CO2可視化フレームワークとデータ連携のための技術仕様
CO2排出量算定についてのルールが定めた標準規格やガイドラインが複数存在しますが、日本企業が製品カーボンフットプリント(CFP)を算定をする際には、Green x Digital コンソーシアムが公開している『CO2可視化フレームワーク』および『データ連携のための技術仕様』を活用することが有用です。
これらの初版は、2023年8月に発行され、執筆時点では『CO2可視化フレームワーク Edition 2.0.1』および『データ連携のための技術仕様 Version 2.0』が公開されています。
最新版はGreen x Digital コンソーシアムのウェブサイトより入手できます。
どのようなフレームワークなのか?
脱炭素社会の実現に向けて、スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出)のみならず、スコープ3も合わせたサプライチェーン全体のCO2排出量を可視化することが重要です。この取り組みには、各企業が共通のルールに則って算定したデータを統一のフォーマットで共有する必要があります。
『CO2可視化フレームワーク』および『データ連携のための技術仕様』は、Green x Digital コンソーシアムの「見える化WG」にて作成されたもので、共通ルールの部分を定めたものが『CO2可視化フレームワーク』、統一フォーマットの部分を定めたものが『データ連携のための技術仕様』となっています。
■ CO2可視化フレームワークの概要
CO2可視化フレームワークは、CO2データ算定方法、CO2データの共有方法、CO2データの検証といった内容からなります。
CO2データは、自社プロセスに加えサプライチェーン最上流までの排出量が算定の対象範囲とされています。いわゆる、Cradle-to-Gate(ゆりかごからゲートまで)の排出量を意味しています。
このフレームワークには、CO2データ算定方法に関して、算定対象となるプロセスを特定し、活動量データと排出原単位を掛けて算定するという基礎的なことや、輸送や廃棄物処理/リサイクルからの排出量の算定ルールになどが記載されています。
CO2データの共有方法については、データを共有する際の共通の項目が示されています。CO2排出量やその単位だけでなく、企業名、製品名などといった基本情報や、データ品質の指標、クレジットや証書の使用量など、CO2データに係るあらゆるデータが開示すべき項目として定められています。CO2データの検証に関しては、活動量データと排出源単位についてどういったケースの場合に検証の対象となるかが定められています。検証内容として、データ収集とデータ品質は適切かの検証と、算定の方法論が適切かの検証について具体的に記載されています。
■ データ連携のための技術仕様の概要
データ連携のための技術仕様は、データフォーマットやデータ連携仕様といった内容です。
CO2可視化フレームワークにおいては、開示すべきデータ項目が定められていましたが、データ連携のための技術仕様には、そのデータ項目を実際にサプライチェーン間で共有するためのJSON形式の共通のデータフォーマットが規定されています。このデータフォーマットに則ることで、多岐にわたる要素が含まれるCO2データに関して、誰もが共通の解釈を持ちながらデータのやり取りができるようになります。
CO2データの連携はAPI連携で実現されますので、そのためのAPI仕様も定められています。
CO2算定ソリューションがこの技術仕様をサポートしていれば、異なるCO2算定ソリューションを利用している企業間でもデータ連携が可能となり、各社のデータが繋がることで、1次データによるCO2排出量の算定が実現されます。
既存の方法論との整合性
サプライチェーンはグローバルに広がっているため、その算定ルールがガラパゴス化した日本特有のものでは意味をなしません。しかしながら、LCA(Lifecycle assessment)やCFP(Carbon Footprint of Products)の算定に関連する規格やガイドラインが多数存在し、既に方法論が定められています。ISO 14040/44、ISO 14025、ISO 14067、GHGプロトコル プロダクトスタンダード(WRI, WBCSD)、Pathfinder Framework/Network(PACT)、カーボンフットプリント ガイドライン(経済産業省、環境省)といったものがあります。
CO2可視化フレームワーク/データ連携のための技術仕様は、国際的なフレームワーク/プラットフォームと整合したCO2データ算定方法の整備を目指して作られたもので、Pathfinder Framework/Networkに準拠しています。さらにはコンソーシアムの参加企業における議論を踏まえて、日本の事業者の実情も踏まえた方法論や項目が追加されており、Pathfinder Framework/Networkの拡張版という位置付けになっています。Pathfinder Frameworkでは、既存の方法論・スタンダードを優先順位に沿って適用しますが、Pathfinder Frameworkと齟齬をきたす部分については、同フレームワークの考え方を適用するというスタンスが取られており、CO2可視化フレームワークもこれにならっています。
Pathfinder Framework/Networkは、世界中のあらゆる企業のCO2データが、デジタルデータとして共有される際にのデファクトスタンダートとなる可能性が高いと見られており、日本企業にとっては、CO2可視化フレームワークに則って算定することが、1次データ連携を見据えつつ、算定を精緻化するために有用と考えられます。
脱炭素社会実現に向けたデータ連携を実現するウフルのソリューション
Pathfinder FrameworkやCO2可視化フレームワークに則って算定したCO2データは、Pathfinder Network(Technical Specifications for PCF Data Exchange)やデータ連携のための技術仕様で規定されている仕様に準拠することで、企業間で直接データの送受信をすることができます。そのためには、仕様に準拠したソリューションを利用することが適切です。
CUCONはPACT Conformant Solutions※のひとつです。
お使いのCO2算定ソリューションやExcelなどで算定したCO2データを、CUCONを利用することでPathfinderやデータ連携のための技術仕様のAPIに対応させ、企業間でのCO2の1次データ連携を実現できます。
※PACT Conformant Solutions
PACT(The Partnership for Carbon Transparency:炭素の透明性のためのパートナーシップ)は、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)が主催する団体です。正確で一次的かつ検証されたScope3 のための世界標準化されたCFP算定手法と技術インフラを確立することにより、サプライチェーンにおける真の透明性を通じて脱炭素化の扉を開くことを目指しています。PathfindeはPACTにより開発されています。
PACTでは、Pathfinderに準拠した通信が実現できるこが相互に確認されたソリューションを、PACT Conformant Solutionsとしてリストアップしています。
ウフルの脱炭素領域サービス
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