把握出来る基盤を実現。

会社概要

株式会社Mizkan
〒475-8585 愛知県半田市中村町2-6
ミツカングループは1804年創業。お酒づくりから生じた酒粕を原料にお酢をつくることから始まった。日本+アジア事業における事業会社である株式会社Mizkanでは、食酢・ぽん酢・鍋つゆ等で高いシェアを誇る。グループ全体で売上高3,138億円(2025年2月期)、社員数約3,600名(2025年4月1日時点)に達する。
【事業内容】
家庭用/業務用調味料、加工食品、納豆の企画開発、製造、販売
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