パーソナライズで顧客の購買体験価値の向上を目指す
-Salesforce MC Personalization導入-
デジタル&Eコマース本部 データストラテジー&アクティベーション部
MA&Personalization Unit マネージャー 守安 梨紗 氏(写真中央)
(同Unit) 新村 絹依 氏(写真左)
(同Unit) 中村 愛子 氏(写真右)
コーヒーや菓子など、幅広く食品を取り扱うネスレ日本株式会社。自社が運営する通販サイト「ネスレ通販」を通じた顧客コミュニケーションの向上を目指し、Salesforce Marketing Cloud Personalization(以下Personalization)を導入しました。
様々な商品を取り扱うネスレ日本。商品ラインナップが幅広いこともあり、固有のニーズをもつ顧客一人ひとりへのコミュニケーションをパーソナライズする必要性を感じていたといいます。すでにパーソナライズできるツールを導入していましたが、社外のリソースに頼る運用形態だったため、実行時の即時性と柔軟性に課題がありました。
「ツール自体は良いものでしたが、タイムリーなアクションを取るためにも、将来的な内製化を視野にいれ、社内で対応できる環境を整える必要がありました」(守安氏)
また、2022年5月にSalesforce Marketing Cloud Engagement(以下Engagement)を導入していたネスレ日本。Engagementと連結することで顧客とのコミュニケーションをより円滑なものにしたいという思いもあり、Personalizationの導入を決めました。
「それまではネスレ通販サイトに来た方をリアルタイムで捕捉しその方に対してメールを送る施策などは不可能でしたが、Salesforce製品で統一することで、それが初めて可能になると知りました。そこで、Salesforce製品で統一する方針をとったのです」(新村氏)
Personalizationの導入支援をベンダーに依頼する際、重視したのは内製化への支援でした。
「私たち運用者は2名ともこれまでPersonalizationの開発や運用経験はありませんでしたが、当初より、簡単なものからスタートしつつ、徐々に範囲を広げて自分たちで制作・運用をできるようにしたいと考えていました。ウフルはPersonalizationへの技術面の知見や他社事例も豊富ですし、内製化の意図もご理解いただけていましたので、Personalizationを伴走いただけるパートナーとして最適だと感じました」(中村氏)
また、新村氏はデジタルマーケティングの知見があるベンダーが良いと考えていたと振り返ります。
「Personalizationを単なるWebツールとして捉えていないため、デジタルマーケティングやWebデザインの知見のある会社のほうが合っているのではないかと思っていたんです。比較検討した他会社の多くは、基幹システムの導入には強いものの、そこはさほど強くはありませんでした。1番バランスがいいのがウフルだと感じましたね。Salesforceの事例も多くあり、安心感がありました」(新村氏)
開発期間は2ヵ月。その期間に、ウフルが準備した汎用テンプレートを用いて既存のマーケティング施策を120移行しました。この取り組みについて、新村氏は「優先順位付けをきちんとしてくれ、明確に説明してくれるところに信頼が置けると感じました」と説明します。
「こちらが申し出たことをすべて請け負うのではなく、誠意を持って今やるべきことかどうか答えてくれました。実現可能性とコストを明確に説明してくれたのもありがたかったですね。印象に残っているのは、担当者のレスポンスの早さ。常に張り付いてくださっているのではないかと思うくらいの迅速さでした」(新村氏)
導入後、数値で表せる成果も出始めています。
「内製化を目指したからこそだと思っています。開発者は利用者ではないため、丸投げで開発をお願いした場合、ベンダーが利用者側の背景を把握しきることは困難です。今回は、私たちが『ここまで聞いていいのだろうか』と思うくらい細かなことまで質問する一方、ウフル担当者には弊社のビジネス背景を説明し、相互理解を深められました。だからこそ、『ビジネス上の課題や施策の目的に沿った最適なアクションはこれ』と考えて進めることができ、成果や不具合の抑制にもつながったのではないかと思います」(中村氏)
Personalizationを導入し、「ネスレ通販」のトップページに汎用テンプレートを活用したマイページ遷移用のポップアップをだしたところ、スマートフォンにおける遷移率は46%から52%へ増加しました。
また、商品選択ページでの選択内容に応じたポップアップ表示も成果を上げています。この施策は、以前から行いたかったものの、開発リストの優先順位でなかなか着手できなかったものでした。
「『あと〇個買ったら〇%割引』や『あと〇円で送料無料』といったポップアップを出すことはビジネスサイドの悲願でした。効果は大きく、1回あたりの購入金額が1,000円以上あがった対象セグメントもありました。単に私たちの売上が上がるだけでなく、お客様にとっても役立つ情報を伝えられたのが嬉しい」(守安氏)
「社内のITエンジニアに頼らず、マーケターだけで施策をすぐにできるようになったのが大きな成果ですね。『今、この施策を打ちたい』といったときに、ITチームのリソースがなくても迅速に対応できるようになりました」(新村氏)
施策事例が出てくるにつれ、社内から「一旦できるかどうか聞いてみよう」という雰囲気も醸成されているといいます。7月頃から徐々に社内からの依頼や相談が増え、新たにテンプレートの開発も行われました。
「導入したばかりのころは、新しいツールでしたので社内から少し警戒されている雰囲気がありましたが、このころから『もしかするとPersonalizationだったら実現可能かもしれない。まずは相談してみよう』という雰囲気にかわってきました。」(中村氏)
最後に、今後やりたいことを伺いました。
「味の特徴を分類し、お客様の好みに合わせた提案ができればいいなと思っています。あとはクーポン情報のメールを見て通販サイトにきた方にポップアップでクーポン情報を出すといったことにも取り組みたいです。解約ページに来た方にヒアリングする場を用意するといったこともできるのではないかと思っています」(新村氏)
「コーヒーは豆によって味も大きく異なるうえ、飲み方についてもブラックやラテなどバリエーションが豊富です。弊社通販サイトのメイン事業であるコーヒーの定期お届け便では、本来多彩なラインナップからお客様にぴったりの商品を選んでいただけますが、この個別提案がこれまではうまくできていませんでした。今後は、選ぶのも届くのも毎回楽しくなるよう、細かなコミュニケーションを行い、サービスをより良くしていきたい。私たちだけでなく、このビジネスの根幹にある願いだと思っています」(守安氏)
会社概要
ネスレ日本株式会社
〒651-0087 兵庫県神戸市中央区御幸通7-1-15 ネスレハウス
スイスに本社を置く世界最大の食品飲料会社。Good food, Good lifeカンパニーとして、食品、飲料、栄養健康製品、ペットケア製品、そして付加価値の高いサービスで実現できるイノベーションを探求し、食の持つ力で現在、そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていくことを存在意義としている。日本国内では「ネスカフェ」、「キットカット」、「マギー」、「ピュリナ」などの製品を取り扱う。
【事業内容】
飲料、食料品、菓子、ペットフードの製造・販売
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