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届けたい人に確実に届ける情報発信、コミュニケーション活性化を可能に【Slack Enterprise Grid 導入】


産業技術本部 主幹 辻󠄀口 真琴 氏(写真左)
産業技術本部 森 紫苑 氏(写真中央)
産業技術本部 田悟 瑞歩 氏(写真右)


「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して」という提言を公表している日本経済団体連合会(以下、経団連)。スタートアップ振興の一環として、ピッチイベントなどを開催しスタートアップと大企業を繋ぐ場を設けていますが、情報発信方法に課題を感じていました。その課題を解決すべく、Slackを導入。導入支援と保守運用をウフルに依頼しました。

■ 300社超のリストからメール作成をする手間、情報発信の抜け漏れをなくすため、解決策を模索

日本の代表的な企業約1,500社に加え、主要な業種別・地方別団体約150団体などから構成される経団連は、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上への寄与をその使命とされ、経済界が直面する様々な課題に取り組んでいます。その活動の裏側を支えるのが経団連事務局であり、産業技術本部では、主にスタートアップや宇宙、デジタル、バイオなどを担当領域としてイノベーション創出に向けた政策提言等を行っています。とりわけスタートアップチームでは、上記「躍進ビジョン」が掲げた、日本のスタートアップの数と成功のレベルをともに10倍にするという目標、いわゆる「10X10X」の実現に向けて、(1)起業促進やビジネス環境改善等のための政策提言、(2)大企業の行動変容、(3)スタートアップと大企業の連携促進という3本柱で取り組みを行っています。

その取り組みの1つに、2019年から行われているピッチイベント(Keidanren Innovation Crossing 以下KIX)があります。現在までのイベント登壇社数は累計約300社。定期的に開催しており、登壇社数は増加する一方です。これまでは、登壇したスタートアップのデータをExcelで管理し、役立つ情報やイベント、企業間での繋がりを促進する施策の案内などを継続的に行ってきました。しかし、このやり方には大きく3つの問題があったといいます。

3つの問題

  1. Excelでのリスト管理・運用の煩雑さ
  2. 一方通行のメールでの運用で、届けたい人に届いていない可能性
  3. 大企業とスタートアップ企業の繋がりが一過性になる傾向

「Excelから該当する会社の連絡先をメールに転記して送信するという作業を2人で行っていたのですが、これが本当に手間で。異動や転職、社名変更によるアドレス変更などにより、せっかく送ったメールが宛先不明で戻ってきてしまうことも多々ありました。
また、発信した情報が届けたい人に届けられていないという課題もありました。企業によっては、スタートアップ担当部署が経団連の連絡窓口とは別の方であったり、グループ内のスタートアップ・イノベーション専門会社の方が担当されているケースがあるためです。
あとは一過性になってしまっていたコミュニティ内のコミュニケーションの発展にも取り組みたいと考え、何かプラットフォームを用意したいと思っていました」(森さん)

■ 求める機能を備えたSlackの導入を決定

検討を開始したのは、2023年の夏頃。交わされた情報が履歴として残ること、外部ユーザーを招待して双方向のコミュニケーションができること、経団連事務局から一斉送信できることが求める機能だったといいます。複数社から提案を受けたなか、Salesforce社から提案されたのがSlackでした。

「要望をお伝えしたところ、Enterprise Grid Planをご提案いただきました。他社のサービスと比べ、機能面、予算面共にニーズに合致していたことに加え、12月に予定しているイベントで導入の発表をしたかった関係もあり、早期に実装可能なことも決定打の1つになりました」(森さん)

Slackの導入を決めた段階で、Salesforce社からウフルを紹介してもらいました。

「何かトラブルがあった際、自分たちだけでは対応ができないため、保守運用できるベンダーへの依頼が必須でした。また、Salesforce社の担当者曰く、導入から保守運用までサポートできる企業は数少ないとのことで、迷うことなく、ウフルとの契約を決めました」(森さん)

■ Slack初期導入・IdP構築・運用方針策定を含め1ヶ月。イベントでの正式告知で一気に利用者増加

秋に契約を済ませ、開発期間は約1か月。12月下旬に開催予定のイベントでSlackの運用開始を告知すべく、11月末には初期導入を完了させ関係者によるテスト利用を実施し、運用上の課題や感想を確認したうえで改善、その後本格運用開始という計画を立てていました。迅速な初期導入が必要となるなか、ウフルの対応について、森さんは「とにかく対応の速さがありがたかった」と振り返ります。

「最初に設定を決める際には、Grid Planが推奨する設定をまず教えてもらい、それに沿う形で設定したうえで疑問があれば逐一質問していました。『Slackに入ってくれた会員が全チャンネルに自動に加えられるようにしたい』というこちらの要望にも応えていただきました。あとは初期導入期間中の最後の最後にコネクトチャンネルの上限数を超えてしまったらどうしようという不安が生じた際も、ウフルに相談して運用の工夫で払拭できました。タイムリーにやり取りしていただけて本当に助かりました」(森さん)

