IoTへの取り組みが必要とされる背景

産業のデジタル化(デジタライゼーション)

IoT(Internet of Things:身の回りのモノやコトがインターネットにつながること、または仕組み)を語るよりも前に、まずはその背景となっている巨大なうねりとして、「デジタライゼーション」と呼ばれる、産業全体・ビジネスモデル全体のデジタル化について理解を深めておく必要があります。

ここで言うデジタル化とは、これまでインターネットが流行し始めてからの様な実装実現手段としてのデジタル化や、商取引手段としてのIT活用およびデジタル化ではありません。これは、ITをビジネスにフル活用し、ビジネスモデル全体をデジタル化してしまうアプローチで、従来にはあり得なかったような方法でビジネスを実現しスピーディに展開することを意味します。

デジタル化に取り組まない企業は消え去る

シスコシステムズで20年以上CEOを務め、近年会長を退いたジョン・チェンバース(John Chambers)は2015年に以下のように言及しています。「すべての企業、政府がビジネスそのものの『デジタル化』を迫られている一方で、多くの企業がそれを実行できないか、デジタル化に失敗することになるでしょう。また、10年後には(デジタル化に失敗して)今の大企業の40%が姿を消すでしょう。」と。

それほどまでに「デジタライゼーション(デジタル化)」とは、すべての企業や政府にとって強烈なインパクトのある取り組みであり、本腰を入れて取り組まなければたった10年で消え去る企業が続出するという読みです。そして、彼らのポジションは「フルデジタル」のビジネスモデルを謳歌する新興企業に取って代わられるといっています。具体的にはどのような企業があるのでしょう。

勝ち組と言われる企業の特徴

実際に近年デジタル化時代の勝ち組と言われる企業を俯瞰してみると、ECの巨大企業に成長したAmazon、個人でも広告出稿を可能としたFacebook、世界中のタクシー会社を脅威に陥れたUber、空き部屋や空き家を活用し旅行者を受け入れる「民泊」として需要を掘り起こし、瞬く間の定着を実現したAirbnbなどが挙げられます。

日本企業に注目してみれば、スマートフォンを利用して個人間の中古品売買を実現し、華々しい上場を飾ったメルカリもあります。これら企業の特徴は、自らは当該ビジネス領域の物理的な資産を持たずに、すべてをデジタル空間上だけで実装・実現し、その領域の既存事業者を脅かす存在に成長しているという点です。

需要をリアルタイムに把握することのインパクト

また、これらの「フルデジタル」勝ち組企業のビジネスモデルを紐解いていくと、ある共通点に行き着きます。彼らはIT技術をフルに活用することによって、ほしいモノをほしいときに小さなロットで低価格で多種多様にラインナップして…と、およそ大量生産時代の事業者には対応できないニーズをリアルタイムで把握しています。そして、供給側とマッチングさせるしくみをプラットフォームとして持つのです。製造業で言えば、稼働状況をITとOT(Operational Technology)によってリアルタイムに把握します。

OT領域は、人も作業に絡むため、稼働状況を正確かつリアルタイムに把握することが困難でしたが、IoTなどによって稼働状況をネットワークで収集・管理することが容易になったばかりか、それら需要側のニーズと供給側の提供タイミングをクラウド上でマッチングすることで、これまで機会損失としてしか存在し得なかった潜在市場を丸ごと稼ぐ市場を作ったのです。

ここでは、ダイナミックプライシングによって需給バランスに合ったリアルタイム市場価格が醸成されており、これは適正市場価格の成り立つビジネスモデルということができます。そしてそこに、既存の市場が飲み込まれていきつつあります。

今後はこうしたビジネスモデルが、デジタル時代のデファクトになる事が予想されます。


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