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地域課題を自動運転車両で解決 車両と住民をつなぐロケーションシステムを構築

写真:和歌山県太地町総務課 和田 正希 様


人口減少と高齢化が同時に進む地域では、高齢者の暮らしを支える移動手段の確保が大きな課題のひとつとなっています。和歌山県の太地町ではこの地域課題を解決するため、細い道でも走行できる小型車両の自動運転を開始しました。ウフルはこの車両の位置情報を活用したロケーションシステムを構築し、今後町の人たちの日々の暮らしを支えていきます。

■ 住民の暮らしを支える移動手段が課題
人口約2,900人の太地町は、昨年末時点で65歳以上の高齢者が45%を占めています。
町内には家屋の密集地帯が多く、バスやタクシーが通れないような細い路地がいくつもあり、足腰が弱い高齢者の方にとっては通りのバス停までの道のりが遠く、気軽に外出し辛い状態でした。
さらに高齢者の免許返納の動きもあり、住民の暮らしを支える移動手段の確保は太地町の大きな地域課題となっていました。

和歌山県太地町

■ 細い路地でも走行可能な自動運転車両を導入
この地域課題を解決するため、太地町は昨年8月に小型車両を使った自動運転の実証実験を実施し、同年11月より本格実装を開始しました。
町の道路上に細い電磁誘導線を埋め込み、小型車両についたセンサーが誘導線を読み取ることでその上を自動で走行するしくみです。

実際の走行の様子(動画)

 

■ 町の人が安心して便利に利用できるしくみ
車両は指定したルートを指定した速度で走行するため、人が運転すると思わずぶつけてしまいそうな狭いルートでも正確・安全に走ることができ、また車両についたカメラで障害物を感知すると自動でブレーキがかかる仕組みになっているため、路地を歩く人も車両の利用者も安心して利用することができます。

車両は町の人たちの暮らしに欠かせない病院、スーパー、役場を含むルートを2台体制で巡回しており、約20分に1本の頻度で無料利用することができることから、担当した太地町総務課の和田氏は「利用していただいている住民の方の中には”これが私のマイカーなんだ”と言ってくださる方もいて、それだけ受け入れられていることを感じます」と話します。

また、ウフルが構築したロケーションシステム「elcompath(エルコンパス)」を活用することで、車両の位置を地図上でリアルタイムに表示することを可能にしました。
「elcompath」はクラウドサービスAWS(Amazon Web Service)上に構築したシステムで、高いセキュリティを保ちながらリアルタイムの情報を提供することができます。

AWSは迅速かつ柔軟にシステムが構築でき、その安全性や利便性が評価され、2022年度にデジタル庁が採用したクラウドサービスのひとつとして様々な地方自治体でも活用されています。

今後、地図は町の各地にあるサイネージに映し出され、小さな子どもから高齢者まで簡単に待ち時間の確認ができるなど利便性を高めることができます。
「今回の自動運転車両や、太地町への観光客が利用するバスの位置情報もモニタ上でわかるようにすることで、あと何分くらいで来るなという待ち時間の目安を見えるようにして、これからもっと便利に利用してもらうことができます」(和田氏)

■ 住民が喜んでくれることが一番
「便利だよ。僕が一番たすかっとる。スーパーに買い物に行ったり、毎日のように使うよ。」この車両を利用する町の住民は嬉しそうに話す。

”健康で楽しく長生き出来る町”を町の方針に掲げる太地町。
11月から本格実装された自動運転車両には、1か月で600人もの利用があるなど早くも町の人に受け入れられ、生活に溶け込んでいます。
これまで大通りにあるバス停までの道のりを歩くことが億劫だった高齢者の方も、車両が家の前まで来てくれることで気軽に外出ができるようになるなど、地域住民の生活にも変化が出てきたようです。

さらに自動運転を補助する乗務員や利用者が車両に乗りながら町を見守る効果もあり、また車両内で偶然居合わせた町の人たちの井戸端会議の場になるなど、地域のコミュニティ形成にもつながっているといいます。

「町の人が喜んでくれている。それが(役場として)一番嬉しい」と話す和田氏。今後について「最終的には自動運転対象エリアを広域まで拡大して、より多くの人に喜んでもらうことが町としての一番大きな目標なんです」と話す。

■ 太地町の自動運転車両と町の人をつなぐウフルのサービス
ウフルは太地町をはじめ、和歌山県内では和歌山市、白浜町、すさみ町でもデジタル田園都市国家推進構想を実現するパートナー企業として、ウフルの自社サービス群「CUBE 01(キューブゼロワン)」を活用しながら、各地の観光分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)や、安心で安全な地域生活を実現するための防災の取り組み等、地域住民の視点を大切にしたスマートシティ化を推進していきます。

■「elcompath(エルコンパス)」について

情報ポータルマップ「elcompath」は目的に応じて必要な情報だけを表示・投稿できるシンプルな仕様のため幅広い分野で受け入れられています。教育から防災まで分野を問わず活用できる汎用性が評価されており、今回のようなMaaS分野から、非常時のハザードマップや避難所情報を示す防災分野、地域のローカル情報や魅力を示す観光分野など、様々な分野で活用されています。

「elcompath」は、AWSのクラウドサービスであるウェブサービス、 Amazon Aurora MySQL PostgreSQL、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、Amazon Elastic Load Balancing、Apache Kafka、Amazon Kubernetesなどを利用しています。

自治体概要

紀伊半島の突端にある古式捕鯨発祥の地、くじらの町太地町は、平成18年に「過去・現在・未来くじらに関わり続けていく町」と宣言、くじらの学術研究都市=全町公園化を目指し、まちづくりを進めている。

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