煩雑になったポータルサイトを再構築。各種サービスをシームレスに繋ぎ、利便性、業務効率化を図る
(写真左より)
IT・システムサービス部 次長 尾西 豊 様
IT・システムサービス部 奈須 斐女 様
IT・システムサービス部 吉田 紗柚季 様
IT・システムサービス部 課長 大和 俊哉 様
IT・システムサービス部 主任 日下部 公彦 様
グループ企業のITに関するさまざまな業務を請け負うシェアードサービスを提供している株式会社国際教育センターVISTA ARTS(以下、VISTA ARTS)。2010年からグループ企業向けにポータルサイトを運用していましたが、時と共に利用サービスが増加したことにより、複数システムへのログインが必要になるなど利便性の低下やスマートフォンでの使いやすさなど課題が生じていました。その課題を解消するため、Amazon Web Services(以下、AWS)を活用してポータルサイトを再構築しました。
■ 長年手を付けられていなかったポータルサイトの再構築に着手
VISTA ARTSはインターネット黎明期である1994年に設立されて以来、Web・DTP制作やパソコンのメンテナンス、アカウントの管理など、グループ企業のITに関するサポートを行ってきました。ポータルサイトを作ったのは2010年ごろのことだといいます。
「当初はメールアドレスに加え、さまざまなサービスの窓口となるようなポータルサイトを作ろうという目的だったと聞いています。ただ、各種サービスへのリンクやグループのサイトリンク集のような入口に過ぎないものだったため、再構築したほうがいいのではという話が何度か持ち上がっては実現できずにいたんです」(大和氏)
2019年、ポータルリニューアルに一念発起したというVISTA ARTS。その際、別案件で関係のあったウフルに相談を持ち掛け、提案を受けました。年明けから着手しようとしていた矢先、新型コロナウィルス感染拡大が起こりその対応に追われることになります。また、これによりVISTA ARTSの状況にも変化が起こりました。
「2010年にポータルサイトを作ったときからGoogle Workspaceを使っており、基本的にGoogleのサービスを利用していました。しかし、コロナ以後にMicrosoftも使うことになったんです。2020年のゴールデンウィーク直前でその話が浮上し、連休明けまでには3万人規模のMicrosoftアカウントを用意しなければならなくなりました」(大和氏)
限られた時間で進める必要があった、既存のサービスと連携して作ることができず、結果、Google Workspace、Microsoft365の各サービスでそれぞれのアカウントを持っている状態になっていました。急いで環境を整え、便利に使ってもらえる状態にしなければならない課題感から、ポータルサイトの再構築に至りました。
■ パブリッククラウドでの提案だったことがウフル選定の1つの要因
業者の選定は、複数社から行われました。最終的にウフルを選んだ理由やウフルの印象について、それぞれ次のように説明します。
「他社ベンダーは独自システムのカスタマイズやフルスクラッチの提案が大半だったのですが、ウフルさんはGoogleやMicrosoftなど既存の仕組みを活かし、柔軟に組み合わせてやってもらえるとお聞きしました。選定の上で強いポイントだったと思います」(吉田氏)
「フルスクラッチの提案が多いなか、ウフルさんからはクラウドサービスを統合した提案を受け、そこに対する技術知識がすごく豊富な印象を受けました」(奈須氏)
「パブリッククラウドを利用し、AWSメインで提案をもらいました。ちょうど我々もクラウドへの移行を考えたいと思っていたこともあり、単純に価格面では他社のほうが安かったのですが、ウフルさんにお願いしようということになりました」(大和氏)
要件定義に着手したのは2020年秋冬。フルスクラッチではなくパブリッククラウドを選んだ理由の1つは、自社の開発で追加開発を行える状態にしたかったからだと吉田氏。そのため、なるべく汎用的なものを希望したといいます。またウフルからは伴走支援も提案されました。
今回のプロジェクトについて、日下部氏と吉田氏は次のように振り返りました。
「我々はふだん運用メインでの仕事が多いため、時間的にも業務的にも日々生まれる新しい技術を得にくい環境にあります。そのようななか、今回のプロジェクトではクラウドの最新技術を活かしてもらえたことが、我々の業務知識にもプラスになったと思っています」(日下部氏)
「環境確認テストをするだけではなく、私たちが今後AWSの管理画面に入り、システムに触れることを前提に開発してもらいました。他のお客さんにはしなくていい説明もしなければならなかっただろうと思うのですが、丁寧に解説してもらえて感謝しています」(吉田氏)
■ 体感ベースではあるものの、利用者数の増加を実感
新しいポータルサイトをリリースしたのは2021年10月。21年度中におおむね切り替えが完了し、22年度は利用が開始されている状態です。明確な数字としての成果は算出していないそうですが、月に2度のウフル担当者との打合せ で開示されるアクセス数を見る限り、安定して利用されている様子がうかがえるとのこと。
「2020年に急いで作ったMicrosoft環境の認証をベースにし、シームレスに繋げられるサービスが増えました。ひとつのIDとパスワードで複数のシステムにログインできることで、便利に使えるようになったのではないかと思っています」(大和氏)
