Amazon Connect PoC環境をスピード構築、治験応募者送客業務での検証を開始
エムスリーグループの一員として、「医者と生活者の距離を縮める」を理念に掲げ、メディア運営等を行う株式会社QLife。被験者を集め、製薬会社の治験につなげる事業でのコールセンターの業務効率化を図るため、効果検証のためのAmazon Connectの導入しました。その導入経緯やプロジェクトについて株式会社QLife プロダクト開発室 室長 岩田 彬広 氏へお聞きいたしました。
■ コールセンター業務の効率化、治験への応募者増加のため、Amazon Connect導入を検討
被験者リクルーティングサービスを展開しているQLife 。その主な業務の流れは、被験者募集のWeb広告からランディングページに遷移しWebアンケートに答えた人の中から治験内容に適した人を見つけ出し、コールセンターのオペレーターが既往歴や服用薬の確認、スケジュール確認を行い、来院の約束を取り付けるといったフローです。応募者から対象者を特定するという人手によるスクリーニング作業を圧縮し、業務を効率化したいという課題がありました。
また、被験者を増やす目的から、Web広告からの応募者を待つだけでなく、特定のリストへ電話をかける施策にも試みたかったといいます。
<被検者募集フロー>
「ただ、今までの電話とは異なり、こちらは弊社が能動的に電話をかけることになるため、応答率が大幅に下がるだろうという懸念がありました。また、電話に出ていただいた方でもお断りされる場合も非常に多いでしょうから、オペレーターの精神的な負担も気がかりです。人だけの対応だと時間がかなりかかるため、システムを使って上手くやれるようにしたいと考えていました」(岩田氏)
■ プロジェクトが立ち消えにならないよう、スピード感を重視した
Amazon Connectというサービスについては、以前から把握していたQLife。類似のサービスを一通り見たのち、グループとしてAWSと取引がある信頼感から、Amazon Connect一択で進めることになりました。グループ全体を担当するAWS社の担当者に相談したところ、紹介されたベンダーがウフルだったといいます。
「実は、2021年にもAmazon Connectの実証実験をしたことがあったんです。そのときは弊社側でもAmazon Connectや自動電話のノウハウやベストプラクティスの知見を持ち合わせていなかったため、開発に時間を要したり、既存手法と応答率を比較するテストの設計もうまくいかず、ナレッジを蓄積できていない状況でした。そのため、今回はもう1回ちゃんとやりましょうという事情もありました」(岩田氏)
ベンダーについては、「特に他社と深く比較検討はしなかった」と岩田氏。その理由として、スピード感を持って進めたかったことを挙げます。
「本気でベンダー選定をやるとなれば、それだけで1、2ヵ月を要します。通常であればAWSさんが数社紹介してくれるのですが、ここでは1社だったこともあり、『であれば、ウフルでいこう』と思いました。自前のエンジニアによる開発、ウフルの支援による開発、他ベンダーをゼロから探して依頼するという3つの選択肢があり、1番投資対効果があるのはウフルだと社長に説明し、承認を得ました」(岩田氏)
重視していたスピード感について、岩田氏は「やり取りが早かった」と感想を述べます。
「良い印象を持ったのは、お聞きしたその場で、ほぼレスポンスをいただけたことですね。他のベンダーさんだと、持ち帰って返答しますと言われ、返事をもらうまでに1週間が経過するといったこともよくありますが、今回は即レス、持ち帰られた場合も翌日か2営業日後には返事をいただけ、話が早いなと思いました。コミュニケーションツールに関しても、メールだけではなくSlackも活用し、よりクイックにやり取りできたため、安心感がありましたね」(岩田氏)
■ 優先順位を考慮して、柔軟に対応してもらえたのが好印象
プロジェクト期間は3ヵ月。終えてみた感想について、岩田氏は次のように語ります。
