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ウェアラブル活用・オフィスIoT・災害対策ワーキンググループ IoTパートナーコミュニティフォーラム 06

2018年12月18日に「IoTパートナーコミュニティフォーラム2018」が開催され、ウェアラブル活用・オフィスIoT・災害対策ワーキンググループ(以下、WG)の発表をレポートします。

ウェアラブル活用ワーキンググループ
ウェアラブルを活用した、安全性向上・業務標準化に向けた取組み
株式会社Enhanlabo 座安剛史 氏

IoTとウェアラブルの関係性

はじめに、「データを収集して分析し、そのデータを活用するのが人間の場合、デジタルと人間のインターフェースは必ず『五感』になります。デジタルのデータを視覚や聴覚といった五感で人間が感じて行動することで活用の幅が広がっていきます。」と語りました。

株式会社Enhanlabo 座安剛史 氏

Enhanlaboでは、12月上旬にメガネ型ウェアラブル端末「b.g.(ビージー)」を2019年4月に納品を開始するとプレスリリースしたと説明し、機能を説明しました。

利用するウェアラブル端末

メガネの左右のディスプレイに写った映像をリアルに見ている実際の視野から僅かな視線の移動で見ることができ、デジタルの情報を簡単に確認することができるというものです。視覚を拡張するというコンセプトで、様々な業界で活用できるという期待を持ってIoTパートナーコミュニティに参画したと述べました。

エネルギー関連企業の「安全担保」と「属人化の解消」に向けた実証実験

今期の活動では、天然資源を運搬・納品する企業をテストベッドに実証実験を実施しました。タンクローリーで資源を運搬して、ガスタンクに入れるというガス納品業務について、テストベッドの企業より安全化を担保しながら、業務ノウハウの標準化をしたいという課題をヒアリングし、課題解決に向けた検証を開始しました。

まずは、遠隔サポートに着手し、技術サポートを目的に中央監視室から運転手と同一視点の映像を通じて、指示を実施できるような仕組みを実現。タンクにガスを納入していく際には、30分から1時間の時間がかかり、圧力値などを見ながら微調整が必要になると言います。そのオペレーションを遠隔サポートするために、作業員のヘルメットにスマートグラスを取り付け、作業者の映像を遠隔からでも見ることはでき、指示ができるような仕組みを構築しました。実際に複数回の検証を実施し、ブラッシュアップしていけば遠隔の作業で技術支援はできそうという感触はあったが、それだけだとスケールしないのでは、という課題も同時にあったと説明しました。

シーズン5活動報告

例えば、現状ガス充てん完了後、顧客の立会いの下チェックを実施し、作業完了のサインをもらっているが、今後法改正により検針後の立会いが不要になれば、顧客と作業員とで映像共有をすることで、顧客側の立会いを不要にする価値が生み出せるのではないかといった期待感があります。

今回の実証実験で分かった課題としては、タイムラグや現場の作業音が非常に大きいため、通話時の騒音対策や1対nやn対nでの複数拠点通信などが挙げられました。今後は、これらの課題を解消しつつ、大きなチャレンジとして、間違った操作をした際にアラームが出るような仕組みをIoT×AI WGや、ほかのWGと連携して進めていきたいと締めくくりました。

オフィスIoTワーキンググループ
M-SOLUTIONS株式会社 植草学 氏

WGの紹介

オフィスIoT WGが、メンバー20社33名の大規模で、毎月の活動は毎回違うオフィスで行っていること、毎回必ず懇親会を行い、コミュニケーションを重視していることを紹介しました。

M-SOLUTIONS株式会社 植草学 氏

海の家での実証実験

オフィスでもできるセンシングを海の家でやってみて、どこまで何ができるかということを明らかにするチャレンジとして、IoTパートナーコミュニティメンバーでもある、セカンドファクトリー社が運営する海の家「SkyDream」(江ノ島)で環境センシングのPoCを行いました。

海の家全体の環境センシング

海の家の屋内外に環境センサーを設置した様子が写真で紹介され、調理場やバーカウンター、入口付近やテラス席など、様々な場所の温湿度が測れる環境を構築したこと、また、固定型の環境センサーに加え、10名のスタッフに腕時計型のウェアラブルデバイス(ホシデン製MEDiTAG)を装着、生体情報や位置情報を取得したと言います。さらに、店舗のPOSデータを加えることで、様々な相関関係を分析できるようになりました。

