「スモールだからできる効率的なデータ取得」「IoTはリアルタイムのアクションがカギ」IoTパートナーコミュニティフォーラム 02
基調講演に続き、株式会社サトー 小玉昌央氏、そしてウイングアーク1st株式会社 大畠幸男氏の講演の模様をレポートします。
人・モノ・情報をつなぐ「最後の1cm®」
株式会社サトー 戦略提携担当部長 小玉昌央氏
サトーの役割
サトーは、洋服のタグやスーパーなどで商品に貼られているラベルなどの可変情報ラベル世界1位のメーカーであり、オンデマンドで可変情報を含めた印刷物・ラベルを手掛けています。
一枚のコードには様々な情報が入っていて、その情報を原材料の管理者、販売者、ユーザーなどさまざまな場所で多くの人が使っています。「一枚のタグやラベルから簡単に情報を入手し、例えば『食の安心・安全』の実現することがサトーのゴールであり、社会貢献に対するミッションです。」と言います。
スモールだからできる効率的なデータ取得
成功するIoTとは、データの「取得・通信・蓄積・分析・活用」のサイクルがうまく循環していることです。その中で、大きなデータより信頼できるスモールデータの取得を通じて、現場の正確な情報を吸い上げERP 、WMS(倉庫管理システム)、MES(製造実行システム)につなげることが重要です。
スモールデータの取得に際しては、RFIDなどを活用して非接触かつ大量なデータの効率的に読み取り、スモールだからこそ正確なデータ取得が可能であると小玉氏は説明します。そして、現場で役立つ様々なソリューションを事例とともに紹介しました。
物流ソリューション
株式会社MonotaROでは、倉庫内の軽作業支援ツール「経路案内ソリューション」を導入しています。「経路案内ソリューション」は、作業者の現在位置と対象商品の保管場所をリアルタイムに特定し、最短の移動経路を画面と音声で表示します。経験値に依存しない客観的な作業者誘導を実現しています。
そのほか、位置測位システムを利用した「危険予防検知ソリューション」、大車輪SaaS Globalアプリケーションによる「クラウド型国際物流見える化ソリューション」を提供しています。さらに「かご車管理ソリューション」は、かご車にICタグを取り付け、かご車一つひとつの出入りや所在場所の把握といった物流什器の見える化、紛失防止、載せている商品のトレーサビリティを実現しています。
ヘルスケアソリューション
名古屋大学病院との連携による「IoT院内ソリューション」は、看護師の人手不足や投薬・投与のヒヤリハットを防止し、患者さんへのケアの質向上に取り組んでいます。RFIDタグによる三点照合で患者さんの負担を軽減し、位置測位システムで看護師の移動経路、滞在時間を把握することで働き方の改善にもつなげます。バイタルモニタービーコンを使って患者の状態変化を迅速に把握し見守ります。
食品・リテールソリューション
食品・流通向けソリューションとしてクラウドを活用し温度計、計量器などの外部センサー、デバイスと連携して現場のリアルタイムデータを取得し、上位システムとデータ連携する「IoT搭載ラベルプリンタ」、科学的に得た情報を使ってメロンなどの食べごろ情報を、農家、販売者、購入者そして贈り先と共有ができる「coro-eye(コロアイ)ソリューション」を提供しています。
リテール分野では、販売店内のお客さま動線を可視化し売り場の改善につなげ、RFIDを利用したワインの在庫管理で棚卸しの大幅な効率化を実現しています。QRコードを利用したCtoCマーケット向けソリューション「ゆうプリタッチ」では利用者のプライバシーを保護します。
「サトーは、これらのアプリケーションをオープン化、標準化し、データビジネスと連携させながら、さらに大きな付加価値を生み出してビジネスにすることで、多くのお客様に喜んでもらいたいというのが我々の願いです。」と小玉氏は語りました。
続けて、「可変情報ラベルを作ることにかけては世界一だと自負しているが、1社でできることは限られています。我々と一緒に仕事をしてくれる仲間をもっと増やしていきたいです。」と講演を締めくくりました。
可視化だけではだめ。IoTはリアルタイムアクション
ウイングアーク1st株式会社 技術本部 プロダクト戦略室 副室長/エバンジェリスト 大畠幸男氏
IoTにおける可視化、特にリアルタイムのアクションというというところに焦点を当てて、事例を交えて説明がありました。
可視化することで得られること
障がい者支援農業「わくわくファ-ム」の農園では、20種類ものセンサーを設置して、農園の温度や水量などをリアルタイムに把握しています。「リアルタイムな情報」は、つまり「今を見る」こと、センサーを通じて得られた月の平均気温といったデータを「貯めて見る」ことで、履歴や変化を把握することができます。
「可視化」することは、次への出発点
「ポイントとなるのは、次にどう行動を起こすのかということです。『何をしたいのか』と『どう行動を起こすのか』の間には、テクノロジーがあって、すべてを自動化すれば人はいらないではないかとなるが、実際にはそうならない。」と大畠氏は語ります。
人の判断でつなぐ自動化という観点からすると、可視化することは次にどうアクションするかの出発点であり、IoTの活用はその次にどう行動を起こすのかを導き出します。
「IoT×BI×AI」AIにおける来場者予測
株式会社セカンドファクトリーが運営する「SkyDream Shonan Beach Lounge」という海の家で行った実証実験では、IoTを活用し、リアルタイムに販売数把握と仕入れ量の掛け算から、在庫の把握といった実証実験を行いました。実証実験とは言え、十分に商用化できると話します。
AIにおける予測は、天気・気温・場所(会場の屋根あり・なし)の誤差要因がありながらも、データをより多く集めることで、精度を高めることの重要性について述べました。
講演の最後に、ウイングアーク1st株式会社で2019年にリリースを予定されているソリューション「DEJIREN」を紹介しました。テクノロジーやデータだけではなく、「人」と「データ」をつなぐソリューション、どう行動を起こすのかを「人の判断でつなぐ自動化」するソリューションです。
データとテクノロジーの融合がエネルギー革命を起こす
「データは燃料であり、その燃料とテクノロジーが融合することによって、人の働き方に革命、エネルギー革命を起こすことができる。必要なのは、データとテクノロジー、そして「人」です。何をするかを決めるのは人であり、そこにテクノロジーを活用してビジネスをしていくのが、これからの時代です。」と大畠氏は講演を締めくくりました。
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