国産CTIからの移行、受架電数を1.6倍に向上、数億のコンタクトセンター売上改善効果へ期待
【Amazon Connect × Salesforce連携】
株式会社オールコネクト 執行役員 情報システム本部 本部長 前田 知也 氏(写真右)
情報システム本部 DX推進部 部長 乙部 美咲 氏(写真左)
国産CTIからAmazon Connectへの移行・Salesforceとの連携を行い、
顧客通話データの利活用を実現
WiMAXのWi-Fiルーターやフレッツ光コラボモデルなどを自社ブランドで販売運営しているオウンドサービス事業、クライアントの販売代理店としてWeb広告やマス広告の展開、Webサイト制作/運用、そしてコンタクトセンターを用いたお客様のお申込みサポートまでワンストップに担うライフイノベーション事業の2事業をメインに事業を展開している株式会社オールコネクト。10年に渡り利用していた国産CTIからアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下AWS)のAmazon Connectへの移行をウフルに依頼しました。
CTIの保守期限切れを契機に移行を検討
既存CTIが2020年1月に保守期限切れを迎えることを機に、CTI移行の検討を開始。まずは、これまで使用してきた国産CTIの課題を洗い出します。主な課題は、増席/拠点追加/拠点停止に時間がかかるといった機動力の低さやBCP観点から対災害性が十分といえないこと、また、分析集計に時間がかかっていることでした。
「新たなコンタクトセンターの拠点を作る際、これまでは2~3ヵ月の時間を要していました。初期投資額も高く、最低でも数百万円程度、1,000万円近くかかることもあったのです」と、前田氏は語ります。
レポート集計機能に関しては、機能と使いこなすノウハウ、2種の不足がありました。
「既存CTIもサーバーとして導入しており、繋ぐ社内アプリは自社開発していました。取り出す数字と解析、コンタクトセンターでの活用方法は社内に委ねられていましたが、どのデータをどう活用すればいいのかノウハウを有していなかったんです」(乙部氏)
他社の市販CTIには集計機能がセットされているものもありましたが、機能追加に割くリソースも社内になかったオールコネクト。結果、顧客情報や通話情報をデータとして上手く活用できていない状況でした。
今後の可能性とSalesforceとの連携の相性の良さから
Amazon Connect導入を決定
CTI選定は、コンタクトセンターの中期計画と連動した形で実施。業界や市場の変化が激しいため、中期計画が途中で変更される可能性を考えると、数億円の初期投資をかけた有名製品導入には躊躇があり、早い段階で候補から除外されました。
初期費用と合わせて機動性の高さを重視した結果、候補はクラウド型のものに絞られました。また、今後、5~10年間コンタクトセンター事業を続けていくことを考え、新しいテクノロジーやトレンドに対してアップデートされる将来性も重視。結果、候補に挙がったのがAmazon Connectでした。しかし、当初は一旦候補から外されたのだといいます。その理由は、Amazon Connectの国内事例とオールコネクトが今回必要とする規模とに大きな差があったためでした。
「検討当時、Amazon Connectの国内事例は40~50席。それに対し、当社の席数は800席だったため、不安視する意見があったんです」(前田氏)
しかし、オールコネクトが重視する点を踏まえて検討を重ねた結果、再びAmazon Connectが候補に上がります。AWSから得た今後のアップデートに関する情報や、オールコネクトに合うベンダー探しへのサポートの申し出が導入の後押しとなりました。決定打のひとつは、すでに社内の一部で導入していたSalesforceの存在です。Salesforceと連携して使うことを想定した際、他のCTIよりもAmazon Connectのほうが高い利便性を得られると判断しました。
SalesforceとAmazon Connectの連携の良さを感じた点について、前田氏は次のように説明します。「Amazon ConnectとSalesforceをつなぐアダプタがAWS社から提供されており、アダプタを用いることで一般的にCTIとして必要な機能が容易に実現できること。また、お客様からお電話を頂いた際にSalesforce内部のデータをリアルタイムに読み取ることができ、自動で最適なオペレーターに電話を繋ぐといったことが可能である点などから、Salesforceとの親和性や拡張性の高さを感じました。」
