DX/IoTの進め方 課題の明確化
今話題のDXの実現やそれに必要なIoTの活用に取り組むにあたり、正しく理解しておきたい知識や考え方をお伝えする、全4回のシリーズのうち、今回は第2回の記事となります。
特定の業種についての専門的な内容ではなく、基本的な知識、汎用的な考え方をできるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。これからDXやIoTに関わられる方々、また既にそれらに取り組まれている方々にとって、「納得感」や「気づき」を得る一助となれば幸いです。
前回の記事は、こちらからご覧いただけますので、是非ご一読ください。
課題の明確化
まずは対処すべき課題を明らかにし、その上で、対応策を検討する。
「当たり前のこと」と思われるかも知れませんが、本当に当たり前になっているでしょうか。もし、御社がDX/IoTに取り組もうとしている、あるいは取り組まれているのであれば、DX/IoTによって「対処すべき課題」について関係者は共通認識できているでしょうか。
多くの一般的なソリューションでは、それを導入することで解決が見込める課題は、言わずもがな明確化されています。例えば、「オンライン商談システム」が解決する課題は「コロナ対策で顧客を訪問しての商談ができない」や「遠隔地の顧客にタイムリーな提案ができない」といった具合です。
しかし、DX/IoTは概念ですから、それにより解決できる課題は無限にあります。だからこそ「DX/IoTによって、~という課題を解決する」ということを明確にしておくことが非常に重要です。
今回は、課題を明確にし、その対策を考える上で助けとなるフレームワークとその使用方法をご紹介します。
IoTの活用は、今まで繋がっていなかったモノ・コトをインターネットに繋げ、データを活用することで、これから起きることを予測したり、無駄なプロセスを効率化することができます。逆に、「これまで繋がっていなかったモノ・コトを繋げることにより、新たな価値を創造する」ということもできます。つまり、まだ繋がっていない「境目」には、新たな価値チャンスがあるということです。
そこで、次のような「境目」に着目するフレームワークを使い、これまで繋がっていなかったモノ・コトについて課題を列挙する方法をご紹介します。
フレームワークには次の手順で書き込んでいきます。
① 横軸に、検討対象の時系列、仕事のプロセス、場所の移動などフローを書き込む
② 縦軸に、登場人物や作業内容、システムやデータ、物理的なモノを書き込む
③ 縦横軸で分割されたそれぞれの領域の境目に着目し、そこで発生している課題を書き込む
④ 境目が繋がると(③で書いた課題が解決したら)、どんな価値や効果が生まれるかを検討する
①②で設定する縦横の軸は、業種やビジネス領域、規模などによって異なるため、適切な軸を設定するには試行錯誤が必要です。以下のお申込みボタンから入手いただけるサンプルで、イメージを掴んでいただき、自社にフィットする軸を検討してみてください。
③で書き込む課題は、複数の領域に掛かるように、境目の上に書き込みます。縦横方向に、より多くの領域に掛かるような課題を発見するよう意識しましょう。
④の価値や効果は、③の課題と対になるものが多く挙げられがちですが、複数の課題を包含する解決策についても検討してみましょう。
フレームワークを使えば、すぐに取り組むべき課題や最適な方向性が決まるというわけではありませんが、対象領域をフローと物理的な構成要素から俯瞰することで、DX/IoTが効果を発揮する範囲を客観的に見極めることができます。
一朝一夕で実現できないDXだからこそ、始めに課題とそこから生まれる価値を明確化し、共有化することで、ゴールへの道筋を立てることができます。
次回は、作成したフレームワークを元に、必要となるIoTデータについて検討することをご紹介したいと思います。
関連資料
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