DX-IoTの進め方 データの価値を最大化するプラットフォーム

今話題のDXの実現やそれに必要なIoTの活用に取り組むにあたり、正しく理解しておきたい知識や考え方をお伝えする、全4回のシリーズのうち、今回は第4回の記事となります。
特定の業種についての専門的な内容ではなく、基本的な知識、汎用的な考え方をできるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。これからDXやIoTに関わられる方々、また既にそれらに取り組まれている方々にとって、「納得感」や「気づき」を得る一助となれば幸いです。

最終回となる今回は、DXにおいて非常に重要な「プラットフォーム」と「エコシステム」についてご説明します。
全4回の記事のうち、既にリリースした第1回第2回第3回も是非ご一読ください。

データの価値を最大化するプラットフォーム

現在、インターネット上ではありとあらゆるサービスが提供されるようになりました。Amazonに代表されるECサイトは、消費者が商品を購入するだけではなく、事業者が商品を販売することができるマーケットプレイスもプラットフォームとして提供しています。このプラットフォームでは、受発注や返品、サポートに必要なシステム的な機能はもちろん、商品の在庫や配送といった物理的なサービスまでもが利用可能です。
また動画配信のプラットフォームとして有名なのは、言わずと知れたYouTubeです。Googleが運営するこのプラットフォームでは、誰もが動画を配信することができ、動画配信に関連する機能、例えば、ライブ配信や字幕の自動生成、自動翻訳など、高度な機能も無償で提供されています。

このように「プラットフォーム」という言葉は、利用者にサービスなどを提供する仕組みを指します。これらの例で、重要なポイントは、プラットフォーム上では、サービス提供者(事業者)も利用者であるというところです。つまり、Amazonでは、利用者が商品を売ることも買うこともでき、YouTubeでは利用者が動画を配信することも視聴することもできるということです。利用者に対して、プラットフォームそのものを提供する事業者はプラットフォーマーと呼ばれます。

では、なぜプラットフォームがDXにおいて重要なのでしょう。それは、プラットフォーム自身がデータを生み出すからです。一つの事例として、スマホからタクシーの配車手配ができるプラットフォームを考えてみましょう。このプラットフォームの利用者は先程の例と同様、車による移動サービスを提供するタクシー事業者と、それを利用する乗客の両方です。
タクシーが、いわゆる「流し」で乗客を獲得できるかどうかは、タクシー乗務員の経験が大きく影響し、経験の浅いドライバーはベテランの売上には到底適わないというのが業界の常識だったようです。しかし、この新たなプラットフォーマーは、このプラットフォームで発生するデータを分析し、利用客を獲得しやすいルートを乗務員に提案するサービスを提供しています。配車手配の利用者が増えるほど、データが蓄積され、その分析により、流しでの乗客獲得の予測精度が上がっていく。高い予測精度は、また新たな利用者を増やすことに繋がるという好循環を生み出します。
このように、プラットフォームも活用し、より早く、より多く、より正確にデータを収集し、分析することが成功の鍵であることは間違いありません。しかし、これを一社で実現するのはほぼ不可能です。そこで登場するのが、「エコシステム」です。

DXはエコシステムと共に実現する

エコシステムは、元々は「生態系」を表す科学用語で、自然界で一定のエリアに存在する物質や生物が、相互に作用しながらその環境や生命を維持している関係性を表します。同様に、様々な企業や組織、利用者といったステークホルダーと、それらが持つ技術やデータ、行動などが相互に協調することで、ビジネスが構築される様子をビジネスエコシステムや単に「エコシステム」と表現することが多いようです。
デジタル化が進む現在、一企業が単独で市場でビジネスを成功させ続けることは非常に難しくなっています。逆に、うまくエコシステムを構築したビジネスこそが成功していると言えるかもしれません。

先のタクシーの配車手配プラットフォームの例では、次のようなエコシステムが構築されています。

DXにおけるエコシステム構築の際は、次のポイントが参考になります。
データの収集・蓄積・分析・活用は、様々なステークホルダーとの協調により実現
様々なステークホルダーが提供するデータの組み合わせによる価値の昇華
ステークホルダーは業種の境目なく、あらゆる業界に存在している
プラットフォームによるエコシステムの集約と拡大

自らがプラットフォーマーであるケースはレアかも知れませんが、ビジネスをしている以上、既に何らかのエコシステムに加わっているはずです。しかし、そのエコシステムが特定の産業内に閉じたものであったり、データの活用が不十分であったりするなら、DXの実現には不向きかも知れません。今回の内容を参考に、他のエコシステムへの参入や新たなエコシステムの構築を検討されてみてはいかがでしょうか。

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