IP電話からの切替えで放棄呼がほぼゼロへ、
日々データ確認を可能にし改善活動の質が向上
【Amazon Connect × Salesforce連携】
日本事務器株式会社 技術本部アカウントサポート技術部コンタクトセンター プラットフォーム対応グループ マネージャ 森竹克明氏(写真左)
技術本部アカウントサポート技術部 部長 中川靖文氏(写真右)
1924年に創業し、現在はICTソリューションの販売・提供を主に手掛けている日本事務器株式会社(以下NJC)。オリンピック開催に伴う交通機関の制限や災害時など、出社が難しくなった際にもコンタクトセンターの受付品質を落とさずに継続運営が出来るように、コンタクトセンター機能をクラウド化して在宅勤務を可能とする方法を検討していました。
Amazon Connectの導入とSalesforceの連携により、BCPへの対応だけでなくコンタクトセンター業務の改善も実現し、日々取得できるデータをもとに更なる品質改善へ取り組んでいます。
コンタクトセンターの在宅対応を2年前から検討していた
NJCでは、プラットフォーム関連の障害時の受付窓口として、チャット・ウェブ・電話と様々なお問い合わせに対応できるよう窓口を設けており、それらを一元管理するコンタクトセンターの運営を行っています。
これまで電話対応には、IP電話を使用していました。また、2020年に開催が予定されていた東京オリンピックや自然災害等、交通機関に影響が生じて出社が難しくなることを考え、電話対応も在宅勤務にできないかという構想を2年ほど前から考えられていました。検討を進めていた中、新型コロナウイルス対策や緊急事態宣言への対応を受け、具体的に在宅電話受付への移行計画が進められました。
「以前から業務を在宅勤務メインに切り替えていけないか考えていたところ、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生。メンバーからも在宅勤務に対するニーズがさらに高まりました」(森竹氏)
そこで、導入ツールの候補として上ったのが、今回導入したAmazon Connectです。セミナーでこのサービスを知り、新たな切り口としての可能性を感じたといいます。また、CRMにSalesforceを導入していたこともAmazon Connectが候補に上った理由の一つでした。
「総合的なシステムであれば、各ベンダーさんが出されているものがあります。ただ、今回必要としていたのは、総合的な入れ替えではなく、あくまでも電話部分だけ。Amazon Connectであれば、Salesforceと連携させることもできるので、運用の幅が広がると思いました」(森竹氏)
対応可否・代替案等、細かな説明・提案からウフルへの依頼を決断
Amazon Connectの導入に際し、まず実績があるベンダーを探すため、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下AWS)の営業を通して紹介を依頼。その中にウフルの名前がありました。
「弊社ではAWSサービスを利用して提供しているサービスがあることもあり、以前からSalesforceやAWSのセミナーに参加して情報収集をしていました。その中でウフルさんが開催されていた2019年9月のセミナーにも参加しており、Amazon Connectの存在自体は把握していたんです。ただ、検討段階ではそれがウフルさんのセミナーだったことをすっかり忘れていました」(中川氏)
「最終的に、2社で検討しました。IP電話の入れ替えをしたいと伝え、現在の運用方法を説明。移行するにはどういった形が望ましいのか、双方にお聞きしました。当時は2020年4~5月頃。緊急事態宣言下ということもあり、オンラインツールを使ってのやり取りでしたね。最終的にウフルさんにお願いしようと思ったのは、提案力が決め手でした。IP電話から移行する中で、当然できないことも生じます。例えば、電話番号がこれまでと変わってしまうといったことなどですね。それらに対し、ウフルさんからは丁寧に説明していただき、代替案の提案や作り込みが必要なところなど、細かな話まで共有していただけました。また、導入事例も開示できる範囲でお話していただけたので、導入後のイメージがしやすかったですね。参考になりました」(森竹氏)
「弊社のコンタクトセンターは、プラットフォーム関連の障害受付とお客様ごとに異なる内容(ハード・ソフト・運用)を一括受付する運用を行っております。プラットフォーム関連の受付では、主にハードウェア障害の受付が多く、障害の切り分け特定を行います。その後、エンジニアの手配、メンバー間の連絡、委託会社との連絡やお客様への訪問連絡など、電話でのやり取りが多いといった特性があります。それらの状況を把握した上で、いろいろとご提案していただけたのが大きかったですね」
(中川氏)
まずは2席のコンタクトセンターからスモールに着手
Amazon Connect導入に向けて7月末からプロジェクトを開始。NJCとウフルとでウェブ会議中心でやり取りを行い、段階的に進めていきました。
「大小、2つのコンタクトセンターがあり、まずは2席だけの小規模なコンタクトセンターから進めていきました。名刺も交換できないままプロジェクトを進めるのが初めてで、コミュニケーションの難しさを感じることもありましたが、メール、ウェブ会議やBacklogを使い、都度進捗を確認しながら進行しました。月に1回の定例会も含め、随時コミュニケーションを取りながら導入を進めていただきました。開発と並行して、電話番号の変更案内を進めていくのが大変でしたね」(森竹氏)