また、事業別に別のシステムが導入されている現状を統合し整理したいと希望していた点も、Amazon Connect導入決定の背景にありました。統合を実現するには、恐らくSalesforceとAmazon Connectの組み合わせしかないと考えられたのです。
Amazon Connect導入に向けて動き始めた後、AWSから紹介されたうちの一社がウフルでした。Amazon Connect導入実績があり、かつSalesforceに強い会社であったことに親和性を感じたと前田氏はいいます。
「4社を候補に挙げ、最終的に3社で比較検討しました。そのうちの1社には800席規模という点に難色を示されてしまいました。もう1社は、チーム体制的に少し不安が残ったことから、お断りするに至りました」(前田氏)
最終的に、ウフルとの契約に至ったオールコネクト。800席規模の移行、それも当初は2020年1月に移行を完了させるスケジュールだったこともあり、ウフル側も他社と同様「難しい」と判断。しかし、調整の末800席すべてを2020年1月に間に合わせるのではなく、スケジュールを分けて段階的に対応することで合意。2019年10月にプロジェクト開始となりました。
スモールスタートで段階的に導入開始
プロジェクトは、まず2020年1月28日に5席、次いで3月5日に25席を移行しました。
「2019年11月にSalesforceのみを利用し始めた部門があり、その部門が5席だったんです。まずは『組み合わせて動かすこと』を目標に動いていただきました」(乙部氏)
ウフルの印象に関して、前田氏は次のように語ります。
「当社の業務はもちろん、社の文化も含めて知ろうとする姿勢を強く感じました。当社の担当者は『うちから開発に必要な範囲内だけ情報をだすので大丈夫です』といったスタンスだったのですが、何度も『きちんと理解しないと正しいご提案ができないので』と食い下がっていただいて。単に言われたことだけを行うのではなく、システム導入を成功させる意思があり、そこに経験と強さを感じました。大丈夫だろうという安心感にも繋がりましたね」
また、別会社では不安を感じたチーム体制についても、前田氏は「リーダーや窓口担当だけが大きいことを言ったり頑張っていたりするわけではなく、開発担当の方も非常に優秀で同等かそれ以上に頑張っており、また、担当チームの方たちのやり取りから社員同士がリスペクトしあう関係性が伝わってきました。不安は感じませんでしたね」と語ります。
2020年1月末には、ウフル担当者が同席の上、第1弾をリリース。現場への状況共有不足といったトラブルもありながら、設定ミスやバグはなく、無事に利用開始に至りました。
第2弾となった3月リリース時には、現場となる福井にウフル担当者が出向き、立ち合いの元リリース。リリース後、社内ネットワーク担当分野が行っていたネットワーク構成の切り替えトラブルについても対応しました。
「通話品質安定のため、当社ではパソコン用と通話用とでインターネット回線を分けています。その切り替え許可を通すのが上手くいかず、リリース後に電話が何回かに1回繋がらないトラブルが発生したんです。社でも急いで調べたのですが、立ち会っていただいたウフルの担当者さんにも見ていただけました」(乙部氏)
2度の移行後は、移行作業と合わせて課題解決にも着手。今後の移行作業を見越し、2020年5月からはSalesforce上にマスタ管理を実装しました。これにより業務ごとの営業時間情報/フロー/オペレーターまでをSalesforce側から管理できるようになりました。
連携による新たな機能追加で対応率が向上
Amazon ConnectとSalesforceの連携を前提に開発し、現場から特に喜ばれたのは複数人による自動発信機能「マルチコール」です。これまでは、社外のオートコールシステムを利用していました。しかし、SVが架電対象リストを作成する工程が必要であり、スピード最優先で現場オペレーター一人一人が自律稼働するチームにおいては利用できませんでした。SVが架電対象リストを作成している間に現場オペレーターが次々架電してしまうわけです。しかし、マルチコール機能は、条件さえ整えば全社で利用可能。Salesforceの顧客情報一覧画面で架電対象者にチェックを付けるだけで一斉に架電でき、待機中のオペレーターに割り振れます。テスト実施の結果、マルチコールを利用した期間は受架電数が1.6倍、有効なコンタクトも1.1倍という数字が出ました。
