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大阪府内初!豊中市民の生活を支える水道とウフルの「応急給水ポータル」

(写真左より)
豊中市上下水道局 経営部総務課 長坂様
豊中市上下水道局 経営部お客さまセンター給排水サービス課 眞砂様


1995年の阪神淡路大震災発生時、大阪府豊中市は府内で最も大きな被害を受けました。その経験から市は災害時の対策を強化してきました。そして、2023年6月、大阪府内で初めての取組みとしてデジタルマップ「応急給水ポータル」を導入。災害時に市民の命を守るための「水」の供給活動が効率化されました。

■ 生活を脅かす断水 災害時の水道供給の課題
国内では近年、地震や豪雨等の自然災害が頻繁に発生しています。自然災害などによって起こる断水は、炊事や入浴、トイレの水洗や飲み水の確保など私たちの生活に影響を及ぼします。特に大規模な災害時には水道管の破損や損傷で断水が起こり、数週間にわたり多くの住民が水の供給を受けられず、生活が困難となるケースがあります。2011年の東日本大震災では、実に19都道府県で断水が発生し、完全な復旧に5か月以上要したこともあり、全国の自治体では円滑な給水活動計画の見直しや、水道管の老朽化対策や耐震化に伴う工事が日々行われています。

■ 28年前の被害を教訓に災害時対策を強化
豊中市は、1995年の阪神・淡路大震災で府内最大の被害を経験したこと、また東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨の際に被災地への応援活動を行っていることから、その経験と知見を活かし、市内の災害時対策に注力してきました。

東日本大震災の被災地に、豊中市から給水活動の応援に向かった眞砂さん。現地は、言葉では言い表せないほどの状況だった、と当時の様子を語ります。「テレビの画面越しで見るのと肌で感じるのは全く違って、現地に到着した時は目の前の光景に絶句しました。私が給水活動に携わったのは、震災発生から約一か月後でしたので、街中の道路はある程度瓦礫が除去されていましたが、山手の方の道はまだ瓦礫や流木だらけで、その間を給水車で移動しながら、住民の皆さんに飲み水を配ってまわりました。」

その時、被災者の方と交わした会話が忘れられないと語ります。「『わざわざ私たちのために遠いところから来てくれて、ありがとうね。疲れてない?』と、被災されて不自由な生活を送っているにも関わらず、逆に私たちの事を労っていただきました。その言葉を聞いた時に、『こういうときのために僕ら水道局の人間は頑張らないといけないんだ。』、と痛感しました。断水がおこらないために日々の業務を行うことはもちろんのこと、災害時につらい思いをしている人たちのために、我々がどれくらい動けるか、どれくらい役に立てるかが自治体職員の存在意義なんだと思っています。」

■ 市民のライフラインとなる応急給水所
断水が発生すると、住民のライフラインを確保するために、自治体の水道局が応急給水活動を行います。学校の運動場などの公共施設に応急給水所を開設し、ホームページやSNSなどで告知、同時に給水に関する問い合わせ窓口を設置して復旧に取り組みます。
しかし実際に断水が発生すると、自治体に問い合わせが殺到し、職員が対応に追われてしまうため、限られたリソースの中で正確な情報をタイムリーに発信していくことが困難になります。また給水現場では被災した住民が応急給水所に殺到するため、住民は水をもらうために長時間待機列に並ばざるを得ず、並んでいる間に水が不足してしまうケースも発生することから混乱が起きてしまいます。

■ 応急給水活動の応援先で実感「これは使える」
2021年、水管橋の崩落事故により、和歌山市で約 6 万世帯(約 13 万 8 千人)に及ぶ大規模な断水が発生しました。豊中市から現地の応援に駆けつけた眞砂さんは、応急給水所で使われていたウフルの「応急給水ポータル」を目にしました。

「応急給水ポータル」は、地図上のピンにポインターを合わせると給水所の駐車場の有無や、給水残量、現場の混雑状況や次回給水車が来るタイミングが表示されるようになっています。給水状況が可視化されるため、自治体職員の業務改善につながり、給水所との連携が取りやすい他、地域住民に対する給水所の混雑によるストレスを軽減することができます。

