CO2可視化フレームワークとデータ連携のための技術仕様
Green x Digital コンソーシアムから『CO2可視化フレームワーク(Edition 1.0)』と『データ連携のための技術仕様(Version 1.0)』がそれぞれ公開されました。
どのようなフレームワークなのか?
脱炭素化を進める過程で、スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出)のみならず、スコープ3も合わせたサプライチェーン全体のCO2排出量を可視化が必要不可欠です。そして、サプライチェーン全体のCO2データの見える化を進めるためには、各企業が共通のルールに則って算定したデータを、統一のフォーマットで共有しなければなりません。しかしながら、その共通のルールやフォーマットが今まではありませんでした。
CO2可視化フレームワークは、Green x Digital コンソーシアムが目指すCO2可視化のあり方を提示したフレームワークであり、コンソーシアム内に設置された「見える化WG」の下部組織「ルール化検討サブWG」にて作成されたものです。
共通のルールの部分を定めたものがCO2可視化フレームワークで、統一のフォーマットの部分を定めたものがデータ連携のための技術仕様となっています。
■ CO2可視化フレームワークの概要
CO2可視化フレームワークは、CO2データ算定方法、CO2データの共有方法、CO2データの検証といった内容からなります。
CO2データは、自社プロセスに加えサプライチェーン最上流までの排出量が算定の対象範囲とされています。いわゆる、Cradle-to-Gate(ゆりかごからゲートまで)の排出量を意味しています。
このフレームワークには、CO2データ算定方法に関して、算定対象となるプロセスを特定し、活動量データと排出原単位を掛けて算定するという基礎的なことや、輸送や廃棄物処理/リサイクルからの排出量の算定ルールになどが記載されています。
CO2データの共有方法については、データを共有する際の共通の項目が示されています。CO2排出量やその単位だけでなく、企業名、製品名などといった基本情報や、データ品質の指標、クレジットや証書の使用量など、CO2データに係るあらゆるデータが開示すべき項目として定められています。CO2データの検証に関しては、活動量データと排出源単位についてどういったケースの場合に検証の対象となるかが定められています。検証内容として、データ収集とデータ品質は適切かの検証と、算定の方法論が適切かの検証について具体的に記載されています。
■ データ連携のための技術仕様の概要
データ連携のための技術仕様は、データフォーマットやデータ連携仕様といった内容です。
CO2可視化フレームワークにおいては、開示すべきデータ項目が定められていましたが、データ連携のための技術仕様には、そのデータ項目を実際にサプライチェーン間で共有するためのJSON形式の共通のデータフォーマットが規定されています。このデータフォーマットに則ることで、多岐にわたる要素が含まれるCO2データに関して、誰もが共通の解釈を持ちながらデータのやり取りができるようになります。
CO2データの連携はAPI連携で実現されますので、そのためのAPI仕様も定められています。
CO2算定ソリューションがこの技術仕様をサポートしていれば、異なるCO2算定ソリューションを利用している企業間でもデータ連携が可能となり、各社のデータが繋がることで、1次データによるCO2排出量の算定が実現されます。
既存の方法論との整合性
サプライチェーンはグローバルに広がっているため、その算定ルールがガラパゴス化した日本特有のものでは意味をなしません。しかしながら、LCA(Lifecycle assessment)やCFP(Carbon Footprint of Products)の算定に関連する規格やガイドラインが多数存在し、既に方法論が定められています。ISO 14040/44、ISO 14025、ISO 14067、GHGプロトコル プロダクトスタンダード(WRI, WBCSD)、Pathfinder Framework/Network(PACT)、カーボンフットプリント ガイドライン(経済産業省、環境省)といったものがあります。
CO2可視化フレームワーク/データ連携のための技術仕様は、国際的なフレームワーク/プラットフォームと整合したCO2データ算定方法の整備を目指して作られたもので、Pathfinder Framework/Networkに準拠しています。さらにはコンソーシアムの参加企業における議論を踏まえて、日本の事業者の実情も踏まえた方法論や項目が追加されており、Pathfinder Framework/Networkの拡張版という位置付けになっています。Pathfinder Frameworkでは、既存の方法論・スタンダードを優先順位に沿って適用しますが、Pathfinder Frameworkと齟齬をきたす部分については、同フレームワークの考え方を適用するというスタンスが取られており、CO2可視化フレームワークもこれにならっています。
Pathfinder Framework/Networkは、世界中のあらゆる企業のCO2データが、デジタルデータとして共有される際にのデファクトスタンダートとなる可能性が高いと見られており、日本企業にとっては、CO2可視化フレームワークに従って算定することが、算定を精緻化することと、近い将来のデータ共有を見据えることの両面から有用であると考えられます。
脱炭素社会実現に向けたデータ連携の重要性
温室効果ガス排出量を削減して、地球温暖化を食い止めるためには、いつ、どこで、だれが、どれだけの温室効果ガスを排出しているかを正確に把握しなければなりません。そのためには、正確な排出量のデータが適切に流通し、スムーズに連携されることが必要不可欠です。
データ流通ビジネスの加速と拡大をコンセプトに掲げるウフルは、脱炭素社会の実現に向けて、Pathfinder Framework/NetworkやCO2可視化フレームワーク/データ連携のための技術仕様に今後も注目していきます。
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