「期待していた効果は得られたと思います。3ヵ月で業務に沿った基本的受発信やオートコール(※注)の仕組みがすでに手元にあり、それをどう使いこなすべきかというナレッジが私やエンジニア組織にも蓄積されました。現在、関わっているメンバーは5名ほどいるのですが、その5名はこちらから何も言わずとも使える状態です。そのあたりが得られた期待していた効果かなと。内製化した場合、Amazon Connectのナレッジを蓄積するところから始める必要がありますし、他案件の差し込みなどでどうしても集中しづらいといった状況もあり得ますので、やはり依頼して良かったなと思っています」(岩田氏)
社内のエンジニアのアサインが遅れ、最後の1ヵ月で2名が参加する形となりましたが、動くものが先にあったことから、エンジニアの理解はスムーズに進んだといいます。
「エンジニアなら、動くものがあれば雰囲気で触れるところがあるのでしょう。最後の1ヵ月という限られた時間で質問もさせていただきましたが、先に動くものがあったことで、その後の追加実装を内部で行えたのではないかと思います」(岩田氏)
「ドキュメントは後でいいので、先にものを見せてくださいという話を初めからすんなりできたのが非常に良かった」と岩田氏。PoCであっても要件定義を必須とするベンダーもいるなか、「とにかく動くものを先に作りましょうと進めてもらえ、いい意味で優先順位をコントロールしてもらえた」ことが良さだったと振り返ります。
スピード感を重視したのは、実際に出来上がったシステムを早く現場のメンバーに届けることで手触り感を持ってもらい、オペレーションへ組み込むためのディスカッションや改善要望の吸い上げをスムーズに進めたかったためだといいます。
「システムが出来上がる前の議論も大事ですが、そこに専念しすぎると、あれもこれもと要望が噴出したり、プロジェクト期間が長期化することによる徒労感が生まれてしまうという経験則がありました。そのため、初回の打ち合わせから契約までのスピードも早く、『立ち消えになってしまわないよう、とにかく早く』進められたプロジェクトでした。」
「動くものをベースに聞くのが1番早いですね。実装する人と話せる距離の近さも魅力だと感じました。自前で作るよりはベンダーと作ったほうが早いとあらためて実感したため、グループ内でコールセンターを抱えている別会社にもウフルを紹介しました」(岩田氏)
■グループ会社にも紹介。コールセンター改善事例が増えることに期待
Amazon Connect導入の目的だったオペレーションの工数削減や被験者の増加に関しては、目下業務に落とし込んでいるところだといいます。
「まずは、応募者を増やすテストを行う予定です。こちらは現状実装されている仕組みで実現できるものです。そのテストが終わり次第、本格的にシステム化するというロードマップを考えています。目的だった工数削減に関しては、次のステップで実現したいという感じですね。今のところは社内の技術者で実装できるのではないかと思っているのですが、やはり自社だけでは難しいとなるかもしれません。そのときはまた依頼したいと思っています」(岩田氏)
最後に、ウフルへの期待について語っていただきました。
「一個人の願望として、グループ内のコールセンターの効率化、改善もぜひ提案してもらいたいと思っています。ウフルのスピード感と柔軟性で、グループ内に『ウフルだとこういう未来が作れる』という認識が浸透していくことを願っています」(岩田氏)
※オートコールとは
作成したリストをアップロードし、リストに対して順次架電していく仕組み。つながった際に音声ガイダンスを利用し承諾を得た場合のみオペレーターに繋ぎ会話をスタート。対応可能なオペレーター数に応じて架電数を制御することや、架電する時間帯や頻度などを設定することが可能。アウトバウンドコール業務の自動化により稼働効率向上が期待できる。
会社概要
株式会社QLife
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-21 虎ノ門33森ビル10階
エムスリーグループの一員として、 「生活者」「医療従事者」「製薬・医療機器メーカー」の三方向にサービスを提供。これらの基盤を活用し、医療業界の様々な課題を解決する、メディカルマーケテイングを実践している。
【事業内容】
ニュース・特集サイト、疾患特化型メディア、疾患啓発・治療継続支援、被験者リクルーティングサービス、治験マッチングサービス、施設運営支援サービス、等
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