豊中市応急給水ポータル 左・中央:住民向け画面イメージ 右:職員向け管理画面

 

「これは使える、と感じました。災害時、非常事態で様々な情報が錯綜する中、求められるものの一つは、”わかりやすさ”です。応急給水ポータルはとてもシンプルで、信号と同じ、赤・青・黄色で表現されているので、文字を読まなくても地図を見て直感的にわかる点が良いと感じました。」

大きな災害が起こった場合、様々な部署の職員が現場対応に動きます。逼迫した状況で、複雑な操作は求められません。このポータルのシンプルな操作性は、職員に魅力に映ったと語ります。さらに、現場の状況がリアルタイムで更新される機能が好評で「私たちも採用を検討すべきだ」との声が上がりました。

豊中市上下水道局では、断水時に住民に対する情報提供や給水状況の把握が課題となっていました。「これまではホームページに断水している地域の情報と給水所の場所をテキストで掲載していました。」
テキストで羅列していた情報を、地図上で表示することにより住民の方の利便性も高まります。
「豊中市はデジタル技術の活用で新たな価値創造と変革を進めるという方針があり、よしやろうと話が進みました。」

■ 災害対策から平時利用まで
断水は、災害時だけでなく平時でも事故等により起こりうる可能性があります。水道管破裂の原因になる水道管の老朽化は、全国的にも大きな課題になっています。厚生労働省によると、全国に設置されている水道管の20パーセント余りが、設置から40年間とされている耐用年数を超えています。
豊中市水道局は、万が一のときに断水が起こらないように、日々古くなった水道管の取り換えや耐震化をすすめています。

「応急給水ポータル」には、こうした平時の水道管の工事に伴う計画的な断水の状況を住民の皆さんにお知らせする機能も拡充予定です。

応急給水ポータル 左:ハザードマップの表示 右:下水道関連情報の表示

 

「災害時のためのサービスだけではなく、平時で日常的に利用できる機能が重要です。」と長坂さんは強調します。

今後は、他自治体と広域連携できる機能や、職員側のシステムの拡充など、使いようによってより利便性が高まるのでは、と期待を込めて語ります。

いざという時に職員が現場で動けることがなによりも大切、と語る眞砂さんは、応急給水ポータルの導入から2度にわたり、断水を想定した給水訓練を実施しました。訓練では、災害が起こり市内の特定エリアが断水してしまったことを想定し、応急給水所が設置されました。応急給水所にいる市職員が「応急給水ポータル」上で給水残量や混雑状況を登録すると、本部や別のスポットにいる職員の端末上にリアルタイムな状況が反映され、迅速かつ的確な情報提供、共有ができることを確認しました。

「応急給水ポータル」職員向け管理画面

 

現場職員は3つの質問にこたえるだけで現場の状況を簡単に登録できます。
「災害はいつか起こるものではなく、いつ起こってもおかしくないという意識をもって、その日に向けて、平時からの訓練を重視しています。」(眞砂氏)

■ ウフルの「応急給水ポータル」

「応急給水ポータル」は、災害時の断水に対応するためのデジタルマップです。給水所の場所や混雑状況、給水残量を地図上でリアルタイムに可視化し、住民や自治体職員にとっての情報共有ツールとして活用されています。専用アプリやユーザー登録は不要で、住民は最適な給水所の選択が可能となり、情報収集の手間を軽減できます。また、自治体職員は住民からの問合せを削減することで、給水活動に専念できるメリットがあります。応急給水ポータルは、災害時の給水活動がよりスムーズに行えるようサポートします。

■ ウフルの防災サービスの今後
ウフルは、河川の水位や避難所情報等も掲載した防災ポータルや、地域の飲食店等と連携した地域活性ポータル等を開発し、平時と災害時の両方の観点から自治体のサポートを行っています。テクノロジーの力でより多くの自治体、地域住民の生活をサポートすることで持続可能な社会の実現を目指していきます。

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