「メールアドレスの発行ルールを変えた他、パスワードを忘れた際の仮パスワードの発行を我々ではなく各現場の責任者ができるようにしました。我々の手間も減りますし、パスワードの再設定にかかる時間も短縮できます。データを取ってはいないものの、確実に効率化されているはずです」(吉田氏)
「あくまでも体感ベースの話にはなりますが、使い方の問合せを受ける機会が増えたように感じています。問合せがあるということは使ってもらえているということだと思っています」(奈須氏)
■ 今後も利便性の向上、業務効率化を図りたい
今回はスケジュールの都合上、今までにない機能を入れるプラスアルファの改修はできず、まずはシームレスな繋がりを作ることに特化させることになりました。その狙いは一定果たせているとのこと。今後について、今もウフル担当者と打合せをしているという大和氏。ポータルサイトの機能追加以外の別の大きなプロジェクトも動いており、そちらの話も相談しています。
「グループで長年利用してきた基幹システムを次世代のものに変えようとしています。そちらにもポータル機能があるため、住み分けをどうするか考えているところですね。今はウフルさんからも提案をもらって、グループ内の各企業にヒアリングをしている段階です。ポータルサイトがファーストステップ、窓口であるという基本的なコンセプトは変えず、ポータルサイトからいろいろなサービスに繋げられることで、利便性の向上や業務効率化を図っていきたいです。新型コロナウィルス感染症の流行以後、働き方や日常生活が大きく変わったように、ウィズコロナの時代だからこそ必要となるものもあるでしょう。グループ内のそうした要求を受け取り、ウフルさんに相談しながらより良い方向に進めるよう歩んでいきたいですね」(大和氏)
ウフル技術担当者から
■ AWSをベースにポータルサイトを構築した背景
オンプレミスのサーバーはリプレイス時のコストや維持コストがかかることから、パブリッククラウドへの切替に関心をお持ちになるお客様は少なくありません。VISTA ARTS様の場合は、自社やグループ会社等の複数のオンプレミスシステムが点在しており、サーバー運用にかかるコストは大きいとお聞きし、クラウドサービスをご提案しました。
今回のご要望のひとつは、すでにお使いの Microsoft365とGoogle Workspace等のサービス間のID連携でした。すでにユーザー管理体系があったことから、それらを連携させるには、信頼のおける Amazon Cognito の活用が最適と判断しました
■ パブリッククラウドを統合させるメリット
パブリッククラウドのメリットは、大きく費用面と時間面で語ることができると思います。
費用面のメリットは、第一に初期費用ゼロもしくは低価格であるということです。第二に必要なリソースを必要なタイミングで利用できる点です。AWSでは必要なときに数クリックでサーバーの台数を増減、メモリやストレージサイズを変えることができます。第三にはマネージドサービスによる運用負荷の軽減です。VISTA ARTS様は、サーバー保守においてはハードウェアに起因するメンテナンス負荷が高かったと聞きました。AWSはサーバーレスを実現させるためのサービス群を揃えています。
時間的メリットは、必要な機能が揃ったサービスを利用することで導入や開発にかかる時間を短縮できる点です。VISTA ARTS様が今後自社内で追加開発をされることを考えても、すでに普及しているクラウドサービスには開発に役立つナレッジや教育プログラムが準備されていることは役立つでしょう。ウフルは保守・エンハンス支援として今後もお手伝いをしますが、少しずつ自社でできることを増やしていただくことができると思っています。
■ 利用したAWSサービス
実現機能 | 利用サービス |
---|---|
ポータルサイト | Amazon EC2, Amazon Elastic Load Balancer, Amazon API Gateway, Amazon S3, Amazon RDS (MySQL), Amazon VPC |
セキュリティ | AWS WAF |
CDN・ドメイン管理 | Amazon CloudFront, Amazon Route 53 |
システム保守管理 | Amazon CloudWatch (Logs, Alarm) |
データバッチ登録 | AWS Batch, Amazon EventBridge, AWS Lambda |
各種認証認可機能構築 | Amazon Cognito, AWS IAM |
ビルド・デプロイ | Amazon ECS, AWS CodePipeline, AWS CloudFormation |
会社概要
株式会社国際教育センター VISTA ARTS
〒542-0082 大阪府大阪市中央区島之内1-10-15 滋慶ビル3F
VISTA ARTSは、主に滋慶学園グループ内のICT全般をサポートするため、1994年に「株式会社国際教育センター」のマルチメディアセクションとして設立されました。
コンピュータ、タブレット等のデジタル端末や業務システム、Webページ、パンフレット等の様々な領域において、全国5カ所に拠点を置き制作・サポートを行っています。
■事業内容:グループ内へ向けてのICT全般のサポート
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