第1弾のコンタクトセンターの切り替えは、大きな混乱なく導入完了。第1弾の進行を参考に、第2弾もスムーズに進められたといいます。ただし、第2弾の切り替え当初は、音声品質がAWS上で悪化するといったトラブルが発生しました。ウフルの他の導入企業の状況を参考に早々に切り分けができたといいます。
「障害発生時、情報がない中で、当初は弊社だけの問題なのではと不安もあったのですが、国内外問わず、他でも同様の事象が起きているとウフルさんから共有を受け、少し安心できましたね。2ヵ月ほどかけて改善していきました。ウフルさんに代替案をいただき、対応していただいています。スタッフからは音質が悪化したことに不満の声も上がりましたが、無事に整えられて良かったです」(森竹氏)
本格始動、日次でデータを確認し改善対応、放棄呼も限りなくゼロに
音声品質対応を終えた年明けから、本格的に運用をスタート。これまで、1通話当たりの時間や放棄呼の数といったデータは、関連子会社から月1ペースでしか確認できなかったのですが、Salesforce連携でレポートを日次で出せるようになり、対応策をすぐに検討することができるようになったと森竹氏は語ります。
「ダッシュボードは昼と夕方の1日2回更新し、各数字を最新で見られるようにしています。迅速に改善できるようになりましたね。また、これまではスタッフが電話に出られなかった場合、放棄呼になっていました。Amazon Connectの導入後は、仮に電話に出られなかった場合にも20秒経過後に次のスタッフに回るようになり、最大1分、3人に電話が回ります。これにより、放棄呼が限りなくゼロに近づきました。電話の受電率は90%以上、日によっては100%を達成しています」(森竹氏)
対応状況をメンバーで共有、在宅でも作業量の把握やコミュニケーションに効果
Salesforce上で、インシデントと録音が結びつく形にしたことにより、目的の録音データを探す時間の短縮にも繋がりました。以前は1フォルダにまとめて保存されていたために、かなりの時間がかかっていました。日次データをレポート化することができるようになったことで、着信時間や受付件数、対応に要した時間や放棄呼などを、メンバーも確認できるようになったことも、「大きな成果」だと森竹氏は言います。重要なデータはSalesforce上で連携し、レポートを作って見ることが出来ます。また、在宅勤務であっても、各自のデータが確認できることで、マネジメント側がメンバーの仕事状況を確認することも可能であるため、評価材料としても活用できているといいます。
「在宅勤務で懸念していたメンバー間の意思疎通も、対応状況が可視化されていることで、チャットを活用したり休憩をとるタイミングを作ったりと、上手くできているように感じています。また、セキュリティ面の考慮は必要ですが、インターネットに接続していれば理論上はどこにいても電話受付が可能となりました。働き方に柔軟性をもたせる変化だと思いますね。導入前は在宅勤務に対しての不安もありましたが、今は月に一度も出社せずに業務をこなしているメンバーもいます。メンバーからは特に不満も上がっておらず、おおむね満足してもらえているのかなと感じています」(森竹氏)
IVR導入で顧客満足につながる選択肢が増えた
以前はIVRを導入しておらず、Amazon Connectに変えたことで着信時のフローの多様化を実現できました。
「これまでは長期休業期間に自分たちでアナウンスを流せていなかったのですが、ウフルさんに一部作り込んでいただき、年末年始やGWの案内を流せるようになりました。Amazon Connectでは、テキストベースで文言を変更できるので、今後は自分たちでも自由に変更することが可能になりました。メンテナンスを自分たちでできるのは大きなメリットですね。また、IVRを必要箇所にコンタクトフローに配置し、お客様に選択いただくことで必要部署に転送するなど、これまで対応できていなかった折り返しの連絡対応もできるようになりました。これは顧客満足度向上にも繋がっているのではないかと思っていますね。今後、アンケート調査を行い、数値的な変化も見ていきたいです」(森竹氏)
拡張機能・事例等、今後も情報提供に期待
導入後は軽微な修正を加えながらも、現時点で大きな追加開発は行っていません。今後に関して、森竹氏は「まだウフルさんにお願いしている部分もありますが、ゆくゆくは自分たちで運用含めてできるようになりたいと思っています」と語ります。
「多くの事例を手掛けていらっしゃることを強みに、情報共有の面でもウフルさんには期待をしています。Amazon Connectは、今後も随時機能が追加されていくでしょう。定例会の際には、ぜひそういった情報も伺って、必要であれば導入を検討したいですね。また、Salesforce上で運用しているノンボイスの受付に関して、今はチャット用の受付者がいるのですが、Amazon Connectのチャット機能を使うことでまとめられるのではないかとも考えています。今後、検討していきたいことですね」(森竹氏)
会社概要
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