可視化:ストレスX時間帯

分析結果

スタッフ毎のストレス度合を時間帯別に分析したところ、勤務時間が長くなる後半のストレスが高いという予想に対し、実際は、後半部分のストレスとは別に1日に2回ほどストレスが高くなる時間帯があることが分かりました。またMEDiTAGの情報の分析結果として、10分おきのスタッフの位置とその時のストレス状態が屋内見取り図にマッピングされている様子が動画で紹介されました。MEDiTAGにはバイタル、ストレス度合、転倒検知、行動認識の機能もあり、それぞれの情報を時系列に分析した結果からは、転倒検知が必ずしも転倒だけを検知するのではなく、腕をぶつけたりつまずいたりした場合にも、転倒として記録されているケースもありました。

注意すべきポイント

PoC実施時の注意ポイントとして、ゲートウェイデバイスの熱暴走によるデータの欠落、休憩中に海の家から離れたスタッフのウェアラブルデバイスが圏外になったことによるデータの欠落など、現場でしか得られない気づきが紹介されました。また環境センサーが想定通り動作しなかったケースとして、センサーが金属柱に接していたり、通気性の悪い箇所での温度の測定異常があったりしたと言います。実際にセンサーを設置した後の測定データを評価して、センサー位置を調整するなどの対応が必要と話しました。

協創により、ビジネスを作り上げる

最後に、11月21日にメンバー企業4社で開催した、オフィスIoTセミナーの様子を紹介し、「ワーキンググループの目的はテストベッドの構築ではなく、各社が協創してビジネスを作り上げます。協創を目的としたセミナーをシーズン中に1回は実施するようにしています。」と語りました。

災害対策ワーキンググループ
地域の危険箇所をみんなで共有するためのIoT&さらなる展開のために
三井共同建設コンサルタント株式会社 弘中真央 氏

業務受注に向けた3つの取り組み

まず、同WG方針として、実証実験をビジネスにつなげ、また実績を優先にし、案件を受注していくと説明しました。1年間の活動報告としては、業務受注へトライアルとして、3つの取り組みを紹介しました。

三井共同建設コンサルタント株式会社 弘中真央 氏

徳島県美波町での水位計ソリューション

フィールドである徳島県美波町は、港町であり、津波などの様々な水害が発生しており、それらの水害対策として、WGメンバーのSkeed社が過去に実証実験を実施した経緯もあると言います。同町の要望としては、役場でサービスを管理する人数も限られてきているため、より数人で対応できるようなサービスにしてほしいというものでした。

ソリューションは「各社サービスの寄せ集め」

実証実験では、データの精度より、まずはデータをとることを優先とし、各社がもっているサービスやソリューションを組み合わせ、水面までの距離を計測する非接触計を現場に設置しました。結果として、事務所のモニターや各自のスマートフォンで閲覧できるような仕組みを構築することができました。さらに、今年度の成果第1号として、Skeed社が徳島県の公募事業として受託しました。

実証実験のアウトプット

地すべり対策に向けた傾斜計ソリューション

国内某所で起こった地すべりによる対策検討の一環として、経過観察を実施する中で、災害対策WGでの実証実験としてもフィールド提供の許可が下りたことから、傾斜計を設置し、計測データを可視化できるような仕組みを構築しました。

広島サンドボックスへの挑戦

WGが継続活動するには案件受注が必須と考え、外部へのPRも含んだ広島サンドボックスへの公募にチャレンジしました。先の台風による水害被害対策に向けた内容で公募を実施するも、ビジネス性が見込みづらいといった点が課題となり、結果として受注には至らなかった。しかし、一緒に公募を実施した企業から、ほかの案件についても声がけをもらうなど、ネットワークが広がったなどのメリットもありました。

最後に、振り返りとして「今シーズンは、WGメンバーとの連携やサービスを組み合わせることにより、想定よりも多くのことができました。来シーズンは、間口を広げるためにも地域創生WGとして、地域の課題を解決するといった活動で再始動していきたいです。」と締めくくりました。

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