我が国のデータ社会の未来を拓く鍵
データスペースとCUCON

はじめに
現代社会においてデータの重要性は増すばかりですが、分野や組織の壁によって十分に活用されているとは言えません。日本が持続的な成長を実現するためには、安全かつ信頼できる形でデータを連携・活用する新たな仕組みの構築が急務です。少子高齢化や国際競争激化といった複雑な課題に対応するためには、従来の個別最適に留まらず、分野横断的なデータ連携による新たな価値創造が不可欠です。
これらの課題解決の鍵となるのが、「データスペース」です。これは、データ提供者の主権を保ちつつ、多様な主体間で信頼性のあるデータ共有を可能にする仕組みです。本レポートでは、データスペースの意義とともに、それを推進する一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)※1、その活動の総称である「DATA-EX」※2、そしてDSAの活動に深く関与し、データ連携を実現する株式会社ウフルのサービス「CUCON(キューコン)」※3について掘り下げていきます。
1. データスペースを実現する取り組み:DSAの役割
データ連携の重要性が高まる中で、従来の「データベース」と新しい「データスペース」の違いを理解することが重要です。データベースは特定目的のために構造化され、効率的な管理と高速なアクセスが可能ですが、異なるデータベース間の連携には個別対応が必要で、所有権や利用権限の管理も一貫性に欠ける傾向があります。
これに対し、データスペースは、複数組織に分散するデータを共通ルールと信頼できるガバナンスのもと連携させるエコシステムです。データ提供者はデータ主権を維持しながら、条件付きで利用者にデータを共有できます。データベースが保管を重視するのに対し、データスペースは安全な流通と利活用を目的とし、信頼性の高いデータ共有を可能にする仕組みと言えます。
日本におけるデータスペース構築の中心的役割を担うのが、一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)です。DSAは、その前身である一般社団法人データ流通推進協議会(DTA)が2017年11月1日に設立されて以来、我が国におけるデータ活用、特に信頼できるデータ流通のあり方について、その黎明期から議論をリードしてきました。
DSAはDATA-EXプラットフォームの提供、産官学連携、基準策定、政策提言など幅広い活動を行っています。DATA-EXプラットフォームの技術は、参加機関が自らの主権のもとでデータの授受を管理する「自律分散協調型」を基本としています。これにより、相互の合意と管理のもと、必要なデータを必要な時に活用できるだけでなく、共通技術の活用により業種や分野を超えた自由なデータ連携基盤の構築も可能になります。
2. データ社会の推進者:ウフルとDSAにみる連携の力
株式会社ウフルは、DTA設立準備段階から深く関与しています。データ連携は特定企業の独占ではなく社会全体の共有資産であるという考えから、ウフルは信頼性のルール作りや技術標準化に貢献しています。これは、健全なデータ社会の発展と市場拡大を促し、同社の技術・サービス普及にもつながる戦略的な取り組みであり、企業理念と合致した社会貢献と事業成長の両立を目指しています。
3. データ連携の実現者:CUCONの戦略的重要性
ここまで見てきたように、我が国の社会課題解決と経済成長には分野横断的なデータ連携が必須であり、その実現にはデータスペースという概念、信頼できるフレームワークであるDATA-EX、そして政府が推進するウラノス・エコシステムのような具体的な取り組みが重要です。このような国家的なデータ社会構築の動きの中で、株式会社ウフルは自社開発のデータ・サービス連携プラットフォーム「CUCON」を通じて、極めて戦略的かつ重要なポジションを確立しつつあります。
CUCONは、DSAが提唱するデータスペースやDATA-EXの理念、そして政府のウラノス・エコシステム構想といった、国の目指すデータ社会のビジョンを企業レベルで具現化するものです。企業が安全かつ効率的にデータ連携に参加するための強力なソリューションとして開発されており、多様なシステムやデータソース間に存在する技術的な壁を、セキュアかつ効率的に取り払うことを可能にします。
CUCONが提供する主要な機能として、マルチテナント環境に対応した厳格なアクセス制御(テナント間アクセス制限、テナント内でのロールベースの権限設定)、ユーザー管理、認証機能(マイナンバーカード認証連携を含む)、同意制御、多様な外部サービス(LINE、Salesforce、Tableauなど)やIoT機器との連携、データマネジメント機能(FIWARE活用、GraphQL API提供など)が挙げられます。これらの機能は、データスペースに不可欠な「信頼」の確保と「データ主権の維持」を企業が実践する上で技術的な基盤を提供します。例えば、きめ細やかなアクセス権限設定やテナント分離は、データ提供者が自身のデータの公開範囲や利用条件を厳密にコントロールすることを可能にし、データ主権の原則を具体的に支えます。また、定期的な第三者によるセキュリティチェックの実施は、プラットフォームの堅牢性を客観的に担保する試みと言えます。これらの機能群は、多くの企業がデータ連携に伴うセキュリティやガバナンスの懸念を軽減し、安心してデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるための基盤となり得ます。
CUCONは、内閣府が定めるスマートシティの標準的な構築指針である「スマートシティリファレンスアーキテクチャ(SCRA)」に準拠した都市OSとして機能します。これにより、自治体や関連企業はスマートシティのデータ流通を実現できます。
企業がCUCONを活用することで、SCRAに準拠したスマートシティプロジェクトや、DATA-EXの原則に沿った分野横断的なデータ連携、さらには将来的にウラノス・エコシステムが形成する産業データ連携の潮流にも対応しやすくなり、新たなビジネス機会を創出することが期待されます。
まとめ
本レポートは、日本の構造的課題を克服し持続的な発展を目指すための分野横断的データ連携とデータスペースの重要性を説明し、その実現に向けた主要な動きとして、DSAの役割、そして株式会社ウフルの官民連携における貢献を具体的に解説しました。
ウフルが提供するデータ・サービス連携プラットフォーム「CUCON」が、DSAの推進するDATA-EXの理念や原則と整合性を持ち、スマートシティリファレンスアーキテクチャに準拠することで、政府やDSAの活動と連携しながら、企業の安全かつ信頼性の高いデータ連携を実現する中核的なソリューションとしての可能性を秘めていることを強調いたしました。更にCUCONは、その堅牢なセキュリティ機能や柔軟なアクセス権限管理を通じて、データの主権と信頼性を守りながら安全なデータ連携を志向する企業に対し貢献する可能性を秘めています。
我が国のデータ社会の最前線で培われたウフルのノウハウ、DATA-EXやウラノス・エコシステムといった最新の動向に関する情報、そしてセキュアなデータ連携を実現し、企業のDXを加速させるCUCONの具体的な機能については、ぜひウフルの公式ホームページにて詳細をご確認ください。
※2:DATA-EX https://data-society-alliance.org/data-ex/
※3:CUCON https://uhuru.co.jp/service/cucon_top/
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