DXとIoTについて理解する

この記事では、今話題のDXの実現やそれに必要なIoTの活用に取り組むにあたり、正しく理解しておきたい知識や考え方を、4回にわたってお伝えします。
特定の業種についての専門的な内容ではなく、基本的な知識、汎用的な考え方をできるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。これからDXやIoTに関わられる方々、また既にそれらに取り組まれている方々にとって、「納得感」や「気づき」を得る一助となれば幸いです。

DXとIoTについて理解する

最近はIoTよりもDXというキーワードを聞く機会が多くなったと感じます。あらゆる分野でDXが注目され、多くの企業がDXに取り組んでいます。では、DXとはどういうことでしょうか。今回は、漠然としたイメージで多用されている「DX」について、IoTとの違いも含めて改めて、整理してみようと思います。

それぞれの正式名称は次の通りです。
IoT:Internet of Things (インターネット オブ シングス)
DX:Digital Transformation(デジタル トランスフォーメーション)
英語ではtransをXと省略することがあり、transferをXferと表現したりするようで、DXと省略されるのも同じ理由です。

DXと聞くと、AIやRPAをイメージされる方も多いかも知れません。実際、それらの導入事例をDXの事例として紹介しているメディアも散見されます。しかし、AIやRPAは技術やツールのひとつでしかなく、それを導入すること自体はDXではありません。
私は、DXを「デジタル技術の活用により、大きなイノベーションを起こすこと」と理解しています。「大きなイノベーション」とは、業務プロセスやビジネスモデルそのものが変化することです。

AIやRPAを活用し、これまで人の勘や経験に頼っていた判断や作業の一部をコンピューターに代替させることは、業務負荷軽減やコスト削減というメリットをもたらしますが、それは昔から行ってきた改善の延長に過ぎず、「大きなイノベーション」ではありません。
加えて「デジタル技術の活用」とは”デジタルデータ”の活用という意味合いが強いのですが、デジタルデータを得るために必要な”ハードウェアやソフトウェア”の活用も含まれます。

DXの成功例として、Uberの起こしたイノベーションが有名です。
彼らは「車で移動したいと思っている人」と「車で人を運ぶことで対価を得たい人」をデータで直接マッチングできるプラットフォームを作りました。スマートフォンの位置情報と車の空き状況をデジタルデータとしてリアルタイム活用することで、最適な配車を行っています。
これまでのタクシーのように道路脇で空車を探す、特定のタクシー会社に電話をして無線で空車に呼びかけてもらうといったプロセスとは根本的に異なります。まさに「デジタル技術の活用による大きなイノベーション」です。

では、IoTとDXの違いはなんでしょうか。
一般的には「モノのインターネット」と表現されることが多いIoTですが、単に様々な「モノ」がインターネットに繋がることでなく、これまでは分からなかった、その状態や様子といった「コト」がデジタルデータとして活用できるということが重要です。
ウフルの考えるIoTの定義については、こちらをご覧ください。

Uberの例で言うと、「人と車」つまり「モノ」がスマートフォンというデバイスを介して、インターネットに繋がり、それぞれの「状態と場所」つまり「コト」が、デジタルデータとしてクラウド上のUberプラットフォームに集約されます。これはIoTの考え方そのものです。
そして彼らは、それを自動車配車サービスというビジネスモデルとして、これまでにない乗車体験や配車プロセスを、世の中にリリースしました。つまり、UberはIoTの考え方を活用して、これまでのタクシービジネスにイノベーションを起こし、DXを実現したと言えます。

IoTの考え方も、AIやRPAといった技術も、それら自体はDXではありません。ただし、それらを活用して得られるデータや人的リソースはDXを実現するために非常に重要です。
しかし、最初にやるべきは「どのような課題を解決するか」です。解決すべき課題を明確にしないまま、デジタル技術の導入・活用を検討したり、DXの実現を検討したりするのは、無謀で徒労に終わる可能性が高いと言えるでしょう。

では、解決すべき課題を明確にするにはどのような方法があるでしょうか。
次回は、その手法のひとつをご紹介したいと思います。

関連資料

この記事に関連してインターネット上で公開されているDXに関するレポートやドキュメントをご紹介いたします。

■デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査
情報処理推進機構(IPA)が公開している調査報告書。次のような内容についてのアンケート調査、ヒアリング調査の結果がまとめられています。

  • 日本の産業界におけるDXの取組み状況や進展状況
  • DXの推進にあたって企業が感じている課題
  • DXの取り組み事例

資料はこちらから

■DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
経済産業省によるレポート。DXを進める上で、必ず課題となる「既存のITシステム」について、その現状の課題や対応策を中心にまとめられています。
イノベーションの妨げにもなりかねない「既存のITシステム」について、予め考察する助けになります。

資料はこちらから

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