また、今回は既存のIdP*を利用せず、新たにSalesforceのIdPを採用、Slackとセットでの導入となりました。

「当初はすでに事務局で利用しているIdPを利用するつもりでした。その後、セキュリティの観点から、切り離したほうがいいのではないかという話が出ましたが、調べてみたところ想定していた懸念は問題ないとわかりました」(辻󠄀口さん)
 
 

しかし一方で、

「SlackとIdPはセットなので、保守運用も同じベンダーに依頼するほうが良いというシステム担当者からのアドバイスもあり、まるごと一緒にウフルさんにお願いしようとの判断に至りました。」(森さん)

運用面で森さんが悩んだのは、チャンネルの名前でした。使い勝手をよくするための方法をネットで調べ、数字+チャンネル名の現在の形に収束。ネット上には多くの情報があり、メジャーなサービスであるがゆえに助かったといいます。

「経団連からの案内だからという理由で読んでくれていた方もいらっしゃると思うので、情報の質はこれまで通り担保できるよう、kdrが頭に付くチャンネルは事務局だけが投稿できるものとしました。そのほか、40番台はお役立ち情報系というように内容に応じて分けました」(森さん)

経団連 Slack運用の画面イメージ

Salesforce社からの「最初は紹介制がいい」というアドバイスを受け、まずは登録フォームで氏名、所属、連絡先、紹介者などの情報を送ってもらい、その後にSlack加入のURLが自動返信される仕組みを用意。参加者の情報を把握できるように工夫しています。

12月のイベントでのSlack開始発表時、登録フォームのQRコードをスクリーンに映し出したところ、その場だけで登録会員数が100人ほどに増加。現在は約400人に達しています。

「セキュリティ等の関係で『入れない』という問い合わせがくると想定していたのですが、皆さんスムーズに入っていただけているようです。Slackに慣れていらっしゃる方が多い印象があります。」(森さん)

■ 会員同士のコラボレーションの活性化が今後の課題

導入前に抱えていた3つの課題のうち、2つはすでに叶えられていると森さん。イベント告知や他部門からの情報の共有など、これまでに届けたい人に充分に届いていなかった情報も、着実に届けられるようになっているといいます。

「Slackのおかげで企業のスタートアップ担当の方に情報を直接お届けできるようになりました。これからも発信を続けていきます。また、これまで他部署や外部の方から周知依頼をいただいても、経団連が周知できる対象に該当しないことがありました。Slackではチャンネルや内容に応じて投稿できるので、今まではご案内できなかった情報も伝聞形式で気軽にポストでき、参加者からの反応ももらえるという良い変化も起きています」(森さん)

また、企業内で数珠つなぎに紹介、参加されているケースもみられ、届くべき人に参加してもらいやすくなっているといいます。

「Excelから宛先をピックアップする作業が不要になったため、効率が大きく上がりました。
参加者側に表示されている画面を確認できるので、誤送信の不安も減りました」(田悟さん)
 
 

今後の課題は、3つ目の課題である会員同士の連携促進だといいます。

「自己紹介へのリアクションは盛り上がるのですが、一般の投稿はハードルが高い印象があります。今は気軽にリアクションしやすいよう事務局の私たちが真っ先にスタンプを押すという地道な工夫をしていますが、相互交流を生むための仕掛けも今後行っていきたいです。また、経団連が実施している『スタートアップフレンドリースコアリング』の採点結果レポートを企業ごとのクローズドチャンネルで共有することで、社内の横連携のお役に立てないかと考えています。私たちの目標はこのコミュニティの活性化だけでなく、その先の10X10Xの実現です。それに向けてこれからも試行錯誤していきます」(森さん)

※IdP:Identify Providerの略称、クラウドサービスなどにアクセスするユーザーの認証情報を保存・管理するサービス。シングルサインオンを実現するために利用

■ 利用したSalesforceサービス

Slack Enterprise Grid Plan 大規模な組織やエンタープライズ向けに設計されたSlackのプラン。シングルサインオン(SSO)が必須。
Lightning Platform アプリケーション開発および統合プラットフォーム。今回はSSOの認証基盤用にだけ利用。

会社概要

日本の代表的な企業1,512社、主要な業種別全国団体107団体、地方別経済団体47団体などから構成される経済団体(企業・団体数:2023年4月1日現在)。経済界が直面する内外の広範な重要課題について経済界の意見を取りまとめ、着実かつ迅速な実現を働きかけるとともに、政治・行政・労働組合・市民等を含む幅広いステークホルダーとの対話も行っている。会員企業に対し「企業行動憲章」の遵守を働きかけ、企業への信頼の確立に努めているほか、各国の政府・経済団体ならびに国際機関との対話を通じて、国際的な問題の解決と諸外国との経済関係の緊密化を図っている。

【事業内容】 政策提言・民間経済外交の推進 等

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