「コンタクトセンター部門長が特に喜んでおり、10億円くらいの売上改善効果を出せるのではないかとも言われました。ただ、同時発信数にはリミットがありますし、制限を外していただいたところで、肝心のオペレーターが不足してしまうと本末転倒なため、AWSさんやウフルさんと相談しながら件数を調整していただいているところです」(前田氏)
移行前の課題だった機動力も向上。2~3ヵ月要していた新コンタクトセンター開設が、短期間で実現できるようになりました。シンクライアント、AWSの仮想デスクトップサービスのAmazon Workspaces、Amazon Connectを組み合わせることで、セキュリティに問題のない状態で業務を開始できます。これを受け、在宅コンタクトセンターも開始。在宅オペレーターの自宅にシンクライアント端末を送るだけと、開始に煩雑な手順を踏む必要もありません。また、Amazon Connectを含むAWSサービスは使用分のみ課金されるため、労働時間の長短を問わず柔軟に対応できる点も利点だといいます。
「コロナ禍の前ですが、在宅オペレーターを2名募集したところ、100名の応募があり、ニーズの高さを再認識しました。新型コロナウイルスが流行し、在宅化ニーズが増したこともあり、よいタイミングだったと感じています」(前田氏)
一方、現場からは改善要望の声も寄せられました。主な内容はオペレーションにおける動きの部分、特に画面遷移など制御に関するものだったといいます。要望への対応について、乙部氏は次のように説明します。
「開発やテストを行う側にはわからない、現場の人間ならではの使い勝手の良さ、これまでの慣れが要望や疑問として寄せられました。ウフルさんに相談し、現場の業務フローが最適になるように話し合いを重ねてカスタマイズしています。ただ、仕様上どうしようもないことも。そうした場合でも、ウフルさんからは次善策を複数ご提示いただけています」
2020年10月時点で、移行作業は日々継続して行われていますが、今後はボリュームの多い移行が控えています。移行作業はAmazon ConnectやSalesforceのアップデートなど、都度、臨機応変に順番を変えながら進行中。最終完了目標は2021年2月です。
移行完了後が社のDX(デジタルトランスフォーメーション)本番
これまで、事業ごとにシステムが分かれており、十分なIT活用に至っていなかったオールコネクト。前田氏は、「会社として、今後競争力を維持するにはITが重要。しかし、当社はDXに至っておらず、本移行はその基盤を作ることでした」といいます。
2021年2月の移行完了後は、SalesforceとAmazon Connectの連携により見えてきたデータの利活用に着手したいと語る前田氏、乙部氏。DX推進部に所属する乙部氏は、「移行完了後が、部としての本番」と意気込みます。
「実現させたいことがたくさんあり、現時点でもウフルさん側には理想のゴールを山ほど共有させていただいているんです。私では、今実現可能な段階の判断が難しいため、すべてをお伝えすることでウフルさん側にご判断、ご対応いただいています。移行完了後にやりたいことに対して、ウフルさんにも一緒にわくわくしていただけているのが嬉しいですね」(乙部氏)
前田氏は、「ここからが特に複雑なことをやっていく段階のため、引き続きスピード感を持って一緒にやっていっていただければ」といいます。
販路がWebに限られている販売代理店は珍しく、そのなかで前期60万件の取り付けと実績を上げているオールコネクト。今後も、Webのみで売り上げを上げる形を模索し、新しいWeb接客の形を探りつづけます。
会社概要
株式会社 ALL CONNECT(オールコネクト)
福井県福井市栂野町第15号1番地2
通信回線の販売代理店事業を目的として2005年4月設立し、現在は『スマホEC事業』『オウンドサービス事業』『ライフイノベーション事業』の3つの事業を展開。
商品・サービスを提供し、コンタクトセンター運用、Web広告運用、Webサイト制作、システム構築といった独自のサービスにWebに特化したディーラーとして培ってきた生のノウハウを乗せ、ハイスピードなWebというフィールドで、お客様に価値を提供している。
事業内容:スマホEC事業、オウンドサービス事業、ライフイノベーション事業
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